ぼくはキミの守護霊さま。

樺純

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第八話

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山城コトハサイド

真中さんは洗面所で顔を洗って歯磨きを終えるとすぐにネットで調べて鍵屋に電話をしてくれた。

H「ダメだ…どこの鍵屋も繋がらないです…多分大型連休にはいってるかですかね…?」

K「どうしよう…やっぱりベランダから…」

H「ダメですって!山城さんも連休ですよね?いつから仕事ですか?」

K「1週間後……」

H「それまでに鍵屋が見つかるといいんですけど…とりあえず俺の部屋にいていいですよ?」

K「えぇ!?そんなのいいです!いいです!」

H「じゃ、ほかに行く所あるんですか?彼氏のとことか?」

K「彼氏?とかいないですし…友人にお願いするのもスマホがないと連絡できないし…」

H「だから僕の部屋にいてください。」

K「………でも……」

H「迷惑じゃない…って言ってるしでしょ?困った時はお互いさまですよ?お隣さんなんですから。」

真中さんはそう言ってニコッと笑い、私はあの盗撮犯から救ってくれた真中さんだと言う事で完全に信頼し、私は真中さんにお世話になる事になった。

H「はぁ~やっぱりどこも繋がらないですね…」

真中さんはあれからもずっとネットで鍵屋を調べてくれて連絡をしてくれていた。

K「ごめんなさい…」

H「いえ…そんな謝らない……」

ぐぅ~

真中さんが話してる言葉を遮るようにして私のお腹が盛大に鳴った。

盗撮犯から助けてもらった時もそうだった。

私はいつも腹をすかせているひもじい子のようで恥ずかしくて下を向く。

K「あ…ごめんなさい…」

H「ふwお腹すきましたね?なんか出前しましょうか?」

そう言って真中さんは出前のメニューをいくつか持ってきて私の前に差し出す。

H「好きなの言ってください。注文するんで。」

そう言うとまた、真中さんはパソコンに向かい鍵屋を探してくれる。

彼と出会ってから私は彼の世話になりっぱなしだ。

変な男から助けられ

一緒に警察署までついて来てもらい

今は鍵屋まで探してもらい

出前まで頼んでもらおうとしている

申し訳ないという言葉では言い表せないほど本当に申し訳ない。

出前のメニューを見ているのに全然頭に入ってこないでいると真中さんのスマホが鳴り、真中さんがチラッとディスプレイを見ると一瞬、動きが止まってソファから立ち上がり少し離れて着信を取った。

私は普段なら誰かが誰かと電話してようが気にしない。

なのに私はいけないと思いながらも真中さんの声に耳を澄ませてしまう。

H「あぁごめん。俺たちもう終わったろ?…いい加減にしろよセフレのくせに……もう二度と連絡してくんな。」

え……真中さんって…

真面目そうに見えてたのにセフレいたの!?

しかも終わったろ?って…別れの挨拶だよね!?

え…今!?私がいるのにそんな別れ話だなんて…

その驚きから思わず声が出そうになるのを出前のメニューで隠し、真中さんはついさっきセフレと別れ話したとは思えないほどの爽やかな表情をして戻ってきてソファに座った。

H「山城さん出前決まりました?」

K「え…!?あ…えっと…」

メニューからチラッと顔を出すと真中さんは不思議そうな顔をして私を見つめる。

真中さんのその瞳は何も変わらないのに、なぜか「セフレ」というワードを聞いてから私の目には色気が溢れているように見えて私の胸がドキドキとし始めた。

H「顔…赤いですけど…」

K「へっ!!!?」

H「あ…もしかしてさっきの電話…聞こえちゃいました?」

真中さんは気まずそうに笑いながら頭を掻き、バレたと焦る私は手に持つメニューをブンブンと振り回しながら必死で否定した。

K「え!!聞いてないです!セフレがいるなんて聞いてないですよ!!」

そう自分で言って私は固まった。

H「めっちゃ聞いてるじゃんw」

真中さんはそう言って笑うとまた、パソコンに目を向けて鍵屋を探し出す。

そんな気まずい空気のなか、真中さんをしばらく観察した私は恐る恐る真中さんに声をかけた。

K「あの…」

H「なんですか?」

K「私…やっぱ…ベランダから部屋に入ります。」

H「だからそれは!!危な…」

K「だって、私がいるとセフレと会えないとか申し訳ないですし……セフレの人にも悪いから……ベランダつたいで入りますね。」

私がそう言って立ち上がり、ベランダの方へ行って窓の鍵を開けて柵に足を掛けると真中さんは私のパーカーを掴んで引っ張った。

K「あ……」

それによって私はバランスを崩し、真中さんの胸の中に倒れ込んでしまい、その弾みで真中さんの唇にキスをしてしまった。

むちゅ…っと触れ合った私たちの唇にドキッとしてしまった私は咄嗟に離れようと真中さんの胸に手を置くと、真中さんがそのまま両手で私を抱きしめ、唇は触れ合ったまま真中さんの舌が私の舌と絡まり全身の毛穴が開き何故かめちゃくちゃドキドキした。

どうしよ…

めちゃくちゃ気持ちいい…

私は固まったままその行為に酔っていると真中さんはゆっくりと私の唇を解放し唾液のついた私の唇を親指で拭った。

H「言うこと聞かない罰。」

そう言うと真中さんは私から離れようとしたので、私がグイッと抱きつき離れることを拒む。

H「山城…さん…?」

K「もっかい…キスして…」

私がそう言うと真中さんは真顔のままチュウと私の唇に口付け、私たちの唇は次第に深くなっていき真中さんの舌が私の歯を割って入るようして私の舌を絡め取る。

やばい…こんなの初めて…

いやそもそも…キス自体が初めてか…

真中さんとのキスに溺れていると真中さんはそのまま私をソファに組み敷き、私の背中をすーっと撫でるとパーカーの中に手を忍び込ませる。

私はその感覚であの時の出来事が頭の中をよぎり、一瞬にして恐怖に包まれてしまった私はギュッとと目を閉じ真中さんの肩を掴んだ。

H「ん?山城さん?」

そう言った真中さんの瞳はあの日、私に親切にしてくれた優しくて好感度100%の真中さんではなく、どこからどう見ても…獲物を狙う男の目をしていて、過去のトラウマから私の体がガクガクと震え出す。

頭が混乱し、パニックに陥り訳が分からなくなってしまった私は咄嗟に真中さんの胸を押し逃げようとするが、真中さんに唇を塞がれ身体に力が入らず動けない。

どうしよう…怖いのに気持ちいい…

怖いのに真中さんと離れたくない…

自分でもよく分からない感情にどうすればれいいのか分からないでいると私の目尻からポロポロと涙がこぼれ落ちた。

それに気づいた真中さんはハッとして私から少し離れる。

H「山城さん…な…泣いてる…?」

K「…こ…こわいの……」

私がそう呟くと真中さんは一瞬、顔を歪めると真顔になり私の上からおりた。

つづく
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