Blue〜歪んだ愛と本当の愛〜

樺純

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52話

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ケイトside

あの日、いきなり俺の部屋に来た組長はジニさんと幹部数名と話をした後、すぐに別宅へと帰って行った。

この世界から足を洗うと言ったはずのジニさんは何故かアッサリとまた俺の補佐として戻ってきて、テラはあれから浮かない顔をして何かを考え込んでいる。

K「テラいつまで親父に言われたこと気にしてんの。あんなの言わせておけばいいんだって!ね?機嫌なおしてよ~」

俺はプクプクとしたテラのほっぺを摘みながらそう言うと、テラは何かを考えたまま俺の方を見て口を尖らす。

俺はキスをねだっているのかと思いその唇にチュウとキスをするとテラは「はぁ~⤵︎⤵︎」と小さなため息を落とした。

K「いやいや、何キスされてため息落としてんのさ。」

T「ケイトのお父様にあぁ言われたあとさ…私この世界の勉強しなきゃと思って任侠もんの映画を沢山みたんだよね……」

確かに俺のいる世界はそういう所だが、リアルとフィクションでは話が違う。

なのに突拍子もなくいきなり任侠映画の話?とテラに言うと間違いなく…いや100%テラのご機嫌を損ねるので、俺はちゃんと相槌を打ちテラの話をちゃんと聞いてますよアピールをする。

K「ほぉ…そんで?」

T「その中の1つの映画でね?主人公の若頭にはさ好きな人がいるんだけど、その人とは結婚できなくて組長の決めた人と結婚するの。」

K「あぁ…組同士の政略結婚で許嫁ってやつだな。」

T「しかも好きな人と出会う前は沢山の女がいてね手当たり次第遊んでて……ケイトもそうなのかな…って思ったらこうやって今、私にキスした唇も…私に触れてるこの手も私の知らない女の人が触れたんだと思ったらもう…今すぐアソコちょん切ってやりたい。」

K「え………」

たった1本の任侠映画だけでここまで妄想するのか…と感心しながらも今の俺に出来る事は大切なアソコをちょん切られないように守ることくらいだ。

K「テ…テラ?そ…それはさ映画の話だからね?」

俺がどもり冷や汗を流しながらそう言うとテラはグイッと身を乗り出して俺に問いかけた。

T「まぁそれは冗談だけど。ケイトは私と出会うまで何人の女抱いた?」

その質問を聞いて俺は思わず固まる。

おいおい…その質問は聞かないのがカップルとしての暗黙の了解だろ…と思いながら俺は頭の中で計算する。

正直…ザッと思い出すだけの人数でも何人の域ではない…

名前すら知らない人もいれば顔すら覚えてないような人もいて…

俺は過去の自分の行いを深く悔やんだ。

K「何人とか…そう言うのはさ…?ねぇ?テラ…」

T「何人か知りたい。私の大好きなケイトの体を何人の女が触れたのか知りたい。」

真っ直ぐな瞳でそう言ってくるテラに俺は頭を抱えて下を向く。

しかし、目の前にいるテラは俺が答えるまで折れる事はないという顔をしていた。

K「覚えてないけど……」

T「5人?」

K「違う…」

T「?………10人?」

K「ううん…」

T「…50人…?」

K「100人弱……くらいかな?」

物凄く少なく見積もって俺がそう言うとテラは怒る訳でもなくまた、小さなため息をつく。

T「なんで私の方が多いんだよバカ。」

まさかの言葉に俺の耳の方がバカになったのかと思って聞き直した。

K「え……?どういうこと…?テ…テラそ…そんなに経験人数いのかよ……」

T「若頭だから私より経験あんのかと思って心配して損した。実はね?たまたまケイトの部下達があの遊び人の若頭がお嬢に一途になるなんて信じられない…って話してたとこ聞いちゃってつい、何人くらいなのか気になっちゃって………」

なぜかホッとした顔したテラはそう言っていつもの様子に戻りスマホを弄りだす。

部下達…コロス。

K「テラごめん…言ってる意味がちょっと分からないんだけど…俺より経験人数いるって…テラ…一体何人と寝たの!?」

今、俺の気になるところは部下達の処刑方法ではなくテラの経験人数で、前のめりで聞くがテラは涼し気な顔をしている。

T「知りたい?」

おっと…この様子は完全に形勢逆転…

今まで切羽詰まった顔をして暗い表情だったテラの顔は何故かケロッとしていて俺の方が余裕はない。

K「ま…まぁ…怖いもの見たさ…的な?」

T「ふ~ん。じゃ言うよ?」

K「う…うん…」

T「私は~」

K(ゴクリ……)

T「1000人弱。」

K「はぁ!?1000人!?」

T「信じるか信じないかは…ケイト次第です!ドヤッ」

K「言ってる場合か。」

全く笑えない俺のツッコミを聞いてケラケラと笑っているテラはうそうそセフレいれて10人くらいだよ~っと言いながら俺を見て手を叩いてる。

いや、10人でも嫌だけどな!!今からその10人のアソコちょん切ってやりたいぐらいだけどな!!

ただ、1000人でなかったことにホッとした俺はテラに言った。

K「ってか!親父に別れろって言われて落ち込んでたんじゃねぇの!?心配して損した。」

T「うん?うん。落ち込んでたよ。悲しかったしショックだった。」

K「じゃなんでこんな話に……!!」

T「ん?私さ?それで色々と考えたんだけど、今までの人たちと経験しても本当に気持ちが通じ合えたのはケイトだけだったんだよね。だから、お父様に別れろって言われても、そんな簡単に別れられないよ…もう一生、身も心も夢中になれるようなそんな人に出会える気がしないし。ケイトは…その辺どう思ってるのかな…と思って?」

テラはそう言ってニコッと笑いその笑顔はなぜか俺の心の中で懐かしさを思い出させた。

K「それは俺もそう…テラと同じ気持ち。」

T「なら決まりだね。」

K「え?何が決まりなの?」

T「ってかなんでケイトは組長と仲悪いの?」

なにが決まりなのか全く理解も出来ず、おまけに俺の問いかけを完全スルーされ、少しブルーだがテラの純粋な瞳を見つめると、もうそんなのどうでも良くなり俺はテラの前では若頭でも何でもなく、ただ素直で可愛い甘えん坊の僕ちゃんになってしまうからテラの問いかけには素直に答える。

K「仲悪いっていうか…恨まれてると思う…」

T「え?なんで?実の息子なのに…」

K「うん…俺のせいで母ちゃんが死んだからさ…」

俺がそう話すとテラの顔は悲しそうに歪んだ。


つづく
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