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21話
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テラside
いつの間にか眠ってしまった私は寝返りを打った衝撃で全身に激痛が走り目が覚めた。
ゆっくりと身体を起こすと窓の外は明るくなっていて、昨夜よりも少しだけ腫れがマシになっている自分の顔が鏡に映る。
私が部屋を見渡すとシャワールームが見え、私はゆっくりと立ち上がりシャワーを浴びた。
ププが用意してくれたケイトの服に袖を通すとププの言う通り、私には大きくて首元がゴソゴソだった。
私は鏡の前に座りドライヤーで髪を乾かす。
髪を揺らすたびに首元が動き肩が見えそうになるな…と思いながら服の首元を持って元に戻すとふと、鏡越しに人影が目につき私は後ろを振り返った。
T「ケイト……おはよう。」
K「ぉ…おはようございます…ノックしたんですけど返事なかったから心配になって入りました…ごめんなさい。」
T「ううん…大丈夫だよ。私こそごめんね…」
ケイトの顔を見ると昨日のキスが頭に思い浮かび、私は顔が真っ赤になり全身が熱くなる。
K「テラさん?もしかして…怪我のせいで熱…でました?」
ケイトはそう言って慌てて私の元に駆け寄ると、私のおデコに手をあてて私の体温を見る。
熱なんて出ておらず今、私の顔が赤く染まってるのはケイトのせいなのにケイトはそんな事にも気づかずさらに、私をドキドキさせるんだ。
T「大丈夫だよ…熱なんて出てないもん…」
K「ほんとですか?体の調子おかしかったら無理せず言ってくださいね?」
T「うん…言うよ…」
K「分かりました。テラさん食欲はどうですか?下の食堂に朝ご飯を用意させてあるから一緒にどうかなと思って?」
T「うん。お腹すいた。」
K「じゃ…行きましょう。」
T「うん…ちょっと待って。」
私はベッド横にあるスマホを取るために前屈みになると、後ろからバサっとジャケットを肩にかけられた。
T「え?」
振り返るとそこにはケイトが立っていて…
そのジャケットはケイトがかけてくれたんだとすぐに理解し、私はケイトの顔を不思議に思いながら見つめる。
K「そのジャケット…着ててください…。」
そう言って私に袖を通させジャケットのボタンをしめるケイト。
なぜか、その顔には余裕はなくなんだか少し怒ってるようにも見えて、私はジャケットのボタンを閉めているケイトの顔を覗き込む。
T「私…別に寒くないよ?」
そう言うとケイトはチラッと私の目をみてすぐに逸らし自分の顎を触りながら言った。
K「いいから着ててください…胸元が見えそうだから…そのジャケット脱いだら…この部屋から一歩も外に出さないですよ!?分かりました!?」
T「え…は…はぁ…い…。」
ムキになるケイトを初めて目の当たりにし、驚いた私にケイトはハッとすると遠慮気味に私の手を繋いできた。
T「怒ってるんじゃないの?」
K「怒ってるんじゃなくて心配してるんです…ププに新しい服買いに行かせてるんで、あとでちゃんと着替えてくださいね。その服を着るのは俺の前だけにしてください。」
T「……わ…分かった…」
K「それと渡そうかどうか迷ったんですけど……」
ケイトはそう言うとポケットからクマの形をしたネックレスを取り出して私の目の前に揺らす。
T「うわぁ可愛いクマさん!!」
K「昨日、早急に作ってもらいました。お守りだと思って身につけててください。もし、何かあった時…このクマをギュッと強く握って俺のことを想ってくれたら必ず助けに行くんで。」
ケイトは恥ずかしそうにハニカミながらそう言うからつい、嬉しくなった私はケイトにギュッと抱きついた。
T「絶対だよ…絶対私のこと助けに来てね?」
私の言葉にケイトは深く頷くと私の首にそのネックレスを付けてくれた。
食堂に着き、重そうな大きな木の扉をケイトの部下の人が開くと、一斉にそこにいるケイトの部下の人たちが立ち上がりケイトに深々と頭を下げた。
そして、私の顔を大勢の人たちが物珍しそうにジッと見つめてくる。
私はその威圧感に耐えられず思わず後退った。
T「ケイト…私ここに入って大丈夫なの?なんか、場違いじゃない!?」
ケイトに近づき耳元でコソッとそう言うとケイトは咳払いをし私の手をグッと引き寄せ、私はバランスを崩しケイトに寄り添うようになってしまった。
K「いいから黙って俺の横にいればいいんですよ。」
