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第三十話
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ミネトサイド
数日後
どことなく緊張した様子のジオくんはスーツを着て襟を正す。
M「ジオくん…頼むよ!!契約すればこっちのもんだから!!」
J「分かった…行ってくる。」
そして、ジオくんは店からアンさんとの約束のホテルへとむかった。
少し落ち着きのないユサくんを見かねて俺はコーヒーをユサくんのの前に出す。
M「コーヒーどうぞ…」
Y「あぁ…ありがとう。」
ゆっくりとコーヒーを啜り窓の外を眺めながらユサくんは俺に話しかけた。
Y「お前さ?アノンとこの5年間…連絡は取ってたんだろ?」
そう…アノンがここを辞めてからも俺はずっとアノンと連絡だけは取り合っていた。
アノンは心配いらないよ。新しい就職決まったよ。住むとこも決まった。
そう言って細かく俺が心配しないように教えてくれていた。
ただ…アノンにどこで何をして働いているのか聞いても普通のOLって言うだけだった。
俺は海外でなんてひと言も聞いてない。
あのブレスレットはユサくんの見間違いでやっぱり別人なのかな…?そう思う気持ちもあった。
M「うん…電話したりメールでのやり取りはしてたけどあれから会ってはない。元気にしてるみたいだったら安心してたけど……」
Y「そっか……」
そう言って肩を落とすユサくんに俺はずっと聞いてみたいことがあり、それをこの機会に聞いてみた。
M「ユサくんはさ?姉ちゃんとアノンを重ねたこと…ある?」
今まで聞きたくても聞いちゃいけないような気がして聞けなかったことを問いかける。
Y「お前はあるのかよ…」
M「俺は1度もないかな……見た目も性格も言うことまで似てるけど……決定的に違う所が1つあったから…」
Y「違うとこ?どこだよそれ…」
M「それは……」
Y「それは……?」
M「秘密www」
Y「真面目に聞いて損した。」
M「で?あるの?ないの?」
Y「ないよ。お前の言う通りルルとアノンでは決定的に違う所があったから…俺はアノンがそうだったから…放っておけなかった。ルルと全く同じだったら…たぶんそのままスルーしてたかな。ルルはルルだからさ。」
ユサくんはそう言ってコーヒーを見つめ何かを思い出しているように表情をしている。
それは姉ちゃんを思い出してるのか?
それともアノンを思い出してるのか?
それは俺にはわからなかった。
M「でも、なんだかんだ言ってユサくんもアノンに会いたいんだね?もう、会いたくないって思ってるのかと思ってたよ。」
Y「自分で追い出しておいて会いたいなんて言えねぇからな。」
M「甘ったれなアノンのことだからあの日、すぐに泣いて帰ってくるとでも思ってた?」
Y「まぁな……」
M「今度はユサくんが口説く番だね?」
Y「は?なんで俺が?」
M「5年間経っても1度もユサくんに連絡してこなかったんだよ?もう、ユサくんの存在すら忘れてるかもな~。」
Y「たった5年で忘れるとか頭悪すぎだろ。」
M「それがアノンにとって辛い事だったら…忘れてるかもね…?」
なんて少しユサくんに意地悪な言い方をして俺はキッチンへと戻った。
そして、俺は愛しい彼女にメールをする。
M「サラナ~2号店のオープン決まったよ!!そして、なんと!!2号店の店長を任される事になりました~!!このことは俺から直接、アノンに伝えたいのでまだ、アノンには内緒だよ?じゃ、また後でね~愛してるぅ~」
この5年間で俺の彼女になったサラナ。
サラナは今、お父さんの会社経営を手伝っている。
サラナもアノンとは会うことはなかったみたいだが、連絡はずっと取り合っていたようで、俺はアノンに会うことはなくてもすっかり安心していたし、俺の顔を見ればユサくんの事を思い出して辛いだろうと思い、アノンから会いたいと言われるまで待っていた。
SR「うわぁ~!!すごい!!お祝いしなきゃだね!!きっと、アノンも喜ぶよ♪絶対、バレないように気をつけます。じゃ、また後でね~!!」
俺はスマホの返信を見てスマホを元の場所に戻す。
すると、ユサくんのスマホが鳴った。
Y「もしもし………え…あぁ…分かった。」
スマホをゆっくりとテーブルに置き深いため息を落とすユサくん。
M「ユサくん…ジオくんからですよね?やっぱ…ダメでした?」
Y「いや……それがまずい事になった…」
M「え?」
Y「アンさんがウチのケーキを気に入って1度、オープンする店の店内を見学してパティシエと話しがしたいって…」
M「ってことは…あのジオくんは…担当者とじゃなくてアンさん本人と会ったってこと…?」
Y「あぁ…みたいだな…?」
M「写真!!アノンの写真!!持ってます!?俺、実家にまで取りに行かないとない!!」
Y「え…あぁ…アノンの写真なら前のスマホに入って…」
M「今すぐ充電して起動させて! 」
Y「お…おう…」
