ぼくはキミの守護霊さま。

樺純

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第十八話

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真中ハヤテサイド

山城さんはそのまま玄関に向かおうとするので、言いかけた言葉が気になる俺は山城さんの手首を掴んでしまった。

すると、山城さんの足はゆっくりと止まり少しだけ振り返って俺の顔を何か言いたげな目で見つめる。

H「…そんな言いかけてやめられたら気になるじゃないですか?」

俺がそう言うと山城さんはちゃんと俺の方を向き直し、俺は握っていた山城さんの手首をそっと離した。

K「さっき…」

H「さっき…?」

K「エレベーターの中で私にキスされてどう思いましたか?」

山城さんは無表情のままそう俺に問いかけてきて、俺はその読めない表情に戸惑い少し焦る。

今までなら相手の感情を知りたいと思ったらこともなければ、相手の感情に惑わされることもなかった。

なのに今は何故か物凄く山城さんの感情を知りたくて山城さんの望む答えを知りたい。

しかし、今までそんな感情を動かされるような恋愛をしてこなかった俺は全く読めず苦しい。

H「どうって……それは……」

K「セフレのいる真中さんからしてみれば私からのキスなんて大したことないですよね。ぶつかっただけみたいな感じでしょ?今まで好きでもない人たちと平気でキスして抱いてきたんだもん…そうに決ま…」

H「確かに今まではそうなんですけど……でも山城さんは…!!」

K「ドキドキしてたのは私だけでしょ。セフレにして欲しいって思っちゃうほど真中さんのこと好きになってるのも私だけ!!」

山城さんは俺の言葉を遮るようにそう言い、その言葉を聞いた俺は思わず固まる。

え…き…昨日は…

シようとしたら怖いって言って泣いてたじゃん…

なのになんで?

今はセフレになりたいって思ってんの…?

一晩で何があった?

全く分からない…

俺は山城さんのことが全く分からない…

なのにそう言われて嬉しいと思ってしまう事だけは分かる。

俺は嬉しさのあまり固まっていると山城さんはみるみるうちに悲しそうな顔に歪んでいき、走って俺の家から出て行ってしまった。

慌てて腕を掴もうとしたが間に合わず、山城さんは隣の自分の部屋に入り玄関の扉を閉めた。

俺はインターホンを押し玄関の扉を叩く。

H「山城さん待って!!ここ開けて!!話そう!!」

そう扉を叩きながら呼びかけても中から返事は聞こえてこない。

どうしよう…そう思っているとエレベーターの扉が開き、中から男が降りてきてチラッと俺を見ながら廊下を挟んだ向かいの部屋に入っていく。

ここも空き家だったのに引っ越してきたんだ…

さすがにこれ以上は近所迷惑か…

そう思った俺は背中を向けて鍵を開けているその男の後ろを通り過ぎようとしたその時…

なぜか背筋がゾッとし、俺が振り返ったその時にはもう、その男は向かいの部屋のなかに入って行った。

俺の勘違いかな…

そう思った俺は仕方なく肩を落としたまま自分の部屋に戻った。

つづく
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