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25話
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テラside
ケイトは拳銃を胸ポケットに戻し、走って私の元に来てギュッと抱きしめる。
K「屋敷で良い子にしてろって言ったのに…」
T「ごめん…ごめんなさい……ヨナを助けなきゃと思って…誰にも言うなって言われたから……」
K「分かったよ…もう大丈夫…行こう…」
T「ヨナは!?」
私がそう言ってケイトの胸から顔をあげ、ヨナを見るとヨナの元にはジニさんが駆け寄っていてそっと優しく抱き上げていた。
J「テラちゃん…ヨナは俺が連れて行くから大丈夫だよ。」
私はジニさんのその言葉を聞いて頷きケイトと一緒に車に乗り込むと、安心したのか力が全身から抜けグッタリとケイトの胸にもたれ掛かった。
ケイトも私の肩に手を回しギュッと抱き寄せると、私の頬をそっと包み込みそのまま私の顔を自分の方に向かせるとゆっくりと私の唇に自分の唇を重ねた。
私はその感触に思わずケイトのジャケットの襟をギュッと掴む。
優しく啄むように重ねられた唇から離れると、ケイトは無言のまま私をまた抱きしめ直し、難しい顔のまま窓の外を眺めた。
屋敷に着くとケイトはすぐに部屋に戻るよう言った。
T「やだ!ヨナのそばにいたい!!」
K「今、ヨナさんは治療中なんでテラさんは部屋で待っててください!!」
T「そばにいるだけでいいから!!お願い!!」
K「ダメです!!絶対、部屋から出ないでください!!」
ケイトはそう言うと私の部屋の外鍵をかけ、部屋の前には部下の人を2人付けて消えていった。
私は不安の中、そのまま床にしゃがみ込み涙を流す。
私がムネオリと離れたから…
ヨナはこんな目に遭ってしまった…
私がケイトを頼ったから…
ケイトは宿敵のムネオリとさらに睨み、歪み合う結果となってしまった…
私がケイトを好きになった所からもう…
全ての歯車は狂い始めていた。
ただ、ケイトを好きなだけなのに…
私の好きと言う気持ちで沢山の人に迷惑をかけ苦しめてしまってるのかもしれない。
どうする事が正しいか、何が正解のなのかわからない私は、そんな自分が情けなくてただ涙を流す事しか出来なかった。
すると、ゆっくりと扉が開き私が涙をこぼしながら振り返ると、そこにはハウさんが立っていた。
H「あんまりケイトのこと…困らせたらダメだよ?首の傷の手当て…しようね?」
ハウさんはそう言って救急箱片手に私の横に座る。
そして、救急箱を開けると消毒液を手に取り傷口の様子を伺う。
しかし、私はさっきの映像が頭から離れず、思わずハウさんの伸ばした手を避けると笑顔だったハウさんの目つきが変わるのがわかった。
私は恐怖から咄嗟に立ち上がり廊下に出ると、そこにはさっきケイトが私の見張りとして付けてくれた部下の2人が倒れていた。
H「そんな怖がらなくても大丈夫…殺したりしないから。ほら、おいで…怪我の手当てするだけだよ?」
ハウさんはニコッと笑い立ち上がって私の方へと近づいてくる。
私は恐怖のあまり膝がガクガクと震え、転びそうになりながら壁を支えにして逃げようとするが、ハウさんはそんな私を見てケラケラと笑っていた。
H「残念ながら今は助けてくれるケイトは部下達を集めて離れの集会場で会議中……せっかくケイトが付けてくれた部下は私のお薬で気絶中…可愛いテラちゃん。絶体絶命だね?早くムネオリさんの所に行こうね?」
ハウさんの口からムネオリの名前が出て私は思わず固まった。
昨日、出会った人とはいえ信じていた…
私の怪我を手当てしてくれて…
ケイトから絶大なる信頼を受けている人だから。
だけど…
拳銃を撃った時のハウさんの目からは…
殺意が感じられて…
その殺意は私を捕まえていた男にではなく、私に向けられているように私は感じた。
でも…まさか…
そんな自分の勘が当たるだなんて…
私は思っても見なかったんだ…。
T「まさか…ハウさんは…ケイトじゃなくて…ムネオリの…味方なの?」
H「えへへ~バレちゃったね?」
そう言ったハウさんから逃れようと長い廊下を必死に走っても、足に力が入らない私は今にもハウさんに捕らえられそうだ。
