ぼくはキミの守護霊さま。

樺純

文字の大きさ
上 下
4 / 39

第四話

しおりを挟む
真中さんの向った先はもちろん…警察署。

真中さんは冷静な顔をして警官にその男の事を話し、私の代わりに事情を説明してくれた。

H「俺も事情聴取されるみたいですけど…山城さんは大丈夫ですか?今までのこと…ちゃんとお話ししなきゃダメですよ?」

K「あ…ありがとうございます。大丈夫です…」

そうして、私たちはそれぞれ事情聴取を受け私は正式に被害届を提出したものの、その男は金を渡され誰かも知らない人から写真を撮るよう頼まれたと主張していたらしい。

事情聴取を終え、薄暗い廊下を疲れ果てながら歩き出入り口に向かうと…

そこには真中さんが固そうなベンチに座っていた。

K「あ…あの…」

H「事情聴取…お疲れ様でした。心配だったんで終わるまで待ってました。」

私はホッとしたのかそれとも疲れているからなのかは分からないが、何故か真中さんの優しさで緊張の糸が切れ私の目から涙があふれ出す。

すると、サッと綺麗に折りたたまれたハンカチが私の目の前に差し出された。

「良かったら使ってください…あ…あと…改めて自己紹介させて下さい…」

そう言って彼は名刺を私に渡した。

株式会社○○警備 チーフリーダー
真中ハヤテ

H「俺…童顔なんですが警備会社でボディーガードを纏めるチーフリーダーしてます。」

K「あ……」

だから男が逃げようとした時、真中さんは的確な無駄のない動きで奴を捕まえることができ、あんな状況でも妙に落ち着いていたのか…私はそう納得した。

H「じゃ…行きましょうか。」

K「はい…」

真中さんは私の涙がおさまると私の横に寄り添うようにして警察署を出て暗い夜道を歩きだした。

H「こういうのは…初めてなんですか?」

真中さんが私のことを心配そうに見つめながらそう問いかけた。

K「え?」

H「ストーカー…いや盗撮被害?」

K「あぁ…いや…以前にも何度か…あ!あの助けて頂いて本当にありがとうございます!」

私は真中さんにお礼を伝える事をうっかり忘れていた事に気づき、立ち止まって真中さんに頭を下げると、真中さんは私の肩を優しく持ち身体を起き上がらせた。

H「頭をあげてください。」

K「本当にありがとうご……」

ぐぅ~ 

私がまたお礼を言おうとしたらタイミングが良いというべきか悪いというべきか、私のお腹が盛大に鳴り響き俺の顔が真っ赤になる。

H「ふふふw お腹すきましたね?ラーメンでも食べて帰りましょう。」

K「はい…すいません…」

そして、私と真中さんは近くにあったラーメン屋に入り、ぎこちない空気のまま当たり障りのない会話をしながら共にラーメンを啜り一緒にマンションへと帰った。

K「本当に今日はありがとうございました。ラーメンまでご馳走になってしまって…」

お互いの部屋の階に着き、玄関扉の前で私がそう真中さんに言うと真中さんは私に優しい笑顔を見せてくれた。

H「いえ、とんでもない。何かあったら名刺に連絡先書いてあるので連絡くださいね?もちろん、会社の方に連絡くださっても大丈夫ですよ。俺は誰かを守るプロなので。じゃ、失礼します。」

K「ありがとうございます…じゃ…おやすみなさい…」

まだ、おやすみの時間でもないのに私はそう挨拶をしてしまい、あ…と思っていると真中さんは笑顔で同じようにおやすみなさいと挨拶をしてくれ、お互いに頭を下げてそれぞれの部屋へと入った。

私がこの時…

この出来事をもっと深刻に考えていたら…

真中さんはあんな事にならなかったのかもしれない…


つづく
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

大好きな背中

詩織
恋愛
4年付き合ってた彼氏に振られて、同僚に合コンに誘われた。 あまり合コンなんか参加したことないから何話したらいいのか… 同じように困ってる男性が1人いた

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

処理中です...