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第四十七話
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アノンサイド
微かに震える手でゆっくりと病室の扉を開けるとそこには遥かに人相が変わってしまったラノンがいた。
A「ラノン…?」
私がそう声をかけるとラノンはじっと私を見つめる。
L「アノン…来てくれたの?」
私が知っているラノンはいつも強気で明るくて誰からも愛されていつもキラキラしていた。
なのに今、目の前にいるラノンは誰なのか分からないほどまつ毛に影を落としどんよりとしていた。
私は恐る恐るラノンに近づき、ベッドサイドにあった椅子に座る。
L「アノンが来てくれるなんて嬉しい…うふふ…私ね?病気になっちゃった。」
ラノンはそう言って笑っているが、私は顔が強張ったままじっと変わり果てた姿のラノンを見つめることしかできなかった。
A「ご飯は?食べてる?」
L「うん…ちゃんと食べてるよ。」
ちょっと食べてると言ってるラノンなのにラノンの腕は私より遥かに細くて皮と骨だけだった。
A「今日はね…ラノンとちゃんと話がしてくて来たんだ…いいかな?」
L「うん…私もアノンとずっと話したかった…ずっと…」
ラノンはそう言うとひと筋の涙をこぼした。
私は何から話せばいいのか分からなかったが、子供のころに感じていた不満やラノンに対する劣等感があった事を伝えた。
すると、ラノンもそれは私のセリフだよって笑いながら話しだし、ラノンの話を聞いた私もそれは私のセリフ!と言って初めて私たち姉妹は笑いながら心穏やかに会話が出来たような気がした。
双子として生まれた私たちは愛されたいという気持ちが互いに強すぎるあまり、お互いに劣等感を抱き、自然と相手を妬むようになっていたのかもしれない。
すると、ラノンはスッと私の手を握り申し訳なさそうな顔をして話し出した。
L「私ね?アノンに謝らないといけないこと沢山ある…本当にこれまで辛い思いさせてごめんね。」
A「ううん…私もごめん…私だって気づかない間に沢山ラノンを傷つけた。」
私がそう言うとラノンは軽く深呼吸しながら口を開く。
L「キヒヤがね…急にアノンに冷たい態度取ったり…無視しだしたの覚えてる?」
A「う…うん…」
L「あれね…全部私のせいなの…私がキヒヤを脅してたの…アノンと仲良くしたらアノンの変な噂流すって…だからアノンと仲良くしないで…ってごめんね…」
A「そうだったんだ…あのキヒヤが急におかしいとは思ったんだ…」
L「羨ましかった。私はみんなから好かれるのに必死で媚びてるのにアノンはいつも自然体で誰にも媚びずにいるのに周りから好かれてみんなアノンに夢中で…ずっとアノンのことが羨ましくて…だからアノンが1番大事にしてる人を奪おうと思ったの…本当にごめん…」
ラノンの言葉を聞けば聞くほどあの頃の記憶が蘇って、もう大丈夫だと思っていたはずのトラウマはまだ完全に治りきっていないんだと思った。
A「今日ね?実はキヒヤがここに連れて来てくれたんだ。今も病室の外で待ってる。」
L「そっか…キヒヤと仲直りしたんだね…私だけひとりぼっち。」
A「それは違うよ?キヒヤはラノンのことも凄く心配してる。キヒヤは今日、ラノンのに会いに行かない?って私に言ってくれたけど、それは私のためでもありラノンのためでもあるんじゃないのかな?」
L「え?」
A「私とラノンが抱えてきたトラウマや過去の気持ちをこうやって私たちが話すことで清算して、お互い少しずつ前に進んでほしいってキヒヤは思ってるんじゃない?キヒヤは…私だけの幼なじみじゃないよ。ラノン…あなたの幼なじみでもある。だから…少しだけ前を向いて病気…治そう?」
L「アノン…ありがとう…」
ラノンはそう言うと涙をポロポロと流していた。
病室を出るとソファにキヒヤが座って待っていた。
K「ラノンと話せた?」
A「うん…キヒヤはラノンに会ってかないの?」
K「今日はアノンと会って疲れただろうし、また今度にするよ。」
