28 / 77
28話
しおりを挟む
ハウside
天龍組に入って、約4年で私が天龍組の幹部にまで上り詰めることが出来たのは、医学の知識とケイトの後ろめたさを利用し、ケイトからの絶大なる信頼を受けたから。
私に医療知識がなければここまでケイトから信用される事はなかっただろう。
しかし、私が天龍組にスパイとして入った事により年々ムネオリさんと会えるのは人目を盗み、情報を伝える時だけとなり、次第にそれすらもなくり、メールや電話でのやり取りが増えていったのがつい数ヶ月前の話で…
少しずつ溜まっていった不信感に怯えていた私はムネオリさんの声の異変に気付いた。
H「ムネオリさん……なんかあったの?」
電話越しに聞こえるムネオリさんの声があまりにも掠れていて、心配になった私はそう問いかけた。
M「ハウ……俺のこと…好き?」
H「急にどうしたのよ……そんな事…」
M「答えてよ……」
H「…好きだから…こうしてムネオリさんのために天龍組に潜入してるんでしょ……」
M「ならさ……取り返してよ…」
H「え?何を……?」
M「ケイトは俺からテラを奪ったんだ…だからテラを取り返して……」
私はムネオリさんの言っている意味が分からなかった。
テラという名前は数ヶ月ほど前からケイトの口から何度か聞いたことがあった。
最近、通っているケーキ屋のスタッフと仲良くなり、その店員の名前がテラというのだとケイトはとても幸せそうな顔をして私に話をしていた。
そんな話に興味はなかったがケイト…いや天龍組若頭の情報を少しでもムネオリさんに伝えないといけないという使命感から、私はその興味のない話に耳を傾けていた。
そんなテラという女とムネオリさんにどんな繋がりが…?
そう思った私は恐る恐るムネオリさんに問いかけた。
H「そのテラって人と…ムネオリさんは…どういう関係なの…?」
M「…ハウ…ごめんね……」
H「ムネオリさん?」
M「テラは俺の愛する人なんだ…」
まるで絶壁から突き落とされたような気分だった。
ムネオリさんは私を信じ必要とし、ずっと私の帰りを待っていてくれていると…心のどこかで思っていたから。
なのにムネオリさんは私の知らない間に誰かと恋をし恋愛をしていて…私とテラ…両方を天秤にかけいた。
H「そう…だったんだね…」
M「俺は男だから…寂しかったんだ…ごめんね…」
H「ムネオリさんは何も悪くないよ……私は…そのテラという人をムネオリさんの元に返せばいいのね?」
M「うん……私はもう…テラ無しじゃ生きていけないんだ…」
H「…分かった…だからもう…泣かないで…ムネオリさんが泣いてるのが…私は何よりも辛い…」
そして、私は電話を切り、ムネオリさんが雇った人間と協力してテラを連れ去るよう指示をした。
なのに、奴らはテラを連れ去ることに失敗し、厄介な事にケイトに見つかりケイトの屋敷へとテラが来る羽目となってしまった。
最悪の状況となった私は仕方なく、私と一緒に天龍組にスパイとして入ってるムネオリさんの部下たちに声をかけた。
H「今すぐテラと同じ店で働くヨナって女を捕まえなさい…人質にしてテラをこの屋敷から誘い出すわ。テラがケイトの元にいる事がムネオリさんにバレたら…あなた達の命はないと思いなさい。」
そう指示を出した部下達は見事、ヨナを連れ去ることに成功し、工場地帯の建物に閉じ込めた。
H「誰かさんが変な薬をテラに嗅がせたせいで今、テラは動けずケイトの屋敷いる。明日になれば動けるようになるだろから…テラからヨナのスマホに連絡が来たらこれを送って。それまではここで見張りよ…それくらい出来るわよね?」
私はムネオリさんの雇った出来の悪い男たちにそう指示をだし、部下たちとケイトの屋敷へと戻った。
つづく
天龍組に入って、約4年で私が天龍組の幹部にまで上り詰めることが出来たのは、医学の知識とケイトの後ろめたさを利用し、ケイトからの絶大なる信頼を受けたから。
私に医療知識がなければここまでケイトから信用される事はなかっただろう。
しかし、私が天龍組にスパイとして入った事により年々ムネオリさんと会えるのは人目を盗み、情報を伝える時だけとなり、次第にそれすらもなくり、メールや電話でのやり取りが増えていったのがつい数ヶ月前の話で…
少しずつ溜まっていった不信感に怯えていた私はムネオリさんの声の異変に気付いた。
H「ムネオリさん……なんかあったの?」
電話越しに聞こえるムネオリさんの声があまりにも掠れていて、心配になった私はそう問いかけた。
M「ハウ……俺のこと…好き?」
H「急にどうしたのよ……そんな事…」
M「答えてよ……」
H「…好きだから…こうしてムネオリさんのために天龍組に潜入してるんでしょ……」
M「ならさ……取り返してよ…」
H「え?何を……?」
M「ケイトは俺からテラを奪ったんだ…だからテラを取り返して……」
私はムネオリさんの言っている意味が分からなかった。
テラという名前は数ヶ月ほど前からケイトの口から何度か聞いたことがあった。
最近、通っているケーキ屋のスタッフと仲良くなり、その店員の名前がテラというのだとケイトはとても幸せそうな顔をして私に話をしていた。
そんな話に興味はなかったがケイト…いや天龍組若頭の情報を少しでもムネオリさんに伝えないといけないという使命感から、私はその興味のない話に耳を傾けていた。
そんなテラという女とムネオリさんにどんな繋がりが…?
