ぼくはキミの守護霊さま。

樺純

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第二十一話

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山城コトハサイド

真中さんは床に座り込みため息を落として壁にもたれ掛かり座っている。

私はそんな姿を見ると微かに胸の奥がチクッと痛んだ。

そして、インターホンの液晶を見るとそこには親友であるジョウが立っていた。

J「愛する可愛い可愛いコトハちゃ~ん!この前買ってくるの忘れたから引っ越し祝い買ってきたよー!開けてー!!」

K「ジョウ…ごめん…今取り込み中で………あ、いや…今開ける。」

この状況で思わず一瞬、ジョウを断ろうと思ったが、どうするにしても私1人より人数は多い方がいい。

そう思った私はジョウが玄関先に来たので扉を開けた。

 J「コトハ暇かなと思って遊びに来た!」

ジョウはいつもの調子で玄関からあぁ~でもないこう~でもないと世間話をしながら廊下を歩き、例の扉をくぐるが私の頭の中にはジョウの話なんて全く入ってこない。

そして、ジョウは何事もなく例のリビングに繋がる扉を通り抜け、ジョウは自分の足元にはしゃがみ込んでいる真中さんがいるのに一切、真中さんに見向きもせずにソファへと座る。

J「あ、これ引越し祝いね?」

K「ジョウ…なんでなんも言わないの?」

J「え?いきなり来たらまずかった?」

K「いや!そうじゃなくて!あそこに可愛い顔した筋肉マッチョのウサギちゃんみたいな男の人が座ってんのになんで素通りするの?」

J「は?筋肉マッチョ?ウサギちゃん?なに熱でもあんのか?」

ジョウはそう言って私を揶揄いながら笑って私のおでこに手をのばし、どこだ~かくれんぼかな~?なんて言いながらわざとらしくそっちを見てる。

K「人が真剣に話してるのにっ!!」

J「で?どこにいるんだよ?その可愛い顔した筋肉マッチョなウサギちゃんは?コトハから可愛いなんて言われるなんて俺が許さん。ボコボコにしてやる。」

ジョウは見えないと言いながらも真中さんの目の前にしゃがみ込んでパンチを繰り返すので、思わず私は真中さんを自分の背中の後ろに隠すようにしてジョウと真中さんの間にすべり込みジョウを蹴飛ばした。

