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第二十二話
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ユササイド
俺とシアそしてルルは幼馴染だった。
俺の実家の洋菓子屋とシアの実家の洋菓子屋はライバル店で親同士はすごく仲が悪かった。
だけど、俺達はいつも仲良くて一緒にいるのが当たり前のように過ごしてた。
ルルの弟であるミネトと4人で。
しかし、俺が高校に入って俺たち4人の関係は変わった。
シアの婚約者としてルルとの将来が決まったから。
俺は物心ついた時からルルが好きだったからシアとルルの縁談を聞いて凄くショックだった。
悲しくて苦しくて、公園で1人泣いているとルルも泣きながら俺の所に駆け寄り、ぽろぽろと涙を流しながら言った。
「私が好きなのはシアじゃない…ユサだよ…」っとそう言われた俺はシアの事を考える余裕などなく自分の気持ちを我慢出来なくて、俺はルルと18歳の時に駆け落ちした。
必死で大人たちにバレない場所へ行こうと幼い2人で逃げ出して無我夢中だった。
しかし、俺たちはすぐに見つかり大人達に連れ戻されそうになった時…ルルは誤って車道に飛び出しルルは車に轢かれた。
ルルはそのまま帰らぬ人となり、俺はシアに人殺しと罵られ顔が変形するほど殴られた。
どうせならそのまま殴り殺してくれたらいいのにと俺は思うほど無気力になり苦しんでいた時、唯一、俺に手を差し伸べてくれたじいちゃんが自分の店で働けと声を掛けてくれた。
ミネトは自分の姉が亡くなり自分も悲しいはずなのに俺のことを毎日のように励まし、恨んでもおかしくない俺のことを実の兄のように慕ってくれた。
なのに俺はただ淡々と毎日を生きるだけで精一杯で、もがいていたある日、泣きそうな顔をしたアノンをミネトが連れて来た。
その時、アノンを見て微かに震えた。
ルルと似た顔をしているのに…ルルとは違う瞳をしていて、ルルと似ているのに全く似ていないアノン。
ひと言で言えば放っておくなんて出来なかった。
初めて会った時のアノンの顔が泣き顔だったからなのかルルと似ているからなのか…それは自分でも分からないが、ただこの子を1人にしてはいけないと思うほどアノンの瞳はルルと違って俺と同じ孤独を映し出していたんだ。
Y「だから…俺はシアの婚約者を奪って殺した最低な男なんだよ。もう、これで分かっただろ?満足したか?」
俺がそう言うと俺の話を微かに震えながら聞いていたアノンの目にはユラユラと涙が溢れ出す。
ダメだ…そんな目で俺を見るな…
俺はアノンのその孤独な瞳に弱いんだ。
A「ユサ…あのね…私……」
アノンがそう言って俺の腕に伸ばした手を俺は振り払った。
Y「アノン…もうここから出いけ…」
A「え…」
Y「俺の店も辞めろ…」
A「ユサ……」
Y「もうお前は子供じゃない…保護者がいなくてもやってける…アノンに俺はもう必要ないってことだよ。」
A「ユサ…な…なんで…!?私が…」
Y「新しい部屋が決まるまではあの部屋使ってていいから…仕事も部屋も探して早く出て行け…」
俺はアノンの言葉を遮るように言った。
じゃなきゃ、キヒヤの元に戻ろうとするアノンの心を無視して無理やり自分の中で閉じ込めてしまいそうだったから。
A「やだよ…ユサ…」
アノンは涙をこぼしながらそう言った。
その涙はなんの涙なんだろ…
信頼してた人がいなくなる不安?寂しさ?
それともアノンは…キヒヤじゃく少しでも俺のこと本気で愛してくれてた?
Y「迷惑なんだよ。」
臆病な俺は心にもない冷たい言葉を吐き、その言葉を聞いたアノンは涙を流しながら店を出て行った。
つづく
俺とシアそしてルルは幼馴染だった。
俺の実家の洋菓子屋とシアの実家の洋菓子屋はライバル店で親同士はすごく仲が悪かった。
だけど、俺達はいつも仲良くて一緒にいるのが当たり前のように過ごしてた。
ルルの弟であるミネトと4人で。
しかし、俺が高校に入って俺たち4人の関係は変わった。
シアの婚約者としてルルとの将来が決まったから。
俺は物心ついた時からルルが好きだったからシアとルルの縁談を聞いて凄くショックだった。
悲しくて苦しくて、公園で1人泣いているとルルも泣きながら俺の所に駆け寄り、ぽろぽろと涙を流しながら言った。
「私が好きなのはシアじゃない…ユサだよ…」っとそう言われた俺はシアの事を考える余裕などなく自分の気持ちを我慢出来なくて、俺はルルと18歳の時に駆け落ちした。
必死で大人たちにバレない場所へ行こうと幼い2人で逃げ出して無我夢中だった。
しかし、俺たちはすぐに見つかり大人達に連れ戻されそうになった時…ルルは誤って車道に飛び出しルルは車に轢かれた。
ルルはそのまま帰らぬ人となり、俺はシアに人殺しと罵られ顔が変形するほど殴られた。
どうせならそのまま殴り殺してくれたらいいのにと俺は思うほど無気力になり苦しんでいた時、唯一、俺に手を差し伸べてくれたじいちゃんが自分の店で働けと声を掛けてくれた。
ミネトは自分の姉が亡くなり自分も悲しいはずなのに俺のことを毎日のように励まし、恨んでもおかしくない俺のことを実の兄のように慕ってくれた。
なのに俺はただ淡々と毎日を生きるだけで精一杯で、もがいていたある日、泣きそうな顔をしたアノンをミネトが連れて来た。
その時、アノンを見て微かに震えた。
ルルと似た顔をしているのに…ルルとは違う瞳をしていて、ルルと似ているのに全く似ていないアノン。
ひと言で言えば放っておくなんて出来なかった。
初めて会った時のアノンの顔が泣き顔だったからなのかルルと似ているからなのか…それは自分でも分からないが、ただこの子を1人にしてはいけないと思うほどアノンの瞳はルルと違って俺と同じ孤独を映し出していたんだ。
Y「だから…俺はシアの婚約者を奪って殺した最低な男なんだよ。もう、これで分かっただろ?満足したか?」
俺がそう言うと俺の話を微かに震えながら聞いていたアノンの目にはユラユラと涙が溢れ出す。
ダメだ…そんな目で俺を見るな…
俺はアノンのその孤独な瞳に弱いんだ。
A「ユサ…あのね…私……」
アノンがそう言って俺の腕に伸ばした手を俺は振り払った。
Y「アノン…もうここから出いけ…」
A「え…」
Y「俺の店も辞めろ…」
A「ユサ……」
Y「もうお前は子供じゃない…保護者がいなくてもやってける…アノンに俺はもう必要ないってことだよ。」
A「ユサ…な…なんで…!?私が…」
Y「新しい部屋が決まるまではあの部屋使ってていいから…仕事も部屋も探して早く出て行け…」
俺はアノンの言葉を遮るように言った。
じゃなきゃ、キヒヤの元に戻ろうとするアノンの心を無視して無理やり自分の中で閉じ込めてしまいそうだったから。
A「やだよ…ユサ…」
アノンは涙をこぼしながらそう言った。
その涙はなんの涙なんだろ…
信頼してた人がいなくなる不安?寂しさ?
それともアノンは…キヒヤじゃく少しでも俺のこと本気で愛してくれてた?
Y「迷惑なんだよ。」
臆病な俺は心にもない冷たい言葉を吐き、その言葉を聞いたアノンは涙を流しながら店を出て行った。
つづく
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