ぼくはキミの守護霊さま。

樺純

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第十話

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真中ハヤテサイド

鏡を見た俺は衝撃的事実を知る。

俺…山城さんにあんなカッコつけて話してたのに…

目やに付いてたんだ…死にてぇ…

ゴシゴシと血が出そうなほど顔を洗い、歯茎が抉れそうなほど歯磨きをしネットで調べてすぐに鍵屋に電話をした。

H「ダメだ…どこの鍵屋も繋がらないです…多分大型連休にはいってるかですかね…?」

いや、本当は一件見つけた。

見つけたんだけど見なかったことにした。

だって鍵屋が来たらすぐに山城さんが帰っちゃうじゃん。

だからどこの鍵屋もぼくちゃんの目には閉店ガラガラだったんだ。

K「どうしよう…やっぱりベランダから…」

H「ダメですって!山城さんも連休ですよね?いつから仕事ですか?」

K「1週間後……」

1週間…

うまくいけば山城さんが俺の部屋で1週間過ごしてくれるかもしれない。

H「それまでに鍵屋が見つかるといいんですけど…とりあえず俺の部屋にいていいですよ?」

鍵屋を探すふりして見つけるつもりなんてサラサラないですけどね。

K「えぇ!?そんなのいいよです!いいですよ!」

全力で遠慮する山城さんに少し傷ついた。

も…もしかして…

いや、考えたくないけど…もしかして…彼氏いる?

こんなにも可愛い山城さんがフリーなはずないか…そんな事を思いながら問いかける。

H「じゃ、ほかに行く所あるんですか?彼女のとことか?」

K「彼氏?とかいないですし…友人にお願いするのもスマホがないと連絡できないし…」

彼氏いなかったぁぁぁあぁぁあ!!わっしょい!!

友人のとこに行くなんて俺が許しまてーーーん!!

H「だから僕の部屋にいてください。」

K「………でも……?」

H「迷惑じゃない…って言ってるしでしょ?困った時はお互いさまですよ?お隣さんなんですから。」

困った時はお互いさまですよ…なんてどの口が言ってんだと自分自身をツッコむとスンとした顔をして山城さんに微笑んだ。

H「はぁ~やっぱりどこも繋がらないですね…」

一応、大型連休で定休日と分かっている店に電話してみる。

すると…ぐぅ~

突然、山城さんのお腹から可愛い音が鳴り俺の父性が爆発した。

K「あ…ごめんなさい…」

山城さんは顔を赤くしてお腹を触りチラッと俺の様子を伺うその姿!!もうなんでそんな可愛いわけ!?

H「ふwお腹すきましたね?なんか出前しましょうか?」

そう言って俺が出前のメニューを渡すとパァっと花が咲いたような笑顔を見せ、目をキラキラと輝かせた山城さんはメニューを受け取るとウキウキしながら見つめた。

H「好きなの言ってください。注文するんで。」

俺はカッコつけてそう言うとパソコンの前であまりにも可愛い山城さんに悶絶する。

とてもいい気分でうひょうひょしていると俺のスマホが鳴り、ディスプレイを見るとセフレからの着信だった。

もうすでに終わりを告げたし一瞬、出るか迷ったがもし万が一、家に来られたら困ると思った俺は山城さんから離れて着信を取った。

H「あぁごめん。俺たちもう終わったろ?…いい加減にしろよセフレのくせに……もう二度と連絡してくんな。」

俺は最終通告だと言わんばかりにそつまけない態度でそう言って着信を切った。

H「山城さん出前決まりました?」

俺がゆっくりソファに座って山城さんに問いかけると、なぜか山城さんはメニューで顔を隠している。

K「え…!?あ…えっと…」

H「顔…赤いですけど…」

顔を真っ赤に染め目を潤ませる山城さんに俺は釘付けになる。

山城さんは俺の事どう思ってんだろ?

K「へっ!!!?あ…うん…?」

モジモジとする山城さんは俺の方をチラッと見ては目を逸らし顔を染めて俺をその気にさせる。

H「あ…もしかしてさっきの電話…聞こえちゃいました?」

聞こえてないことを祈りながらそう問いかけた……

今まで俺は出来る男を演じていたこの俺にセフレがいるなんて知れてしまったら山城さんに嫌われてしまうぅううぅぅぅぅ!!

K「え!!聞いてない!聞いてないです!!セフレがいるなんて聞いてないですよ!!」

終わった。

山城さんにセフレがいた事がバレてしまった。

可愛い可愛い純粋無垢な山城さんに絶対嫌われた←

H「めっちゃ聞いてるじゃん。」

俺からはもう苦笑いが溢れ出し、どう誤魔化す事もできず引き攣った顔のままパソコンの画面をただひたすら見つめた。

山城さんに嫌われてしまっただろう俺は必死で挽回策を考えるが思考回路がショートしてしまった為なーんにも思い浮かばない。

K「あの…」

H「なんですか?」

K「私…やっぱ…ベランダから部屋に入ります。」

H「だからそれは!!危な…」

K「だって、私のせいでセフレと会えないとか申し訳ないですし……セフレの人にも悪いから……ベランダつたいで入りますね。」

山城さんは俺の言葉を遮るようにそう言うと勢いよく立ち上がり、ベランダの方に向かい鍵を開けて柵に足を掛けるもんだから焦った俺は山城さんのパーカーを慌てて引っ張った。

つづく
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