Blue〜歪んだ愛と本当の愛〜

樺純

文字の大きさ
上 下
16 / 77

16話

しおりを挟む
ケイトside

テラさんとヨナさんを見送り、ジニさんと一緒にそれぞれの部屋に戻った。

さっきまで俺とテラさんが熱い口付けを交わしていたベッドにふと視線を向けると、テラさんを押し倒した時に落としたのだろうか?

テラさんのスマホがベッドの上にあった。

さすがにスマホがないと困るだろう…

俺はそのスマホを手に取り、慌ててカジノから飛び出すと人で賑わう街中を小走りで大通りの方へと向かう。

まだ、タクシーに乗ってないといいけど…

そう思いながら走っていると微かな叫び声が聞こえ俺の足が止まった。

暗闇の中、微かに浮かぶ人影に目を凝らして見てみると男が馬乗りになって誰かを殴っている姿が浮かび上がった。

正直、若頭という立場柄…余計な面倒には巻き込まれたくはない。

そう思いながらも見て見ぬふりが出来なかった俺は、テラさんのスマホをポケットの中へと入れて走るとその男の首根っこを掴み吹き飛ばした。

男は抵抗し俺に殴りかかろうとするので何発か殴り飛ばすと、その重みのあるパンチに怯えたのか走って逃げていき、黒塗りの車に乗り込み俺はその見覚えのあるナンバーを見て眉をひそめた。

背後から微かに声が聞こえて慌てて振り返ると、俺はまさかの光景に全身から血の気が引いた。

あの男に襲われていたのは俺の大切なテラさんだったから。

微かに震える手でテラさんの背中に手を回し、自分の膝の上に体を乗せるとテラさんはそのままゆっくりと瞼を閉じた。

俺は焦りからか、震える手でジニさんに電話をかけた。

K「もしもし…ジニさん…問題発生…」

J「何があった!?」

K「テラさんが何者かに襲われた…今からあそこに連れて帰るから…準備してて欲しい…」

J「なんだって!?テラちゃんが!?…ケイトでもそんな事したらテラちゃんにお前のこと…」

K「もういいんです…なので準備しておいてください…」

J「分かった…」

そうして俺はジニさんとの電話を切ると、痛々しい怪我をしてしまったテラさんの頬をなで、抱き上げた。


つづく
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

赤髪騎士と同僚侍女のほのぼの婚約話(番外編あり)

しろねこ。
恋愛
赤髪の騎士ルドは久々の休日に母孝行として実家を訪れていた。 良い年頃なのに浮いた話だし一つ持ってこない息子に母は心配が止まらない。 人当たりも良く、ルックスも良く、給料も悪くないはずなのに、えっ?何で彼女出来ないわけ? 時として母心は息子を追い詰めるものなのは、どの世でも変わらない。 ルドの想い人は主君の屋敷で一緒に働いているお喋り侍女。 気が強く、お話大好き、時には乱暴な一面すら好ましく思う程惚れている。 一緒にいる時間が長いと好意も生まれやすいよね、というところからの職場内恋愛のお話です。 他作品で出ているサブキャラのお話。 こんな関係性があったのね、くらいのゆるい気持ちでお読み下さい。 このお話だけでも読めますが、他の作品も読むともっと楽しいかも(*´ω`*)? 完全自己満、ハピエン、ご都合主義の作者による作品です。 ※小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿してます!

秘密の多い彼との関係を切れない私の話

下菊みこと
恋愛
秘密の多い彼と思ったより愛し愛されていたお話。 御都合主義のハッピーエンドのSS。 小説家になろう様でも投稿しています。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

命を狙われたお飾り妃の最後の願い

幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】 重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。 イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。 短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。 『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。

とまどいの花嫁は、夫から逃げられない

椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ 初夜、夫は愛人の家へと行った。 戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。 「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」 と言い置いて。 やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に 彼女は強い違和感を感じる。 夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り 突然彼女を溺愛し始めたからだ ______________________ ✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定) ✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです ✴︎なろうさんにも投稿しています 私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

ポートレート・イン・ザ・ダーク ――ニューヨークで恋に落ちた人には裏の顔がある

木村
恋愛
市村みどりは『同僚の突然死』をきっかけに突発的に仕事を辞め、人生で一度行ってみたかった街ニューヨーク行きの飛行機に乗る。その飛行機の中で、顔以外全身入れ墨が入ったピアニスト、日比谷紫貴に助けられる。彼の外見に戸惑いつつも彼の持つ優しさにみどりは惹かれていく。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

処理中です...