そう思った私は恐る恐るムネオリさんに問いかけた。
H「そのテラって人と…ムネオリさんは…どういう関係なの…?」
M「…ハウ…ごめんね……」
H「ムネオリさん?」
M「テラは俺の愛する人なんだ…」
まるで絶壁から突き落とされたような気分だった。
ムネオリさんは私を信じ必要とし、ずっと私の帰りを待っていてくれていると…心のどこかで思っていたから。
なのにムネオリさんは私の知らない間に誰かと恋をし恋愛をしていて…私とテラ…両方を天秤にかけいた。
H「そう…だったんだね…」
M「俺は男だから…寂しかったんだ…ごめんね…」
H「ムネオリさんは何も悪くないよ……私は…そのテラという人をムネオリさんの元に返せばいいのね?」
M「うん……私はもう…テラ無しじゃ生きていけないんだ…」
H「…分かった…だからもう…泣かないで…ムネオリさんが泣いてるのが…私は何よりも辛い…」
そして、私は電話を切り、ムネオリさんが雇った人間と協力してテラを連れ去るよう指示をした。
なのに、奴らはテラを連れ去ることに失敗し、厄介な事にケイトに見つかりケイトの屋敷へとテラが来る羽目となってしまった。
最悪の状況となった私は仕方なく、私と一緒に天龍組にスパイとして入ってるムネオリさんの部下たちに声をかけた。
H「今すぐテラと同じ店で働くヨナって女を捕まえなさい…人質にしてテラをこの屋敷から誘い出すわ。テラがケイトの元にいる事がムネオリさんにバレたら…あなた達の命はないと思いなさい。」
そう指示を出した部下達は見事、ヨナを連れ去ることに成功し、工場地帯の建物に閉じ込めた。
H「誰かさんが変な薬をテラに嗅がせたせいで今、テラは動けずケイトの屋敷いる。明日になれば動けるようになるだろから…テラからヨナのスマホに連絡が来たらこれを送って。それまではここで見張りよ…それくらい出来るわよね?」
私はムネオリさんの雇った出来の悪い男たちにそう指示をだし、部下たちとケイトの屋敷へと戻った。
つづく
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
赤髪騎士と同僚侍女のほのぼの婚約話(番外編あり)
しろねこ。
恋愛
赤髪の騎士ルドは久々の休日に母孝行として実家を訪れていた。
良い年頃なのに浮いた話だし一つ持ってこない息子に母は心配が止まらない。
人当たりも良く、ルックスも良く、給料も悪くないはずなのに、えっ?何で彼女出来ないわけ?
時として母心は息子を追い詰めるものなのは、どの世でも変わらない。
ルドの想い人は主君の屋敷で一緒に働いているお喋り侍女。
気が強く、お話大好き、時には乱暴な一面すら好ましく思う程惚れている。
一緒にいる時間が長いと好意も生まれやすいよね、というところからの職場内恋愛のお話です。
他作品で出ているサブキャラのお話。
こんな関係性があったのね、くらいのゆるい気持ちでお読み下さい。
このお話だけでも読めますが、他の作品も読むともっと楽しいかも(*´ω`*)?
完全自己満、ハピエン、ご都合主義の作者による作品です。
※小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿してます!

断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
命を狙われたお飾り妃の最後の願い
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】
重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。
イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。
短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。
『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
ポートレート・イン・ザ・ダーク ――ニューヨークで恋に落ちた人には裏の顔がある
木村
恋愛
市村みどりは『同僚の突然死』をきっかけに突発的に仕事を辞め、人生で一度行ってみたかった街ニューヨーク行きの飛行機に乗る。その飛行機の中で、顔以外全身入れ墨が入ったピアニスト、日比谷紫貴に助けられる。彼の外見に戸惑いつつも彼の持つ優しさにみどりは惹かれていく。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる