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39話
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ハウside
ケイトの治療をしムネオリさんの隠れ家に向かう直前、私はジニさんからあるものを渡された。
J「俺たちも身につけたから…一応お前も着とけ…今1番命を狙われてるのはケイトとお前だからな。」
そう言われて渡されたのは防弾ベスト。
それと同時に蘇るのは私を殺すために拳銃を持って出てきたムネオリさんの姿。
まさか…愛する人に命を狙われ……
子供の頃から周りに宿敵だと言われ続けた人達に命を守られるようになるなんて私は思っても見なかった。
ジニさんに言われるがまま上着の下に防弾ベストを身につけ、ムネオリさんの隠れ家へと向かう。
その時に私はもう…腹を括ったんだ。
最後まで私を信じてくれようとしたケイト側に付くことに……
そして、私はおとりになるようにして2人を隠れ家の中へと忍び込ませる。
ムネオリさんの部下たちは私を見つけた途端に顔色を変え力尽くで私を捕まえ取り押さえた。
女として産まれても子供の頃から格闘技を組の人たちから教わって育った私なら、相手が男でもこんな奴らはすぐに倒せるが、私は時間を稼ぐようにしてわざと捕まり適度に抵抗した。
そして、連れて行かれた先はムネオリさんの部屋。
私を跪かせているのは私よりもはるかに下だったはずの男たち。
そんな私の前には私の知らない顔をしたムネオリさんがニヤッと笑いながら立っていた。
M「ハウはホント諦め悪いね?わざわざ俺に殺されに来たの?」
H「そうだよ…どうせ天龍組に戻っても私は殺されるの…ならいっその事ムネオリさんが殺してよ…人生を掛けて愛したあなたに殺されるなら本望だよ…」
私がそう言うとムネオリさんは部下達を部屋の外に出し、私たちは2人っきりの空間となった。
ムネオリさんは無言のままゆっくりと私に近づきしゃがみ込んで私の頬を撫でる。
M「俺もハウのこと愛してたよ…テラと出会う前まではね…」
ムネオリさんはそう言うと、私の唇に自分の唇を重ね舌を絡めながら私を抱きしめる。
ずっと恋しかった温もりに涙が溢れ出すとムネオリさんはゆっくりと離れ、優しく微笑み私の左胸に拳銃を突きつけた。
そして、私はゆっくりと瞼を閉じる。
M「ハウ…ごめんね…本当に好きだったよ…だからお願い…これで…俺の前から消えて……。」
ムネオリさんがそう呟くとバァンッ!!と耳に響く音が鳴り響き、私はその場に倒れ込んだ。
近距離で撃たれた衝撃で一瞬、意識を飛ばしかけた私はムネオリさんの気配がなくなるとゆっくりと瞼を開けて起き上がる。
自分の身体をみればベージュのパーカーが真っ赤に染まっていて、本当に身体に銃弾を受けたようになっていた。
パーカーを捲ると防弾ベストに銃弾がめり込みそこから血のりが吹き出していた。
H「相手を騙すために血のりまで出すように細工してたのね…この防弾ベスト…」
私は苦笑いしながら立ち上がり、周りの様子を伺いながら部屋を出て倉庫に向かう。
そこあった石油ストーブに使う灯油タンクを手に取り、私は蓋を開けて廊下や階段に撒いていく。
ケイト…ジニさん…死んじゃダメよ。
私は心の中でそう呟くとムネオリさんのデスクの上にあったジッポを取り出し火を付けたまま床に落とした。
一瞬にして燃え広がる火を見つめ火災報知器が鳴り響くと、テラが閉じ込められている部屋へと向かった。
階段を登っている間、私は自問自答をした。
私はどうしたい?
どうすることがベストなんだ?
