ぼくはキミの守護霊さま。

樺純

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第三十二話

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真中ハヤテサイド

スーパーの中では俺の姿が見える人なんておらず、俺はそれをいい事にショッピングカートを押しているコトハの腰に手を回しピタッとくっ付くと、コトハが小さな声で「もう////」と恥ずかしそうにハニカミながら俺を叱る。

それがまた、可愛くてコトハの首筋にチュウとキスを落とすとコトハは「ひっ////」と声を出し周りで買い物している人たちが不思議そうに振り返ってコトハを見た。

H「他の人には俺が見えないんだから反応しちゃダメだよ。」

K「むり…(小声)」

なんて言って真っ赤な顔をするコトハの首筋にキスマークを付けて俺はデヘデヘとする。

買い物を終える頃には俺は上機嫌でコトハは何故かぐったりと疲れていた。

K「ハヤテくんがいるから安心と思ったのが間違いだった。そっちのが危険だった。ボディーガードのくせに。」

誰もいない帰り道、2人並んで歩いているとコトハはそう言いながら口を尖らせる。

H「初めての買い物楽しかったね。」

俺はあの男と鉢合わせしなかったことにホッとしコトハの顔色を伺う。

K「このままだと他の人に見えないのをいい事に外であんな事やこんな事されちゃいそう。」

H「うわぁ!それめちゃくちゃ気持ち良さそう!」

K「この変態野郎////」

コトハはそう言って俺の頬をつねり俺が軽くその手をあしらった。

マンションに着き、エレベーターに乗ろうとボタンを押し俺たちは寄り添い、イチャイチャと俺がコトハのあらゆる所にキスをしながら待っていると突然、コトハの身体が硬直し俺は顔を上げた。

H「?コトハ?」

コトハは呆然とした様子でエレベーターを見ていて微かに身体が震え始める。

俺は恐る恐るそちらを見ると…

あの男がエレベーターに乗っていてコトハに向かって微笑んでいた。

そして、その男の後ろにはコトハの部屋で俺が見たあの男の生き霊が笑っていた。

俺は咄嗟にコトハの手首を掴み走り出そうとするが、コトハが立ちすくみその場から動こうとしない。

H「コトハ!!」

俺がそう叫ぶと我に返ったコトハは慌てて俺の方へ顔を向け足を動かすが、コトハは足に力が入らないのかマンションの柱にぶっかってしまった。

ドンッ!!

体が柱にぶつかる大きな衝撃音が響くとパラパラ…と何かが床に落ちていく音が聞こえて俺は視線を落とす。

すると、そこにはコトハの左手首に付けていたはずの俺のブレスレットが散らばっていた。

まずい…

そう思うと同時にコトハを掴んでいた手に激痛が走り、俺は男の生き霊によってコトハから弾き飛ばされた。

*「コトハ…久しぶり。」

男がそう言ってコトハの方に近づくのを俺が止めようとすると男の生き霊が俺の前に立ち睨みつける。

K「な…なんでここにいるの…」

コトハは床にへたり込んだまま男を見上げてそう問いかけると男はニコッとコトハに不気味な笑みを浮かべた。

*「なんでって…コトハを愛してるから…」

コトハは助けを求めるように俺を見つめると、男は俺のことが見えないのか不思議そうな顔をしている。

*「どこを見てるの?コトハ…俺を見て?」

男は俺のことは見えないのに男の生き霊だけが俺のことを把握し威嚇している。

K「な…なんで…警察に捕まったはずじゃ…」

コトハがそう言うと微笑んでいた男の顔つきが変わった。

*「ずっとずっと見てたよ。大人しく田舎暮らししていればこんなことにはならなかったのに…東京なんかにまた出てきてあんな男と仲良くするからこうなったんだよ…?」

K「な…なんの話よ…」

*「コトハの部屋のお隣さんの彼…ずいぶんと親しい仲みたいだね?こんなにコトハを愛してる俺のことは受け入れてくれないのに…あの男とはすぐに仲良くなって…だからあいつはあんな目に遭ったんだよ?」

K「ハヤテくんに何したの…」

H「まさか……」

男がニヤッと笑いコトハに近づこうとし、俺がそっちに行こうとするとその男の生き霊が物凄い力で俺の首を絞め俺はもがくがその生き霊の力に敵わずもがけばもがくほど苦しい。

しかし、目の前にいるコトハはその男に追い詰められていて、俺が助けなきゃという思いだけが空まわりをする。

コトハを見る男の目は異様で俺の方が背筋が凍りそうだ。

ゆっくりとコトハに近づいていく男を見て俺は息絶え絶えのなか叫んだ。

H「やめろ!!」

すると俺の首を絞めていた生き霊は吹き飛び、マンションの照明が割れるとその音に驚いた男は油断してコトハから目を離す。

俺はその隙にコトハの元に駆け寄りると手首を掴みそのまま走り出した。


つづく
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