26 / 49
第二十六話
しおりを挟む
キヒヤサイド
遊園地の中の土地勘がなく、探しても見つからない。
次第に空は暗くなり雨が降り始めた。
水を吸って重くなる靴で走り回る。
どこだよ…ここ…
自分自身が迷子になってしまいそうになる中…
アノンを事だけをただ夢中で想った。
もしかしてあいつ…1人で帰ろうとしてるんじゃ…そう思った俺は遊園地を出て駅の方へ向かうのに駐車場を抜けて行こうとすると、ふとアノンの後ろ姿が見えて咄嗟に俺は後ろから抱きしめた。
A「きゃッ!!!!」
K「俺だよ俺!!」
A「キヒヤ…?」
アノンは微かに震えて自ら俺にしがみつきその感触に俺の胸が締め付けられる。
K「良かった…無事で…」
安心してアノンをぎゅっと抱きしめるとアノンはハッとした顔をして俺から離れた。
A「ごめん…パニックなってて…つい…」
そんな顔…するなよ…
俺はアノンのアゴを掴み少し強引なキスをした。
触れ合うだけのキスではなく啄むような少し大人なキスをした。
アノンは俺の胸を押すが俺の力にアノンが勝てるわけがない。
Y「何やってんだよ…」
すると俺とアノンを現実に引き戻す声がした。
アノンはユサさんの顔をみて涙がぽろっとこぼし、ユサさんは冷たい視線を俺に向け殴りかかってきた。
Y「こいつの姉と付き合ってるくせにこいつにまで手出すつもりか?いい加減にしろ!!」
A「ユサ……もういいから……やめて…」
アノンは泣きじゃくりながらユサさんの手を掴み止めた。
Y「行くぞ。」
ユサさんはアノンの手を取りその場から連れて行こうとする…
このまま…離れてしまったら…
俺はもう二度とアノンと会えないかもしれない…
不思議と頭の中でそんな事がよぎり…
素直な気持ちをアノンに叫んだ。
K「俺は…!!アノンが好きだ!!」
初めてちゃんと言葉にするにはきっと遅すぎた。でも、幼かった俺にはそれしか方法が見つからなかった。
K「アノン!!俺はずっと…」
Y「黙れ!!散々アノンこと傷つけておいて今さら調子いいこと言ってんじゃねぇ!!」
A「キヒヤ……待ってユサ!!」
Y「待たない。」
ユサさんはそのままアノンを肩に担いで消えていった。
「あの子……人を惹きつける独特な魅力があるね?そりゃ、ラノンが嫌う理由が分かるわ…」
俺の後ろにはいつの間かシアさんが立っていた。
K「シアさん…こんなとこで何してるんですか?」
S「アノンと仲良くなりたかったんだけど逃げられちゃった。」
K「それ…どういう意味ですか…?」
S「うん?そのままの意味だよ?ってか本当はバイトもラノンじゃなくてアノンをうちの店でバイトさせたかったんだよ。なのに急に高校辞めていなくなっちゃうから仕方なくラノンを誘ったんだ…」
K「アノンのこと知ってたんですか…?」
S「うん。ヒサトに教えてもらったんだ。見た目がルルにそっくりな子がいるって…仕草や言うことまでルルと似てるって…」
当たり前のようにシアさんの口から出たその名前に違和感を感じた俺はシアさんに問いかける。
K「ルルって?」
S「またユサに邪魔された…」
K「え……?」
S「俺はルルをユサに奪われた。その恨みは一生忘れない…だから今度は俺がユサからアノンを奪ってやる。」
シアさんはそう言ってニコッと微笑み、俺はアノンの身の危険を感じた。
つづく
遊園地の中の土地勘がなく、探しても見つからない。
次第に空は暗くなり雨が降り始めた。
水を吸って重くなる靴で走り回る。
どこだよ…ここ…
自分自身が迷子になってしまいそうになる中…
アノンを事だけをただ夢中で想った。
もしかしてあいつ…1人で帰ろうとしてるんじゃ…そう思った俺は遊園地を出て駅の方へ向かうのに駐車場を抜けて行こうとすると、ふとアノンの後ろ姿が見えて咄嗟に俺は後ろから抱きしめた。
A「きゃッ!!!!」
K「俺だよ俺!!」
A「キヒヤ…?」
アノンは微かに震えて自ら俺にしがみつきその感触に俺の胸が締め付けられる。
K「良かった…無事で…」
安心してアノンをぎゅっと抱きしめるとアノンはハッとした顔をして俺から離れた。
A「ごめん…パニックなってて…つい…」
そんな顔…するなよ…
俺はアノンのアゴを掴み少し強引なキスをした。
触れ合うだけのキスではなく啄むような少し大人なキスをした。
アノンは俺の胸を押すが俺の力にアノンが勝てるわけがない。
Y「何やってんだよ…」
すると俺とアノンを現実に引き戻す声がした。
アノンはユサさんの顔をみて涙がぽろっとこぼし、ユサさんは冷たい視線を俺に向け殴りかかってきた。
Y「こいつの姉と付き合ってるくせにこいつにまで手出すつもりか?いい加減にしろ!!」
A「ユサ……もういいから……やめて…」
アノンは泣きじゃくりながらユサさんの手を掴み止めた。
Y「行くぞ。」
ユサさんはアノンの手を取りその場から連れて行こうとする…
このまま…離れてしまったら…
俺はもう二度とアノンと会えないかもしれない…
不思議と頭の中でそんな事がよぎり…
素直な気持ちをアノンに叫んだ。
K「俺は…!!アノンが好きだ!!」
初めてちゃんと言葉にするにはきっと遅すぎた。でも、幼かった俺にはそれしか方法が見つからなかった。
K「アノン!!俺はずっと…」
Y「黙れ!!散々アノンこと傷つけておいて今さら調子いいこと言ってんじゃねぇ!!」
A「キヒヤ……待ってユサ!!」
Y「待たない。」
ユサさんはそのままアノンを肩に担いで消えていった。
「あの子……人を惹きつける独特な魅力があるね?そりゃ、ラノンが嫌う理由が分かるわ…」
俺の後ろにはいつの間かシアさんが立っていた。
K「シアさん…こんなとこで何してるんですか?」
S「アノンと仲良くなりたかったんだけど逃げられちゃった。」
K「それ…どういう意味ですか…?」
S「うん?そのままの意味だよ?ってか本当はバイトもラノンじゃなくてアノンをうちの店でバイトさせたかったんだよ。なのに急に高校辞めていなくなっちゃうから仕方なくラノンを誘ったんだ…」
K「アノンのこと知ってたんですか…?」
S「うん。ヒサトに教えてもらったんだ。見た目がルルにそっくりな子がいるって…仕草や言うことまでルルと似てるって…」
当たり前のようにシアさんの口から出たその名前に違和感を感じた俺はシアさんに問いかける。
K「ルルって?」
S「またユサに邪魔された…」
K「え……?」
S「俺はルルをユサに奪われた。その恨みは一生忘れない…だから今度は俺がユサからアノンを奪ってやる。」
シアさんはそう言ってニコッと微笑み、俺はアノンの身の危険を感じた。
つづく
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

【完結】悪役令嬢の反撃の日々
くも
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。
「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。
お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。
「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。


五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる