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第二十一話
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ユササイド
最悪だ…アノンにルルの存在を知られてしまった。
M「ユサくん…アノンと何かあったんですか?」
Y「アノンにルルのこと知られたかもしれない…」
M「え…全部?」
ミネトは驚いた顔をして俺と同じように焦っていた。
Y「それは分からない…しかも、キヒヤが今更アノンに好きだって告白しやがった。また、俺があの時みたいに邪魔者になっちまったよ…シアとルルの時みたいに…」
俺がそう言うとミネトは俺の肩を掴み言った。
M「ユサくん…そんなことないよ!!姉ちゃんだってシアくんじゃなくユサくんの事が好きだったじゃん!!」
Y「でも、俺がルルに好きだって言わなかったら……ルルは今でも生きて…」
俺がそう言いかけるとミネトは俺の言葉を遮るように言った。
M「ユサくん!!俺がなんでアノンをユサくんに会わせたか分かる!?」
Y「似てるからだろ?ルルに…」
M「違うよ…ユサくんならアノンを幸せに出来るって思ったし…アノンならユサくんのこと幸せに出来るって思ったからだよ…2人をよく知ってる俺だから…」
ミネトにそう言われて俺はハッとした。
初めてアノンと出会った時、俺はアノンとルルが似ているという事よりも、アノンの寂しそうな瞳をなんとかしてあげたくて堪らなかったんだと。
Y「ミネト…」
M「どうせユサくんの事だから頭に血がのぼって冷たいことアノンに言ったんじゃない?そんなこと言ったら…本当にキヒヤのとこ行っちゃうよ?」
Y「それはあいつが選ぶことだ…」
本当は余裕なんて全くないのに、俺は平気なフリをして濡れたTシャツを脱ぎ捨て車にあったシャツに着替えた。
そうしていると服を着替えたアノンがサラナちゃんに連れられて戻って来た。
SR「ごめんなさい…お待たせして…アノンが電車で帰るって聞かなくて…」
アノンは不貞腐れた顔をして横を向いている。
でもその顔みて俺は思った。
もう、逃げられない…ちゃんとすべてを曝け出して向き合う時が来たと。
A「じゃ、行くね。」
そう言って行こうとするアノンの腕を俺が掴んだ。
Y「いいから乗れ。」
A「離して…」
Y「離さない。」
A「離してよ…!!」
Y「頼むから…今は俺の言うこと聞いてくれよ…。」
俺の声でアノンは黙り大人しくなる。
M「ねぇサラナ?俺たちが電車で帰ろ。デートしながらさ!」
SR「でも…」
M「ユサくん!アノンのこと頼んだよ~?ほらほらサラナ行くよ~!!」
そう言ってミネトはサラナちゃんの荷物を持って戸惑うサラナちゃんの手を引きながら消えていった。
Y「早く乗れよ…。」
A「乗りたくない。」
Y「キヒヤのとこに行きたいのか?」
A「ユサ……」
Y「ルルの事ちゃんと話すから…とりあえず乗れ…風邪ひくぞ…」
俺がそう言うとアノンの手の力が抜け、俺はそのままアノンの背中を押して助手席に乗せ扉を閉めた。
俺は無言のまま車を走らせる。
窓から流れる景色を見つめるアノンは今何を思っているのだろう…
A「ユサ…」
突然、アノンがそう口を開いた。
Y「なんだ?」
A「アノンって呼んで…」
Y「……アノン……」
A「ごめん…変なこと言って…」
アノンは悲しそうにまた、窓の外に視線を向けた。
家に着き店の扉を開けてソファに座る。
Y「アノン…話そ…」
俺がそう言ってアノンに近づくだけでアノンの目から涙が溢れてこぼれ出す。
俺はそんなアノンの涙を拭いて語り出した。
つづく
最悪だ…アノンにルルの存在を知られてしまった。
M「ユサくん…アノンと何かあったんですか?」
Y「アノンにルルのこと知られたかもしれない…」
M「え…全部?」
ミネトは驚いた顔をして俺と同じように焦っていた。
Y「それは分からない…しかも、キヒヤが今更アノンに好きだって告白しやがった。また、俺があの時みたいに邪魔者になっちまったよ…シアとルルの時みたいに…」
俺がそう言うとミネトは俺の肩を掴み言った。
M「ユサくん…そんなことないよ!!姉ちゃんだってシアくんじゃなくユサくんの事が好きだったじゃん!!」
Y「でも、俺がルルに好きだって言わなかったら……ルルは今でも生きて…」
俺がそう言いかけるとミネトは俺の言葉を遮るように言った。
M「ユサくん!!俺がなんでアノンをユサくんに会わせたか分かる!?」
Y「似てるからだろ?ルルに…」
M「違うよ…ユサくんならアノンを幸せに出来るって思ったし…アノンならユサくんのこと幸せに出来るって思ったからだよ…2人をよく知ってる俺だから…」
ミネトにそう言われて俺はハッとした。
初めてアノンと出会った時、俺はアノンとルルが似ているという事よりも、アノンの寂しそうな瞳をなんとかしてあげたくて堪らなかったんだと。
Y「ミネト…」
M「どうせユサくんの事だから頭に血がのぼって冷たいことアノンに言ったんじゃない?そんなこと言ったら…本当にキヒヤのとこ行っちゃうよ?」
Y「それはあいつが選ぶことだ…」
本当は余裕なんて全くないのに、俺は平気なフリをして濡れたTシャツを脱ぎ捨て車にあったシャツに着替えた。
そうしていると服を着替えたアノンがサラナちゃんに連れられて戻って来た。
SR「ごめんなさい…お待たせして…アノンが電車で帰るって聞かなくて…」
アノンは不貞腐れた顔をして横を向いている。
でもその顔みて俺は思った。
もう、逃げられない…ちゃんとすべてを曝け出して向き合う時が来たと。
A「じゃ、行くね。」
そう言って行こうとするアノンの腕を俺が掴んだ。
Y「いいから乗れ。」
A「離して…」
Y「離さない。」
A「離してよ…!!」
Y「頼むから…今は俺の言うこと聞いてくれよ…。」
俺の声でアノンは黙り大人しくなる。
M「ねぇサラナ?俺たちが電車で帰ろ。デートしながらさ!」
SR「でも…」
M「ユサくん!アノンのこと頼んだよ~?ほらほらサラナ行くよ~!!」
そう言ってミネトはサラナちゃんの荷物を持って戸惑うサラナちゃんの手を引きながら消えていった。
Y「早く乗れよ…。」
A「乗りたくない。」
Y「キヒヤのとこに行きたいのか?」
A「ユサ……」
Y「ルルの事ちゃんと話すから…とりあえず乗れ…風邪ひくぞ…」
俺がそう言うとアノンの手の力が抜け、俺はそのままアノンの背中を押して助手席に乗せ扉を閉めた。
俺は無言のまま車を走らせる。
窓から流れる景色を見つめるアノンは今何を思っているのだろう…
A「ユサ…」
突然、アノンがそう口を開いた。
Y「なんだ?」
A「アノンって呼んで…」
Y「……アノン……」
A「ごめん…変なこと言って…」
アノンは悲しそうにまた、窓の外に視線を向けた。
家に着き店の扉を開けてソファに座る。
Y「アノン…話そ…」
俺がそう言ってアノンに近づくだけでアノンの目から涙が溢れてこぼれ出す。
俺はそんなアノンの涙を拭いて語り出した。
つづく
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