キヒヤはそう言うとユサの店まで車を走らせた。
つづく
微かに震える手でゆっくりと病室の扉を開けるとそこには遥かに人相が変わってしまったラノンがいた。
A「ラノン…?」
私がそう声をかけるとラノンはじっと私を見つめる。
L「アノン…来てくれたの?」
私が知っているラノンはいつも強気で明るくて誰からも愛されていつもキラキラしていた。
なのに今、目の前にいるラノンは誰なのか分からないほどまつ毛に影を落としどんよりとしていた。
私は恐る恐るラノンに近づき、ベッドサイドにあった椅子に座る。
L「アノンが来てくれるなんて嬉しい…うふふ…私ね?病気になっちゃった。」
ラノンはそう言って笑っているが、私は顔が強張ったままじっと変わり果てた姿のラノンを見つめることしかできなかった。
A「ご飯は?食べてる?」
L「うん…ちゃんと食べてるよ。」
ちょっと食べてると言ってるラノンなのにラノンの腕は私より遥かに細くて皮と骨だけだった。
A「今日はね…ラノンとちゃんと話がしてくて来たんだ…いいかな?」
L「うん…私もアノンとずっと話したかった…ずっと…」
ラノンはそう言うとひと筋の涙をこぼした。
私は何から話せばいいのか分からなかったが、子供のころに感じていた不満やラノンに対する劣等感があった事を伝えた。
すると、ラノンもそれは私のセリフだよって笑いながら話しだし、ラノンの話を聞いた私もそれは私のセリフ!と言って初めて私たち姉妹は笑いながら心穏やかに会話が出来たような気がした。
双子として生まれた私たちは愛されたいという気持ちが互いに強すぎるあまり、お互いに劣等感を抱き、自然と相手を妬むようになっていたのかもしれない。
すると、ラノンはスッと私の手を握り申し訳なさそうな顔をして話し出した。
L「私ね?アノンに謝らないといけないこと沢山ある…本当にこれまで辛い思いさせてごめんね。」
A「ううん…私もごめん…私だって気づかない間に沢山ラノンを傷つけた。」
私がそう言うとラノンは軽く深呼吸しながら口を開く。
L「キヒヤがね…急にアノンに冷たい態度取ったり…無視しだしたの覚えてる?」
A「う…うん…」
L「あれね…全部私のせいなの…私がキヒヤを脅してたの…アノンと仲良くしたらアノンの変な噂流すって…だからアノンと仲良くしないで…ってごめんね…」
A「そうだったんだ…あのキヒヤが急におかしいとは思ったんだ…」
L「羨ましかった。私はみんなから好かれるのに必死で媚びてるのにアノンはいつも自然体で誰にも媚びずにいるのに周りから好かれてみんなアノンに夢中で…ずっとアノンのことが羨ましくて…だからアノンが1番大事にしてる人を奪おうと思ったの…本当にごめん…」
ラノンの言葉を聞けば聞くほどあの頃の記憶が蘇って、もう大丈夫だと思っていたはずのトラウマはまだ完全に治りきっていないんだと思った。
A「今日ね?実はキヒヤがここに連れて来てくれたんだ。今も病室の外で待ってる。」
L「そっか…キヒヤと仲直りしたんだね…私だけひとりぼっち。」
A「それは違うよ?キヒヤはラノンのことも凄く心配してる。キヒヤは今日、ラノンのに会いに行かない?って私に言ってくれたけど、それは私のためでもありラノンのためでもあるんじゃないのかな?」
L「え?」
A「私とラノンが抱えてきたトラウマや過去の気持ちをこうやって私たちが話すことで清算して、お互い少しずつ前に進んでほしいってキヒヤは思ってるんじゃない?キヒヤは…私だけの幼なじみじゃないよ。ラノン…あなたの幼なじみでもある。だから…少しだけ前を向いて病気…治そう?」
L「アノン…ありがとう…」
ラノンはそう言うと涙をポロポロと流していた。
病室を出るとソファにキヒヤが座って待っていた。
K「ラノンと話せた?」
A「うん…キヒヤはラノンに会ってかないの?」
K「今日はアノンと会って疲れただろうし、また今度にするよ。」
キヒヤはそう言うとユサの店まで車を走らせた。
つづく
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