しかし、ハウさんはそんな私とのやり取りを楽しむかのように、私を捕まえようとはせずただゆっくりと歩いて付いてくるだけ。
H「早く行かなきゃ…ムネオリさんが待ちくたびれてるよ?」
T「行かない…ムネオリの所には絶対行かない!!」
私がそう叫ぶと後ろから思いっきり髪を掴まれ、私は思わず倒れ込んだ。
H「なんでアンタなのよ…なんでアンタじゃなきゃムネオリさんの心は埋らないんだよ…」
そう言ったハウさんの目には涙が溢れ、狂気に染まり私は思わず叫んだ。
T「ケイト!!!!」
ハウさんは私の口を手で塞ぎ、そのまま引きずるようにして廊下を歩く。
すると、そこにはケイトの部下のはずの男達がいてハウさんは男に私を荒っぽく渡した。
H「ムネオリさんの所に連れて行くわよ。」
「はい!!」
その言葉のやり取りを聞いて、私はこの2人の男たちもムネオリの組のスパイなんだと分かった。
ハウさんが先頭を歩き、男2人は私の口を塞いだまま連れ去ろうとする。
あぁ…もう…終わった。
そう思った瞬間…
私を捕まえている男の足が止まった。
「裏切り者は…ハウだったんだね。」
その声を聞いた私が振り返るとそこにいたのはケイトだった。
H「はぁ…なんでここにいるわけ?離れで会議してるはずだけど?」
ハウさんは焦っている様子もなく、余裕な顔をしてため息混じりにそう言った。
K「テラの部屋にスマホ置き忘れたから離れから取りに戻ったらこれかよ。ムシの知らせ…ってヤツだな?」
ケイトはそう言うとポケットから拳銃を取り出して1人の男の頭に突きつけた。
K「テラを離せ。」
男たちはケイトの言う通り私を離し、私がケイトの元に駆け寄ろとした瞬間…!!
パァンッ!!!!!!
大きな銃声と共にケイトの身体が大きく弾み、肩から血が吹き出すとケイトはそのまま倒れ込んだ。
T「ケイト!!」
H「今よ!!この女を早く連れ出して!!」
「はい!!」
ケイトは肩から血を流しているのにまた、拳銃を手に取りハウさんに拳銃を向ける。
H「急ぎなさい!!銃声を聞いて他の奴らが戻ってくる!!」
「はい!!」
私は暴れて抵抗するとハウさんは諦めたような顔をして私の溝落ちを一発殴り…
私はそのまま意識を手放した。
つづく
ケイトは拳銃を胸ポケットに戻し、走って私の元に来てギュッと抱きしめる。
K「屋敷で良い子にしてろって言ったのに…」
T「ごめん…ごめんなさい……ヨナを助けなきゃと思って…誰にも言うなって言われたから……」
K「分かったよ…もう大丈夫…行こう…」
T「ヨナは!?」
私がそう言ってケイトの胸から顔をあげ、ヨナを見るとヨナの元にはジニさんが駆け寄っていてそっと優しく抱き上げていた。
J「テラちゃん…ヨナは俺が連れて行くから大丈夫だよ。」
私はジニさんのその言葉を聞いて頷きケイトと一緒に車に乗り込むと、安心したのか力が全身から抜けグッタリとケイトの胸にもたれ掛かった。
ケイトも私の肩に手を回しギュッと抱き寄せると、私の頬をそっと包み込みそのまま私の顔を自分の方に向かせるとゆっくりと私の唇に自分の唇を重ねた。
私はその感触に思わずケイトのジャケットの襟をギュッと掴む。
優しく啄むように重ねられた唇から離れると、ケイトは無言のまま私をまた抱きしめ直し、難しい顔のまま窓の外を眺めた。
屋敷に着くとケイトはすぐに部屋に戻るよう言った。
T「やだ!ヨナのそばにいたい!!」
K「今、ヨナさんは治療中なんでテラさんは部屋で待っててください!!」
T「そばにいるだけでいいから!!お願い!!」
K「ダメです!!絶対、部屋から出ないでください!!」
ケイトはそう言うと私の部屋の外鍵をかけ、部屋の前には部下の人を2人付けて消えていった。
私は不安の中、そのまま床にしゃがみ込み涙を流す。
私がムネオリと離れたから…
ヨナはこんな目に遭ってしまった…
私がケイトを頼ったから…
ケイトは宿敵のムネオリとさらに睨み、歪み合う結果となってしまった…
私がケイトを好きになった所からもう…
全ての歯車は狂い始めていた。
ただ、ケイトを好きなだけなのに…
私の好きと言う気持ちで沢山の人に迷惑をかけ苦しめてしまってるのかもしれない。
どうする事が正しいか、何が正解のなのかわからない私は、そんな自分が情けなくてただ涙を流す事しか出来なかった。
