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4話

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ヒュウサイド


僕の恋人は朝が弱い。


どんなにアラームが鳴っても石のように眠って起きないのだが、その寝顔が何よりも可愛くて愛おしくて赤ちゃんみたいで、先に起きている僕は恋人の寝顔を横でいつもじっと見つめている。


そして、僕の恋人が眉間にシワをよせ起きそうになると、僕はもう起きているのに慌てて寝たふりをする。


だって、僕の恋人は目覚めのキスを僕にして起こしてくれることを知っているから。


チュウと優しく瞼にあたるあの唇の感触を味わう瞬間は本当に幸せだ。


心から恋人に愛されていると感じる瞬間でもあるから。


そして背伸びをして起き上がると、僕たちは朝の挨拶をするかのようにベッドの上で目覚めのキスをし朝がスタートする。


僕の恋人は料理が好きだ。


食べることも好きだし手先も器用で出来ない事なんてないんじゃないかと思うほどなんでも出来る。


手際よくミートスパゲッティを作り、僕が食べやすい大きさにチキンソテーを切ってくれるそんな細やかな心配りができるのが僕の恋人。


たまに何を思うのか僕に意地悪をしてくることもある。


お腹がぺこぺこで死にそうなのに朝ごはんを作ってくれないんだ。


そんな時は僕の愛嬌攻撃で僕の恋人を攻撃するとふにゃふにゃ笑顔になり、仕方ないな~と目尻を下げながらいつも朝ごはんを作ってくれる。


こんな事も出来なくてどうやって生きてくの?なんて僕の恋人は聞いてくるけど、僕はいつも心の中でキミが僕のそばにいる限りその心配はないよ。と思いながらエニシがいないと生きてけない~っと言いながら甘えるんだ。


それが本音だから。


本音って真面目な顔して言うのはすごく恥ずかしいから、少しの冗談を交えて伝えると素直に言葉にしやすい事を僕は知っている。


つづく
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