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32話
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ケイトside
いつの間に気を失ったのか、重い瞼をあけるとジニさんが必死な顔で強く俺の肩にある傷口を押さえていた。
今やもう、ウチの組には治療を任せていたハウはいない。
ここにいるジニさんや部下たちはそれがどういう事を意味しているのか知っているからどうする事も出来ず…ただ、青白い顔をしたまま俺の傷口を押さえることしか出来ないんだ。
K「ジ…ジニさん…俺は大丈夫だから…テラを…」
J「大丈夫なわけないだろ!?こんなに出血してるんだぞ!?」
K「大丈夫…ガーゼで押さえて締めればなんとか…なるから…」
俺がそう言って起き上がろうとするとそれを後ろから来たヨナさんが止めた。
Y「本当に死ぬよ…」
K「でも…治療全てを任せてたハウはもう…いないからこんな治療出来る人間が…ここにはいないんですよ…」
Y「救急車で病院に行きなさいよ!」
K「そんなこと出来たら苦労しないですよ…」
Y「…なら…私がやる。」
ヨナさんはそう言って後ろにいる部下たちに必要なモノを言っていき指示を出している。
K「何言ってるんですか…ヨナさんだって…怪我…してるじゃないですか…そんな簡単なもんじゃないですよ……」
J「そうだよ!しかも、治療なんて…拳銃の弾を取らなきゃいけないんだよ!?それって手術するって事なんだよ!?そんな簡単に!!」
Y「医学部に通ってたから……知識ならある。」
ヨナさんは俺の目をジッと見ながらそう言った。
J「医学部に…通ってたのか?」
Y「……うん…」
K「……でも実践は…ないって事ですね?」
Y「うん…」
K「分かりました。お願いします…。」
俺がそう言うとジニさんは驚きた顔をし、ヨナさんは大きく頷くと俺の部下たちと一緒に医療室へと向かった。
J「ケイト…本当に大丈夫なのかよ…」
K「こうなったらジニさんの好きな人であるヨナさんを信じるしかないでしょ…」
そうジニさんと話をしているとププが慌てて俺の元に来た。
P「若頭!GPSでお嬢の現在地が確認できました!」
K「どこだ。」
P「元〇〇公園跡地です。今はそこに屋敷のような建物が建っています。」
K「今すぐ所有者を確認しろ。」
P「はい。あとお嬢のネックレスにつけた盗聴器の電源が入りました!」
K「なに!?今すぐ音を拾え!」
P「はい!」
ププが急いでパソコンに繋げるとテラの声と覇道組の若頭であるムネオリの声が聞こえてきた。
T「……ここは…どこ?」
M「ん?ここは…俺とテラの家だよ。気に入った?」
T「こんなガラスケースに閉じ込められて…気に入るわけないよ…」
M「そう?テラが大好きだって言ってた場所なのにな…」
T「ここは…〇〇公園があった場所…?」
M「そう…昔、俺たちが朝まで語り合った〇〇公園だよ…土地を買って俺たちの隠れ家を建てたんだ…テラが喜ぶと思って。」
T「ムネオリ……ここから出して…お願い…」
そこまでの会話が聞こえると突然、ザーザーという雑音が入り盗聴器は途切れた。
K「早くテラを助けなきゃ…ガラスケースの中に閉じ込められてる…」
J「俺が行く。だからお前は…」
ジニさんがそこまで言いかけるとヨナさんが部屋へと戻ってきた。
Y「大変よ…ジニさん。」
J「どうした?何があった?」
Y「麻酔薬が入ってる棚の鍵はハウって人が持ってるって……麻酔なしじゃ…さすがに…」
K「やって下さい。麻酔薬以外はあるんですよね…?なら、麻酔なしで弾を取って下さい。」
J「ケイト!そんな無茶だ!」
K「早くしなきゃ…!テラが!!」
Y「………分かったわ…意識だけは飛ばしちゃダメよ…」
ヨナさんはそう言うと私のシャツを破り、手術の準備をしていくと、ジニさんは部屋を飛び出した。
手術の準備が整うと俺は口に布を噛み、部下たちは俺の手足と身体を押さえつけた。
Y「ケイトが言ったんだからね…途中でやめろなんて言うのはナシよ…」
