愛を知らないキミへ

樺純

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第十七話

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サラナサイド

ユサさんにアノンを連れて行かれて呆然と立ち尽くすキヒヤに私は問いかけた。

SR「ねぇ…あんたってさ?本当にラノンと付き合ってんの?」

K「…………。」

SR「なんで答えないのよ?付き合ってないなら付き合ってないってハッキリ言いなさいよ。」

私が声を荒げるようにキヒヤを問い詰めるとキヒヤは目を逸らし小さな声で言った。

K「付き合いたくて付き合ってるんじゃない…」

私はキヒヤのその言葉を聞いて耳を疑う。

SR「はぁ!!?どういうこと!?無理やり付き合わされてるの!?」

K「…放っておいてくれよ!!そんなことお前に関係ないだろ?」 

SR「関係あるよ。なんでアノンにちゃんと言わないの!?嫌ならラノンに別れたいって言いなよ!!ラノンなんかと付き合っててほんとにいいの!?」

私は目を逸らすキヒヤがもどかしくて視線を自分に向けるようにキヒヤの袖を掴む。

SR「ちゃんと答えなよ!!」

K「お前…ラノンになんか恨みでもあんのかよ。」

SR「あるよ。子ども頃の事だからって私は一生許すつもりもないから。」

私はそう言うと過去の出来事がぐわっと込み上げてくるように思い出しさらに怒りが増す。

S「ラノンに何されたの?」

シアさんはこんな状況を楽しんでいるかの様でニヤニヤと笑いながら私にそう問いかける。

SR「小学生の時…私はラノンに…」

M「サラナ?ユサくんが帰ろうって…行こう?」

ミネトは私の言葉を遮るようにそう言うと、シアさんに気まずそうな顔をしながら私の手を引いてユサさんの所へと連れて行ってくれた。

そしてユサさんの所に行くと…アノンの姿が見えない。

SR「ユサさん…アノンは?」

Y「ちょっと言い合いになって拗ねてあっちの方に行った。」

SR「え!?」

Y「申し訳ないけど俺…今はアノンの顔、見れそうにないからアノンの様子見てきてやってくれない?」

そう言ったユサさんの顔は動揺していて、私が初めて会った時に感じた冷静で頼りになる雰囲気は消えていた。

SR「分かりました…。」

私は慌ててユサさんの示した先にあるお土産が売っている場所へと向かった。

SR「え…どこにいるんだろ?」

スマホを取り出してアノンのスマホにかけてみるが機械音が響くだけで繋がらない。

そして、私は思い出す。

そうだ…アノンはよくスマホをなくすからまた、遊園地でなくしたら大変だからって私が預かったんだ。

ゆっくりと自分のカバンの中を覗き込むと虚しく光っているアノンのスマホが見えた。

しばらくその辺りを探したが見つかる様子はなくユサさんとミネトが待つ場所に戻った。

M「サラナ…アノンは?」

SR「いないの…スマホも私が預かっててあの子持ってないし…」

M「え!!!?どこ行ったんだろ…」

Y「俺…ちょっと探してくるわ…」

アノンの行方が分からなくなったと知った途端にユサさんの顔色が一瞬にして変わり、慌てた様子で走り出した。

M「俺たちも探そう…」

そう言ってミネトは私の手を握り一緒に走り出した。

つづく
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