きっとこの状況でベストな結論なんてないのに必死で私はその答えを探す。
そして、部屋に入った瞬間…
わかった。
これがベストな結論だと。
私は迷いなく手に持っていた拳銃をムネオリさんに向け、ムネオリさんが引き金を引く前に引いた。
私の愛するムネオリさんに自分の好きな人を殺させるようなマネだけはさせたくなかったから。
大きな銃声の音は私の全てを破壊させた。
ケイトを庇っていたテラは微かに震え…
テラに庇われていたケイトは静かに泣いていた。
私の頭は冷静で血が溢れ出しグッタリと横たわるムネオリさんを見つめた。
K「ハウ!ここは危険だ早く行こう…!」
ケイトは必死な顔で私の腕を掴むと、不思議と私の目からひと筋の涙がこぼれ落ちた。
K「ハウ早く!俺たちと一緒に…逃げよう!」
ケイトはそう言って裏切り者の私を助けようと腕を引っ張るが私がそれを拒んだ。
H「やっぱり…ムネオリさん1人を置いて逃げるなんて…私には出来ないよ…」
やっぱり好きなの…忘れるなんて無理なの…
私がムネオリさんを裏切るなんて出来ない…
私の人生にはムネオリさんしかいないの。
K「でもハウこのままだと!!」
H「行って!!私は!私はケイトと敵対する覇道組の人間なの!私を置いて行って!!」
私はそう言うとケイトを力尽くで押し出し、部屋の扉を閉め鍵を閉めた。
そして、ゆっくりとムネオリさんを抱きしめ頬をよせると、私の涙がポタっとムネオリさんの頬にこぼれ落ちた。
M「ハウ……?」
その声を聞いた私は慌てて顔を上げムネオリさんの顔を見つめる。
H「ムネオリさん…ごめん…愛してるの…ごめんね…」
M「んふふ…やっぱり…防弾ベスト着てたんだね……」
ムネオリさんはそう言って顔を歪めながら笑うが、私からは涙が溢れ出すばかり。
M「抱きしめた時、本当は着てること分かったんだ。だから俺のあの言葉で…ハウは諦めて俺の元から去ってくれる…そう思って撃ったのにまさか…ハウが天龍組と手を組んでだなんて…」
H「ムネオリさん……ごめん…」
M「謝るのは俺の方だよ…俺の子を宿したハウに酷いことさせて…それなのにテラに夢中になって…」
H「それでもいいの……私がムネオリさんじゃなきゃ嫌なの…離れられないのよ。」
M「ハウは優しいね…ハウを裏切った俺のことなんて見捨てていいんだよ…ハウは…逃げて…あそこのボタンを…押すと…地下に繋がる…隠れ階段が…出てくるから…そこから逃げて…」
ムネオリさんはそう言うと顔を歪ませて私の胸を押す。
H「もういいの…私もムネオリさんと一緒にここで…」
M「940208…だよ…」
H「……え?」
M「あそこのパスワードは…940208…ハウ…キミの誕生日だよ。」
ムネオリさんはそう言って優しく微笑むとゆっくりと瞼を閉じた。
H「ムネオリさん!イヤよ!ムネオリさん!!」
私はそう叫ぶと愛しいムネオリさんを抱きしめた。
つづく
ケイトの治療をしムネオリさんの隠れ家に向かう直前、私はジニさんからあるものを渡された。
J「俺たちも身につけたから…一応お前も着とけ…今1番命を狙われてるのはケイトとお前だからな。」
そう言われて渡されたのは防弾ベスト。
それと同時に蘇るのは私を殺すために拳銃を持って出てきたムネオリさんの姿。
まさか…愛する人に命を狙われ……
子供の頃から周りに宿敵だと言われ続けた人達に命を守られるようになるなんて私は思っても見なかった。
ジニさんに言われるがまま上着の下に防弾ベストを身につけ、ムネオリさんの隠れ家へと向かう。
その時に私はもう…腹を括ったんだ。
最後まで私を信じてくれようとしたケイト側に付くことに……
そして、私はおとりになるようにして2人を隠れ家の中へと忍び込ませる。
ムネオリさんの部下たちは私を見つけた途端に顔色を変え力尽くで私を捕まえ取り押さえた。
女として産まれても子供の頃から格闘技を組の人たちから教わって育った私なら、相手が男でもこんな奴らはすぐに倒せるが、私は時間を稼ぐようにしてわざと捕まり適度に抵抗した。
そして、連れて行かれた先はムネオリさんの部屋。
私を跪かせているのは私よりもはるかに下だったはずの男たち。
そんな私の前には私の知らない顔をしたムネオリさんがニヤッと笑いながら立っていた。
M「ハウはホント諦め悪いね?わざわざ俺に殺されに来たの?」
H「そうだよ…どうせ天龍組に戻っても私は殺されるの…ならいっその事ムネオリさんが殺してよ…人生を掛けて愛したあなたに殺されるなら本望だよ…」
私がそう言うとムネオリさんは部下達を部屋の外に出し、私たちは2人っきりの空間となった。
ムネオリさんは無言のままゆっくりと私に近づきしゃがみ込んで私の頬を撫でる。
M「俺もハウのこと愛してたよ…テラと出会う前まではね…」
ムネオリさんはそう言うと、私の唇に自分の唇を重ね舌を絡めながら私を抱きしめる。
ずっと恋しかった温もりに涙が溢れ出すとムネオリさんはゆっくりと離れ、優しく微笑み私の左胸に拳銃を突きつけた。
そして、私はゆっくりと瞼を閉じる。
M「ハウ…ごめんね…本当に好きだったよ…だからお願い…これで…俺の前から消えて……。」
ムネオリさんがそう呟くとバァンッ!!と耳に響く音が鳴り響き、私はその場に倒れ込んだ。
近距離で撃たれた衝撃で一瞬、意識を飛ばしかけた私はムネオリさんの気配がなくなるとゆっくりと瞼を開けて起き上がる。
自分の身体をみればベージュのパーカーが真っ赤に染まっていて、本当に身体に銃弾を受けたようになっていた。
パーカーを捲ると防弾ベストに銃弾がめり込みそこから血のりが吹き出していた。
H「相手を騙すために血のりまで出すように細工してたのね…この防弾ベスト…」
私は苦笑いしながら立ち上がり、周りの様子を伺いながら部屋を出て倉庫に向かう。
そこあった石油ストーブに使う灯油タンクを手に取り、私は蓋を開けて廊下や階段に撒いていく。
ケイト…ジニさん…死んじゃダメよ。
私は心の中でそう呟くとムネオリさんのデスクの上にあったジッポを取り出し火を付けたまま床に落とした。
一瞬にして燃え広がる火を見つめ火災報知器が鳴り響くと、テラが閉じ込められている部屋へと向かった。
階段を登っている間、私は自問自答をした。
私はどうしたい?