そして、ヨナはは深く息を吐くと勢いよく俺の肩に消毒液をぶっ掛けた。
つづく
いつの間に気を失ったのか、重い瞼をあけるとジニさんが必死な顔で強く俺の肩にある傷口を押さえていた。
今やもう、ウチの組には治療を任せていたハウはいない。
ここにいるジニさんや部下たちはそれがどういう事を意味しているのか知っているからどうする事も出来ず…ただ、青白い顔をしたまま俺の傷口を押さえることしか出来ないんだ。
K「ジ…ジニさん…俺は大丈夫だから…テラを…」
J「大丈夫なわけないだろ!?こんなに出血してるんだぞ!?」
K「大丈夫…ガーゼで押さえて締めればなんとか…なるから…」
俺がそう言って起き上がろうとするとそれを後ろから来たヨナさんが止めた。
Y「本当に死ぬよ…」
K「でも…治療全てを任せてたハウはもう…いないからこんな治療出来る人間が…ここにはいないんですよ…」
Y「救急車で病院に行きなさいよ!」
K「そんなこと出来たら苦労しないですよ…」
Y「…なら…私がやる。」
ヨナさんはそう言って後ろにいる部下たちに必要なモノを言っていき指示を出している。
K「何言ってるんですか…ヨナさんだって…怪我…してるじゃないですか…そんな簡単なもんじゃないですよ……」
J「そうだよ!しかも、治療なんて…拳銃の弾を取らなきゃいけないんだよ!?それって手術するって事なんだよ!?そんな簡単に!!」
Y「医学部に通ってたから……知識ならある。」
ヨナさんは俺の目をジッと見ながらそう言った。
J「医学部に…通ってたのか?」
Y「……うん…」
K「……でも実践は…ないって事ですね?」
Y「うん…」
K「分かりました。お願いします…。」
俺がそう言うとジニさんは驚きた顔をし、ヨナさんは大きく頷くと俺の部下たちと一緒に医療室へと向かった。
J「ケイト…本当に大丈夫なのかよ…」
K「こうなったらジニさんの好きな人であるヨナさんを信じるしかないでしょ…」
そうジニさんと話をしているとププが慌てて俺の元に来た。
P「若頭!GPSでお嬢の現在地が確認できました!」
K「どこだ。」
P「元〇〇公園跡地です。今はそこに屋敷のような建物が建っています。」
K「今すぐ所有者を確認しろ。」
P「はい。あとお嬢のネックレスにつけた盗聴器の電源が入りました!」
K「なに!?今すぐ音を拾え!」
P「はい!」
ププが急いでパソコンに繋げるとテラの声と覇道組の若頭であるムネオリの声が聞こえてきた。
T「……ここは…どこ?」
M「ん?ここは…俺とテラの家だよ。気に入った?」
T「こんなガラスケースに閉じ込められて…気に入るわけないよ…」
M「そう?テラが大好きだって言ってた場所なのにな…」
T「ここは…〇〇公園があった場所…?」
M「そう…昔、俺たちが朝まで語り合った〇〇公園だよ…土地を買って俺たちの隠れ家を建てたんだ…テラが喜ぶと思って。」
T「ムネオリ……ここから出して…お願い…」
そこまでの会話が聞こえると突然、ザーザーという雑音が入り盗聴器は途切れた。
K「早くテラを助けなきゃ…ガラスケースの中に閉じ込められてる…」
J「俺が行く。だからお前は…」
ジニさんがそこまで言いかけるとヨナさんが部屋へと戻ってきた。
Y「大変よ…ジニさん。」
J「どうした?何があった?」
Y「麻酔薬が入ってる棚の鍵はハウって人が持ってるって……麻酔なしじゃ…さすがに…」
K「やって下さい。麻酔薬以外はあるんですよね…?なら、麻酔なしで弾を取って下さい。」
J「ケイト!そんな無茶だ!」
K「早くしなきゃ…!テラが!!」
Y「………分かったわ…意識だけは飛ばしちゃダメよ…」
ヨナさんはそう言うと私のシャツを破り、手術の準備をしていくと、ジニさんは部屋を飛び出した。
手術の準備が整うと俺は口に布を噛み、部下たちは俺の手足と身体を押さえつけた。
Y「ケイトが言ったんだからね…途中でやめろなんて言うのはナシよ…」
そして、ヨナはは深く息を吐くと勢いよく俺の肩に消毒液をぶっ掛けた。
つづく
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