すると、ゆっくりと扉が開き私が涙をこぼしながら振り返ると、そこにはハウさんが立っていた。
H「あんまりケイトのこと…困らせたらダメだよ?首の傷の手当て…しようね?」
ハウさんはそう言って救急箱片手に私の横に座る。
そして、救急箱を開けると消毒液を手に取り傷口の様子を伺う。
しかし、私はさっきの映像が頭から離れず、思わずハウさんの伸ばした手を避けると笑顔だったハウさんの目つきが変わるのがわかった。
私は恐怖から咄嗟に立ち上がり廊下に出ると、そこにはさっきケイトが私の見張りとして付けてくれた部下の2人が倒れていた。
H「そんな怖がらなくても大丈夫…殺したりしないから。ほら、おいで…怪我の手当てするだけだよ?」
ハウさんはニコッと笑い立ち上がって私の方へと近づいてくる。
私は恐怖のあまり膝がガクガクと震え、転びそうになりながら壁を支えにして逃げようとするが、ハウさんはそんな私を見てケラケラと笑っていた。
H「残念ながら今は助けてくれるケイトは部下達を集めて離れの集会場で会議中……せっかくケイトが付けてくれた部下は私のお薬で気絶中…可愛いテラちゃん。絶体絶命だね?早くムネオリさんの所に行こうね?」
ハウさんの口からムネオリの名前が出て私は思わず固まった。
昨日、出会った人とはいえ信じていた…
私の怪我を手当てしてくれて…
ケイトから絶大なる信頼を受けている人だから。
だけど…
拳銃を撃った時のハウさんの目からは…
殺意が感じられて…
その殺意は私を捕まえていた男にではなく、私に向けられているように私は感じた。
でも…まさか…
そんな自分の勘が当たるだなんて…
私は思っても見なかったんだ…。
T「まさか…ハウさんは…ケイトじゃなくて…ムネオリの…味方なの?」
H「えへへ~バレちゃったね?」
そう言ったハウさんから逃れようと長い廊下を必死に走っても、足に力が入らない私は今にもハウさんに捕らえられそうだ。
しかし、ハウさんはそんな私とのやり取りを楽しむかのように、私を捕まえようとはせずただゆっくりと歩いて付いてくるだけ。
H「早く行かなきゃ…ムネオリさんが待ちくたびれてるよ?」
T「行かない…ムネオリの所には絶対行かない!!」
私がそう叫ぶと後ろから思いっきり髪を掴まれ、私は思わず倒れ込んだ。
H「なんでアンタなのよ…なんでアンタじゃなきゃムネオリさんの心は埋らないんだよ…」
そう言ったハウさんの目には涙が溢れ、狂気に染まり私は思わず叫んだ。
T「ケイト!!!!」
ハウさんは私の口を手で塞ぎ、そのまま引きずるようにして廊下を歩く。
すると、そこにはケイトの部下のはずの男達がいてハウさんは男に私を荒っぽく渡した。
H「ムネオリさんの所に連れて行くわよ。」
「はい!!」
その言葉のやり取りを聞いて、私はこの2人の男たちもムネオリの組のスパイなんだと分かった。
ハウさんが先頭を歩き、男2人は私の口を塞いだまま連れ去ろうとする。
あぁ…もう…終わった。
そう思った瞬間…
私を捕まえている男の足が止まった。
「裏切り者は…ハウだったんだね。」
その声を聞いた私が振り返るとそこにいたのはケイトだった。
H「はぁ…なんでここにいるわけ?離れで会議してるはずだけど?」
ハウさんは焦っている様子もなく、余裕な顔をしてため息混じりにそう言った。
K「テラの部屋にスマホ置き忘れたから離れから取りに戻ったらこれかよ。ムシの知らせ…ってヤツだな?」
ケイトはそう言うとポケットから拳銃を取り出して1人の男の頭に突きつけた。
K「テラを離せ。」
男たちはケイトの言う通り私を離し、私がケイトの元に駆け寄ろとした瞬間…!!
パァンッ!!!!!!
大きな銃声と共にケイトの身体が大きく弾み、肩から血が吹き出すとケイトはそのまま倒れ込んだ。
T「ケイト!!」
H「今よ!!この女を早く連れ出して!!」
「はい!!」
ケイトは肩から血を流しているのにまた、拳銃を手に取りハウさんに拳銃を向ける。
H「急ぎなさい!!銃声を聞いて他の奴らが戻ってくる!!」
「はい!!」
私は暴れて抵抗するとハウさんは諦めたような顔をして私の溝落ちを一発殴り…
私はそのまま意識を手放した。
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