ぼくはキミの守護霊さま。

樺純

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第六話

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真中ハヤテサイド

俺の事情聴取はすぐに終わり、本当ならば山城さんも大人の女性だし警察もいるので待たなくても大丈夫かとは思ったが……

さっき不安そうな目をして俺のスーツの裾をつまむ山城さんの顔が思い浮かび、先に事情聴取の終わった俺はベンチに座って警察署内で山城さんを待った。

「あ…あの!」

そう声をかけられて顔を上げるとさっき泣いたからだろうか?

少し目を充血させ腫れた瞼で俺を見つめる山城さんがいた。

H「事情聴取…お疲れ様でした。心配だったんで終わるまで待ってました。」

そう言うとその赤く充血したその瞳にまた、涙をうるうるとさせるから俺の心はもう完全に山城に夢中になってしまっていた。

俺はそんな感情を微塵も見せず綺麗にアイロンをしたハンカチを差し出した。

H「良かったら使ってください…あ…あと…改めて自己紹介させて下さい…」

赤く腫れた瞼がやけに色っぽく、涙で震える唇にドキっとした俺はそれを隠すように自分の名刺を山城さんに渡した。

もし、万が一のことを考えてプロである俺が守ってあげられるならそれが1番いいと思ったから。

山城さんはあんなに怯えていたはずなのに警察署を出てホッとしたのかグーっとお腹をならし俺の笑いを誘うユニークな人でもあった。

益々気になる…なのに俺が山城さんの連絡先を聞けずにいたのは盗撮被害に遭い俺が連絡先を聞くことでまた、不安の種を与えてしまいそうだったから。

だから、俺は名刺の裏に私用のスマホの番号を書いて山城さんに渡した。

一緒に歩いて一緒にラーメンを食べて一緒にマンションに帰り、まだおやすみの時間でもないのにおやすみなさいと挨拶をして一緒に部屋へと入った俺と山城さん。

不思議とたったそれだけなのに俺の心は満たされて山城さんだけで埋め尽くされていく。

しかし、こんな気持ちも俺だけが持っていて山城さんがなんとも思っていないのなら、あまり親切にしすぎるのも山城さんにとったら恐怖の材料になるのかもしれないな…と俺は家のベッドに寝転がりぼんやりと天井を見つめながら考えていた。

「ねぇ…アタシが来てるのに天井ばっかり眺めてるって…どういうつもり?他に女でも出来たの?」

あのあと俺の家に来たのはもちろん、愛しい山城さんではなく、ちょっと胸が大きく後腐れなさそうという理由からセフレにしたはずの女。

そんな女が俺を縛りつけるような事を言い始め俺は思わずイラっとする。

H「ごめん…お前セフレだよな?俺が誰と何しようが関係なくない?ヤらねぇならさっさと帰れよ。」

セフレと言えど女は面倒。

ちょっとキツイ言い方をすれば目に涙を溜めてすぐ泣くから。

あぁ…泣くと言えば山城さん…

一人で眠れてるのかな?

怖い思いして一人で泣いてなきゃいいけど…

山城さんの涙なら俺が拭ってあげるのに…

そう妄想をする自分自身がおかしくてつい、苦笑いしてしまう。

同じ女で同じ泣き顔でも人によってこんなに違うものか…

俺はそんな当たり前のことにこの時、初めて気づいた気がして、隣にいるセフレをすぐに家から追い出し、俺は繋がりのある数名のセフレとの関係をその日のうちに全て経った。


つづく
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