どうすることがベストなんだ?
きっとこの状況でベストな結論なんてないのに必死で私はその答えを探す。
そして、部屋に入った瞬間…
わかった。
これがベストな結論だと。
私は迷いなく手に持っていた拳銃をムネオリさんに向け、ムネオリさんが引き金を引く前に引いた。
私の愛するムネオリさんに自分の好きな人を殺させるようなマネだけはさせたくなかったから。
大きな銃声の音は私の全てを破壊させた。
ケイトを庇っていたテラは微かに震え…
テラに庇われていたケイトは静かに泣いていた。
私の頭は冷静で血が溢れ出しグッタリと横たわるムネオリさんを見つめた。
K「ハウ!ここは危険だ早く行こう…!」
ケイトは必死な顔で私の腕を掴むと、不思議と私の目からひと筋の涙がこぼれ落ちた。
K「ハウ早く!俺たちと一緒に…逃げよう!」
ケイトはそう言って裏切り者の私を助けようと腕を引っ張るが私がそれを拒んだ。
H「やっぱり…ムネオリさん1人を置いて逃げるなんて…私には出来ないよ…」
やっぱり好きなの…忘れるなんて無理なの…
私がムネオリさんを裏切るなんて出来ない…
私の人生にはムネオリさんしかいないの。
K「でもハウこのままだと!!」
H「行って!!私は!私はケイトと敵対する覇道組の人間なの!私を置いて行って!!」
私はそう言うとケイトを力尽くで押し出し、部屋の扉を閉め鍵を閉めた。
そして、ゆっくりとムネオリさんを抱きしめ頬をよせると、私の涙がポタっとムネオリさんの頬にこぼれ落ちた。
M「ハウ……?」
その声を聞いた私は慌てて顔を上げムネオリさんの顔を見つめる。
H「ムネオリさん…ごめん…愛してるの…ごめんね…」
M「んふふ…やっぱり…防弾ベスト着てたんだね……」
ムネオリさんはそう言って顔を歪めながら笑うが、私からは涙が溢れ出すばかり。
M「抱きしめた時、本当は着てること分かったんだ。だから俺のあの言葉で…ハウは諦めて俺の元から去ってくれる…そう思って撃ったのにまさか…ハウが天龍組と手を組んでだなんて…」
H「ムネオリさん……ごめん…」
M「謝るのは俺の方だよ…俺の子を宿したハウに酷いことさせて…それなのにテラに夢中になって…」
H「それでもいいの……私がムネオリさんじゃなきゃ嫌なの…離れられないのよ。」
M「ハウは優しいね…ハウを裏切った俺のことなんて見捨てていいんだよ…ハウは…逃げて…あそこのボタンを…押すと…地下に繋がる…隠れ階段が…出てくるから…そこから逃げて…」
ムネオリさんはそう言うと顔を歪ませて私の胸を押す。
H「もういいの…私もムネオリさんと一緒にここで…」
M「940208…だよ…」
H「……え?」
M「あそこのパスワードは…940208…ハウ…キミの誕生日だよ。」
ムネオリさんはそう言って優しく微笑むとゆっくりと瞼を閉じた。
H「ムネオリさん!イヤよ!ムネオリさん!!」
私はそう叫ぶと愛しいムネオリさんを抱きしめた。
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