Blue〜歪んだ愛と本当の愛〜

樺純

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28話

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ハウside

天龍組に入って、約4年で私が天龍組の幹部にまで上り詰めることが出来たのは、医学の知識とケイトの後ろめたさを利用し、ケイトからの絶大なる信頼を受けたから。

私に医療知識がなければここまでケイトから信用される事はなかっただろう。

しかし、私が天龍組にスパイとして入った事により年々ムネオリさんと会えるのは人目を盗み、情報を伝える時だけとなり、次第にそれすらもなくり、メールや電話でのやり取りが増えていったのがつい数ヶ月前の話で…

少しずつ溜まっていった不信感に怯えていた私はムネオリさんの声の異変に気付いた。

H「ムネオリさん……なんかあったの?」

電話越しに聞こえるムネオリさんの声があまりにも掠れていて、心配になった私はそう問いかけた。

M「ハウ……俺のこと…好き?」

H「急にどうしたのよ……そんな事…」

M「答えてよ……」

H「…好きだから…こうしてムネオリさんのために天龍組に潜入してるんでしょ……」

M「ならさ……取り返してよ…」

H「え?何を……?」

M「ケイトは俺からテラを奪ったんだ…だからテラを取り返して……」

私はムネオリさんの言っている意味が分からなかった。

テラという名前は数ヶ月ほど前からケイトの口から何度か聞いたことがあった。

最近、通っているケーキ屋のスタッフと仲良くなり、その店員の名前がテラというのだとケイトはとても幸せそうな顔をして私に話をしていた。

そんな話に興味はなかったがケイト…いや天龍組若頭の情報を少しでもムネオリさんに伝えないといけないという使命感から、私はその興味のない話に耳を傾けていた。

そんなテラという女とムネオリさんにどんな繋がりが…?

そう思った私は恐る恐るムネオリさんに問いかけた。

H「そのテラって人と…ムネオリさんは…どういう関係なの…?」

M「…ハウ…ごめんね……」

H「ムネオリさん?」

M「テラは俺の愛する人なんだ…」

まるで絶壁から突き落とされたような気分だった。

ムネオリさんは私を信じ必要とし、ずっと私の帰りを待っていてくれていると…心のどこかで思っていたから。

なのにムネオリさんは私の知らない間に誰かと恋をし恋愛をしていて…私とテラ…両方を天秤にかけいた。

H「そう…だったんだね…」

M「俺は男だから…寂しかったんだ…ごめんね…」

H「ムネオリさんは何も悪くないよ……私は…そのテラという人をムネオリさんの元に返せばいいのね?」

M「うん……私はもう…テラ無しじゃ生きていけないんだ…」

H「…分かった…だからもう…泣かないで…ムネオリさんが泣いてるのが…私は何よりも辛い…」

そして、私は電話を切り、ムネオリさんが雇った人間と協力してテラを連れ去るよう指示をした。

なのに、奴らはテラを連れ去ることに失敗し、厄介な事にケイトに見つかりケイトの屋敷へとテラが来る羽目となってしまった。

最悪の状況となった私は仕方なく、私と一緒に天龍組にスパイとして入ってるムネオリさんの部下たちに声をかけた。

H「今すぐテラと同じ店で働くヨナって女を捕まえなさい…人質にしてテラをこの屋敷から誘い出すわ。テラがケイトの元にいる事がムネオリさんにバレたら…あなた達の命はないと思いなさい。」

そう指示を出した部下達は見事、ヨナを連れ去ることに成功し、工場地帯の建物に閉じ込めた。

H「誰かさんが変な薬をテラに嗅がせたせいで今、テラは動けずケイトの屋敷いる。明日になれば動けるようになるだろから…テラからヨナのスマホに連絡が来たらこれを送って。それまではここで見張りよ…それくらい出来るわよね?」

私はムネオリさんの雇った出来の悪い男たちにそう指示をだし、部下たちとケイトの屋敷へと戻った。

つづく
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