そうして、俺たちはジオくんが帰ってくるのを今か今かと待った。
つづく
数日後
どことなく緊張した様子のジオくんはスーツを着て襟を正す。
M「ジオくん…頼むよ!!契約すればこっちのもんだから!!」
J「分かった…行ってくる。」
そして、ジオくんは店からアンさんとの約束のホテルへとむかった。
少し落ち着きのないユサくんを見かねて俺はコーヒーをユサくんのの前に出す。
M「コーヒーどうぞ…」
Y「あぁ…ありがとう。」
ゆっくりとコーヒーを啜り窓の外を眺めながらユサくんは俺に話しかけた。
Y「お前さ?アノンとこの5年間…連絡は取ってたんだろ?」
そう…アノンがここを辞めてからも俺はずっとアノンと連絡だけは取り合っていた。
アノンは心配いらないよ。新しい就職決まったよ。住むとこも決まった。
そう言って細かく俺が心配しないように教えてくれていた。
ただ…アノンにどこで何をして働いているのか聞いても普通のOLって言うだけだった。
俺は海外でなんてひと言も聞いてない。
あのブレスレットはユサくんの見間違いでやっぱり別人なのかな…?そう思う気持ちもあった。
M「うん…電話したりメールでのやり取りはしてたけどあれから会ってはない。元気にしてるみたいだったら安心してたけど……」
Y「そっか……」
そう言って肩を落とすユサくんに俺はずっと聞いてみたいことがあり、それをこの機会に聞いてみた。
M「ユサくんはさ?姉ちゃんとアノンを重ねたこと…ある?」
今まで聞きたくても聞いちゃいけないような気がして聞けなかったことを問いかける。
Y「お前はあるのかよ…」
M「俺は1度もないかな……見た目も性格も言うことまで似てるけど……決定的に違う所が1つあったから…」
Y「違うとこ?どこだよそれ…」
M「それは……」
Y「それは……?」
M「秘密www」
Y「真面目に聞いて損した。」
M「で?あるの?ないの?」
Y「ないよ。お前の言う通りルルとアノンでは決定的に違う所があったから…俺はアノンがそうだったから…放っておけなかった。ルルと全く同じだったら…たぶんそのままスルーしてたかな。ルルはルルだからさ。」
ユサくんはそう言ってコーヒーを見つめ何かを思い出しているように表情をしている。
それは姉ちゃんを思い出してるのか?
それともアノンを思い出してるのか?
それは俺にはわからなかった。
M「でも、なんだかんだ言ってユサくんもアノンに会いたいんだね?もう、会いたくないって思ってるのかと思ってたよ。」
Y「自分で追い出しておいて会いたいなんて言えねぇからな。」
M「甘ったれなアノンのことだからあの日、すぐに泣いて帰ってくるとでも思ってた?」
Y「まぁな……」
M「今度はユサくんが口説く番だね?」
Y「は?なんで俺が?」
M「5年間経っても1度もユサくんに連絡してこなかったんだよ?もう、ユサくんの存在すら忘れてるかもな~。」
Y「たった5年で忘れるとか頭悪すぎだろ。」
M「それがアノンにとって辛い事だったら…忘れてるかもね…?」
なんて少しユサくんに意地悪な言い方をして俺はキッチンへと戻った。
そして、俺は愛しい彼女にメールをする。
M「サラナ~2号店のオープン決まったよ!!そして、なんと!!2号店の店長を任される事になりました~!!このことは俺から直接、アノンに伝えたいのでまだ、アノンには内緒だよ?じゃ、また後でね~愛してるぅ~」
この5年間で俺の彼女になったサラナ。
サラナは今、お父さんの会社経営を手伝っている。
サラナもアノンとは会うことはなかったみたいだが、連絡はずっと取り合っていたようで、俺はアノンに会うことはなくてもすっかり安心していたし、俺の顔を見ればユサくんの事を思い出して辛いだろうと思い、アノンから会いたいと言われるまで待っていた。
SR「うわぁ~!!すごい!!お祝いしなきゃだね!!きっと、アノンも喜ぶよ♪絶対、バレないように気をつけます。じゃ、また後でね~!!」
俺はスマホの返信を見てスマホを元の場所に戻す。
すると、ユサくんのスマホが鳴った。
Y「もしもし………え…あぁ…分かった。」
スマホをゆっくりとテーブルに置き深いため息を落とすユサくん。
M「ユサくん…ジオくんからですよね?やっぱ…ダメでした?」
Y「いや……それがまずい事になった…」
M「え?」
Y「アンさんがウチのケーキを気に入って1度、オープンする店の店内を見学してパティシエと話しがしたいって…」
M「ってことは…あのジオくんは…担当者とじゃなくてアンさん本人と会ったってこと…?」
Y「あぁ…みたいだな…?」
M「写真!!アノンの写真!!持ってます!?俺、実家にまで取りに行かないとない!!」
Y「え…あぁ…アノンの写真なら前のスマホに入って…」
M「今すぐ充電して起動させて! 」
Y「お…おう…」
そうして、俺たちはジオくんが帰ってくるのを今か今かと待った。
つづく
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