そう言ったケイトの顔はすぐそこにあり私の心臓がドキドキと返事をするとケイトはニコッと笑って歩き出した。
つづく
いつの間にか眠ってしまった私は寝返りを打った衝撃で全身に激痛が走り目が覚めた。
ゆっくりと身体を起こすと窓の外は明るくなっていて、昨夜よりも少しだけ腫れがマシになっている自分の顔が鏡に映る。
私が部屋を見渡すとシャワールームが見え、私はゆっくりと立ち上がりシャワーを浴びた。
ププが用意してくれたケイトの服に袖を通すとププの言う通り、私には大きくて首元がゴソゴソだった。
私は鏡の前に座りドライヤーで髪を乾かす。
髪を揺らすたびに首元が動き肩が見えそうになるな…と思いながら服の首元を持って元に戻すとふと、鏡越しに人影が目につき私は後ろを振り返った。
T「ケイト……おはよう。」
K「ぉ…おはようございます…ノックしたんですけど返事なかったから心配になって入りました…ごめんなさい。」
T「ううん…大丈夫だよ。私こそごめんね…」
ケイトの顔を見ると昨日のキスが頭に思い浮かび、私は顔が真っ赤になり全身が熱くなる。
K「テラさん?もしかして…怪我のせいで熱…でました?」
ケイトはそう言って慌てて私の元に駆け寄ると、私のおデコに手をあてて私の体温を見る。
熱なんて出ておらず今、私の顔が赤く染まってるのはケイトのせいなのにケイトはそんな事にも気づかずさらに、私をドキドキさせるんだ。
T「大丈夫だよ…熱なんて出てないもん…」
K「ほんとですか?体の調子おかしかったら無理せず言ってくださいね?」
T「うん…言うよ…」
K「分かりました。テラさん食欲はどうですか?下の食堂に朝ご飯を用意させてあるから一緒にどうかなと思って?」
T「うん。お腹すいた。」
K「じゃ…行きましょう。」
T「うん…ちょっと待って。」
私はベッド横にあるスマホを取るために前屈みになると、後ろからバサっとジャケットを肩にかけられた。
T「え?」
振り返るとそこにはケイトが立っていて…
そのジャケットはケイトがかけてくれたんだとすぐに理解し、私はケイトの顔を不思議に思いながら見つめる。
K「そのジャケット…着ててください…。」
そう言って私に袖を通させジャケットのボタンをしめるケイト。
なぜか、その顔には余裕はなくなんだか少し怒ってるようにも見えて、私はジャケットのボタンを閉めているケイトの顔を覗き込む。
T「私…別に寒くないよ?」
そう言うとケイトはチラッと私の目をみてすぐに逸らし自分の顎を触りながら言った。
K「いいから着ててください…胸元が見えそうだから…そのジャケット脱いだら…この部屋から一歩も外に出さないですよ!?分かりました!?」
T「え…は…はぁ…い…。」
ムキになるケイトを初めて目の当たりにし、驚いた私にケイトはハッとすると遠慮気味に私の手を繋いできた。
T「怒ってるんじゃないの?」
K「怒ってるんじゃなくて心配してるんです…ププに新しい服買いに行かせてるんで、あとでちゃんと着替えてくださいね。その服を着るのは俺の前だけにしてください。」
T「……わ…分かった…」
K「それと渡そうかどうか迷ったんですけど……」
ケイトはそう言うとポケットからクマの形をしたネックレスを取り出して私の目の前に揺らす。
T「うわぁ可愛いクマさん!!」
K「昨日、早急に作ってもらいました。お守りだと思って身につけててください。もし、何かあった時…このクマをギュッと強く握って俺のことを想ってくれたら必ず助けに行くんで。」
ケイトは恥ずかしそうにハニカミながらそう言うからつい、嬉しくなった私はケイトにギュッと抱きついた。
T「絶対だよ…絶対私のこと助けに来てね?」
私の言葉にケイトは深く頷くと私の首にそのネックレスを付けてくれた。
食堂に着き、重そうな大きな木の扉をケイトの部下の人が開くと、一斉にそこにいるケイトの部下の人たちが立ち上がりケイトに深々と頭を下げた。
そして、私の顔を大勢の人たちが物珍しそうにジッと見つめてくる。
私はその威圧感に耐えられず思わず後退った。
T「ケイト…私ここに入って大丈夫なの?なんか、場違いじゃない!?」
ケイトに近づき耳元でコソッとそう言うとケイトは咳払いをし私の手をグッと引き寄せ、私はバランスを崩しケイトに寄り添うようになってしまった。
K「いいから黙って俺の横にいればいいんですよ。」
そう言ったケイトの顔はすぐそこにあり私の心臓がドキドキと返事をするとケイトはニコッと笑って歩き出した。
つづく
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