J「痛ぇな!なんだよ!?どこにいんだよ!?」

K「とりあえず真中さんにそんな荒っぽいことしないで…今、私の背中の後ろにいるから……」

私がそういうとジョウはぽかーんと口を開けて私を見つめる。

K「な…なにその顔…」

J「あ!分かった!コトハはそうやって俺のこと怖がらせてからかってるんだろ?もう~相変わらず子供だな~」

ジョウはそう言って私のことを疑った目で見る。

K「え…ジョウ…本当に見えないの…?」

J「え…見えないけど…」

K「ま…まじ…?」

J「え…コトハ…それってさ…見えちゃダメなやつじゃない…?俺…マジで見えないんだけど…」

ジョウのその言葉に私は全身から血の気が引いていく。

K「嘘だよね…?私を怖がらそうと思ってジョウはそう言ってるんだよね?」

J「マジだよ…大マジ…。ってかここなんか…入った時から寒気するし…なんかいるんじゃない?俺、みえないけど感じるんだよね…」

ジョウはそう言ってガタガタと震える真似をして自分の身体を摩る。

K「ジョウ、ほんとは見えてるよね?この可愛い筋肉マッチョのウサギみたいな男の子……」

J「コトハ…引越しで疲れてるんじゃない…?俺…帰るね…」

そう言ってジョウが立ち上がるので私は必死になってその腕を掴み止めた。

K「嘘…ほんとに見えないの!?ジョウどうしよう…この状況はめちゃくちゃ怖いのに真中さんはめっちゃくちゃ可愛いしムキムキなの…どうしよう!!!?」

J「どうしようって言われても…俺はほんとに見えないんだって…!!」

K「じゃ…私が見えてるのって一体…?」

J「……幽霊?」

K「えぇぇぇーーーー!!!?真中さん死んじゃったの!!!」

H「え!!!?俺死んだの!!!?」

J「いや、だからそのさっきから言ってる真中って誰!?」

K「真中さんは…私のお隣さんで…私の好きな人…」
 
私はそう言いながらチラッと真中さんを見ると、真中さんは顔を赤く染めながらほっぺを舌でぐりぐりと押して頭をぽりぽりと掻いている。

私も恥ずかしくてふと、視線を逸らすとジョウの顔色がみるみるうちに変わっていた。

J「は!!!?お隣さんがコトハの好きなひとってどういうこと!!!?」

K「そういうこと……」

私がそう答えるとジョウは大きなため息をつき、ソファに座った。

J「とりあえず、意味分かんないから一から説明しろ。」

そう言われて私は真中さんとソファに並んで座り、真中さんとの出会いから盗撮されてた事と真中さんとキスをした事、エレベーターに閉じ込められてまた真中さんとキスをして好きだなと思ってセフレでもいいと思ったけどやっぱり嫌で好きって言い逃げして、今はちょっと気まずいけど、やっぱり好きで、でも真中さんがさっき変な遊びで私を揶揄ったから私は嫌な気持ちになって真中さんを下に置いてきたらいつの間にか真中さんが私の部屋にいた事をジョウに伝えた(ここまで早口)

K「という事なのです。」

J「あのさ…コトハ…?」

K「ん?」

J「全く意味が分からんのだが、とりあえずその真中さんって人は今どこにいるの?」

K「ん?ここ。」

私が自分の隣に座っている真中さんを指差して言うとジョウの顔色が真っ青になっていく。

J「その真中さんって人は…実際にいる人なんだよね?」

K「言ってるじゃん。私のお隣さんだって。今は私の横にいるし。」

ジョウは私の言葉を聞いて微かに唇を震わせ黒目をキョロキョロと動かすと言った。

J「コトハ?俺にはね?その真中さんって人…本当に見えないよ。コトハの横には誰もいない…コトハさ慣れない都会で疲れてるんじゃない?」

ジョウは心配そうな顔をして私の肩を抱き寄せると、横にいる真中さんの顔が微かに歪みギュッと下唇を噛むとリビングのライトがチカチカと消えたり付いたりを繰り返す。

K「なに…怖い…」

J「…?停電?」

ジョウがライトを見上げながら私の肩から手を離すと真中さんの表情は落ち着き、ライトの点滅も落ち着いた。

まさか…ライトが点滅したのは真中さんのせい?

そう私が思っていると突然、真中さんはゆらゆらと揺れながら消えた。

私は思わず部屋中を見渡す。

J「コトハ?」

K「…消えた…」

J「え?消えたの?なんだ…良かったね?」

ジョウはおそらく私の言っている事を信じていない。

何故ならば怖がりのくせに幽霊の存在や不思議な現象を昔から信じていないから。

それを知っている私は納得がいかず、ジョウを置いて真中さんの部屋へと駆け出して行きインターホンを鳴らしたが、中から真中さんが出てくることはなく私はまた、部屋に戻った。

J「コトハいい加減にしろよ?そろそろニジスケくんとヨウアちゃんも来るんだから。」

そう言ってジョウがクルッと私の身体を振り返らせると…

K「あ……!!」

J「な…なに!?」

K「い…いる!!真中さんがいる!消えてなかった!」

J「なんだよ…やっぱ幽霊なのか!!!?」

幽霊ってことは…

ジョウの言葉にそう思い始めた私は心がザワッつきはじめて苦しいのに、目の前にいる真中さんはめちゃくちゃ可愛い顔をしてジョウの言葉に睨んでいる。

H「だから幽霊じゃないって…たぶん…」

K「幽霊じゃないってば!」

真中さんの代わりにジョウにそう言い返せば、ジョウはムキになったような顔をして私に言った。

J「じゃ…なんなんだよ…?俺の目にだけ見えないストーカーか!?コトハさ?ちょっと可愛いからってそんなくだらない話が通るとでも思ってんの!?」

K「だって本当にそこにいるんだもん!!」

そう言い合いをしているとインターホンが鳴り響いた。

つづく
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