18 / 39
第十八話
しおりを挟む
真中ハヤテサイド
山城さんはそのまま玄関に向かおうとするので、言いかけた言葉が気になる俺は山城さんの手首を掴んでしまった。
すると、山城さんの足はゆっくりと止まり少しだけ振り返って俺の顔を何か言いたげな目で見つめる。
H「…そんな言いかけてやめられたら気になるじゃないですか?」
俺がそう言うと山城さんはちゃんと俺の方を向き直し、俺は握っていた山城さんの手首をそっと離した。
K「さっき…」
H「さっき…?」
K「エレベーターの中で私にキスされてどう思いましたか?」
山城さんは無表情のままそう俺に問いかけてきて、俺はその読めない表情に戸惑い少し焦る。
今までなら相手の感情を知りたいと思ったらこともなければ、相手の感情に惑わされることもなかった。
なのに今は何故か物凄く山城さんの感情を知りたくて山城さんの望む答えを知りたい。
しかし、今までそんな感情を動かされるような恋愛をしてこなかった俺は全く読めず苦しい。
H「どうって……それは……」
K「セフレのいる真中さんからしてみれば私からのキスなんて大したことないですよね。ぶつかっただけみたいな感じでしょ?今まで好きでもない人たちと平気でキスして抱いてきたんだもん…そうに決ま…」
H「確かに今まではそうなんですけど……でも山城さんは…!!」
K「ドキドキしてたのは私だけでしょ。セフレにして欲しいって思っちゃうほど真中さんのこと好きになってるのも私だけ!!」
山城さんは俺の言葉を遮るようにそう言い、その言葉を聞いた俺は思わず固まる。
え…き…昨日は…
シようとしたら怖いって言って泣いてたじゃん…
なのになんで?
今はセフレになりたいって思ってんの…?
一晩で何があった?
全く分からない…
俺は山城さんのことが全く分からない…
なのにそう言われて嬉しいと思ってしまう事だけは分かる。
俺は嬉しさのあまり固まっていると山城さんはみるみるうちに悲しそうな顔に歪んでいき、走って俺の家から出て行ってしまった。
慌てて腕を掴もうとしたが間に合わず、山城さんは隣の自分の部屋に入り玄関の扉を閉めた。
俺はインターホンを押し玄関の扉を叩く。
H「山城さん待って!!ここ開けて!!話そう!!」
そう扉を叩きながら呼びかけても中から返事は聞こえてこない。
どうしよう…そう思っているとエレベーターの扉が開き、中から男が降りてきてチラッと俺を見ながら廊下を挟んだ向かいの部屋に入っていく。
ここも空き家だったのに引っ越してきたんだ…
さすがにこれ以上は近所迷惑か…
そう思った俺は背中を向けて鍵を開けているその男の後ろを通り過ぎようとしたその時…
なぜか背筋がゾッとし、俺が振り返ったその時にはもう、その男は向かいの部屋のなかに入って行った。
俺の勘違いかな…
そう思った俺は仕方なく肩を落としたまま自分の部屋に戻った。
つづく
山城さんはそのまま玄関に向かおうとするので、言いかけた言葉が気になる俺は山城さんの手首を掴んでしまった。
すると、山城さんの足はゆっくりと止まり少しだけ振り返って俺の顔を何か言いたげな目で見つめる。
H「…そんな言いかけてやめられたら気になるじゃないですか?」
俺がそう言うと山城さんはちゃんと俺の方を向き直し、俺は握っていた山城さんの手首をそっと離した。
K「さっき…」
H「さっき…?」
K「エレベーターの中で私にキスされてどう思いましたか?」
山城さんは無表情のままそう俺に問いかけてきて、俺はその読めない表情に戸惑い少し焦る。
今までなら相手の感情を知りたいと思ったらこともなければ、相手の感情に惑わされることもなかった。
なのに今は何故か物凄く山城さんの感情を知りたくて山城さんの望む答えを知りたい。
しかし、今までそんな感情を動かされるような恋愛をしてこなかった俺は全く読めず苦しい。
H「どうって……それは……」
K「セフレのいる真中さんからしてみれば私からのキスなんて大したことないですよね。ぶつかっただけみたいな感じでしょ?今まで好きでもない人たちと平気でキスして抱いてきたんだもん…そうに決ま…」
H「確かに今まではそうなんですけど……でも山城さんは…!!」
K「ドキドキしてたのは私だけでしょ。セフレにして欲しいって思っちゃうほど真中さんのこと好きになってるのも私だけ!!」
山城さんは俺の言葉を遮るようにそう言い、その言葉を聞いた俺は思わず固まる。
え…き…昨日は…
シようとしたら怖いって言って泣いてたじゃん…
なのになんで?
今はセフレになりたいって思ってんの…?
一晩で何があった?
全く分からない…
俺は山城さんのことが全く分からない…
なのにそう言われて嬉しいと思ってしまう事だけは分かる。
俺は嬉しさのあまり固まっていると山城さんはみるみるうちに悲しそうな顔に歪んでいき、走って俺の家から出て行ってしまった。
慌てて腕を掴もうとしたが間に合わず、山城さんは隣の自分の部屋に入り玄関の扉を閉めた。
俺はインターホンを押し玄関の扉を叩く。
H「山城さん待って!!ここ開けて!!話そう!!」
そう扉を叩きながら呼びかけても中から返事は聞こえてこない。
どうしよう…そう思っているとエレベーターの扉が開き、中から男が降りてきてチラッと俺を見ながら廊下を挟んだ向かいの部屋に入っていく。
ここも空き家だったのに引っ越してきたんだ…
さすがにこれ以上は近所迷惑か…
そう思った俺は背中を向けて鍵を開けているその男の後ろを通り過ぎようとしたその時…
なぜか背筋がゾッとし、俺が振り返ったその時にはもう、その男は向かいの部屋のなかに入って行った。
俺の勘違いかな…
そう思った俺は仕方なく肩を落としたまま自分の部屋に戻った。
つづく
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
月城副社長うっかり結婚する 〜仮面夫婦は背中で泣く〜
白亜凛
恋愛
佐藤弥衣 25歳
yayoi
×
月城尊 29歳
takeru
母が亡くなり、失意の中現れた謎の御曹司
彼は、母が持っていた指輪を探しているという。
指輪を巡る秘密を探し、
私、弥衣は、愛のない結婚をしようと思います。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる