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第三話
しおりを挟む私はその日を境にミネトと一緒にユサのお店へ遊びに行き、暗くなるまで話をしてケラケラと笑い…ユサにお前らは本当にアホだな?なんて言われながらそれなりに楽しく過ごしていた。
私は中学校で友達がいなかったという訳ではなかったので、この時はキヒヤとラノンが付き合っていると言う現実以外はとても楽しく過ごせた。
そして、時は流れ私とミネトは同じ高校を受験し、ようやく私はラノンとキヒヤから解放されるとウキウキしていた矢先、見事にラノンは志望校から落ち、滑り止めとして受けていた私とミネトの高校に入学する事になった。
そしてキヒヤは成績優秀なため、名門校に入学するのかと思いきや、私たちの高校の入学式に私たちと同じ制服を着て参加していて私は思わず目を疑った。
A「やっと、ラノンとキヒヤから解放されると思ったのに…」
入学式を終えた私はユサのお店へ向かい、学生アルバイトとしてこの春から働きはじめたユサのお店でエプロンを付けながらそうボヤいた。
Y「お前って…とことんついてないな?」
おじいちゃんからお店を継いで今では経営者となったユサが暇な事をいい事にカウンターでコーヒーを飲みながらそう私を揶揄う。
M「縁があるんだかないんだか。」
同じくバイトとし働くことになったミネトは皿洗いをしながらそう言った。
A「もう…諦めてるから気にしてないんだけどね。」
M「どこがだよ。顔にはまだキヒヤが好きって書いてあるぞ。」
A「うるさい。」
なんてやり取りをしていたが、この時の私とミネトはことの深刻さをまだ理解していなかった。
高校生活が始まり、一、二年生の時は運良くミネトと同じクラスになり、ラノンやキヒヤとはクラスが離れた為、学年集会や行事がない限りは生徒数も多い高校内ではそこまで顔を合わす機会は少なく楽しく過ごせた。
そして、高校生活最後の三年生の春
私は新学期を迎えミネトと一緒に学校に登校してゾッとした。
グラウンドに張り出されたクラス替えの紙を見ると、そこには私の名前とミネトの他にキヒヤの名前があったのだ。
A「マジ……また地獄の1年が始まる…」
M「ほんと…アノンには同情するわ……」
ミネトは少し苦笑いしながら私の肩に手を置き、私は何事もないようにと祈った。
しかし、その日から当たり前だが毎日のようにキヒヤと顔を合わせる事になり幼い頃、仲が良かったのが嘘のように私とキヒヤは目を合わせる事も言葉を交わす事もなく、互いに存在しないかのように過ごしていた。
そんな日々が数週間続いた頃、それなりに仲良く話しをしていた友達が急に私を避けたり無視するようになった。
正直なところ…本当に仲が良く心を許せる存在なんて高校の中でミネトくらいだったので、私は面倒くさいやり取りがなくていいやとか1人のが慣れてるしいいっか。ぐらいにしか考えていなかった。
それまでミネトとは昼休みはそれぞれの友人と昼食を取っていたが、私が友人達から仲間外れにされ、1人でいるのに気づいたミネトが昼休みなると必ず私の所に来て、屋上で一緒にお昼を食べようと誘い、次第に私たちは高校内でも一緒に過ごすようになっていった。
そんなある日の昼休み
ミネトは空を見つめながら私に問いかけた。
M「ってかアノンさ~なんでハミられてんの?」
A「わかんない…急に避けられたり無視されるようになった。」
M「なんだそれ。心当たりは?」
A「ない。」
私もメロンパンをかじりながら空を見上げてそう答えた。
すると、ミネトは私の方に顔を向け、笑いながら言った。
M「ってか知ってる?俺たち校内で付き合ってるって噂になってるらしいぞ?」
A「はぁ?なにそれ。」
M「同じクラスの女子から聞かれた。アノンとミネトって付き合ってるの!?って。」
A「なにそれウケる。」
この当時の私とミネトの関係は性別は違えど本当に心を許せる唯一の親友で、そこには一切恋愛感情なんてなかった。
M「先に言っとくけどアノンとは絶対ないからな!アノンは俺のただの親友だからな!」
A「私だってそうだよ。キモいな。」
M「うるせぇ。まぁ俺がいる時は心配ねぇけど…こりゃ、俺がいない時が思いやられるな…。」
なぜか、私よりもミネトの方が私が仲間外れにされている事を深刻に悩んでいてチョコパンのクリームを口に付けながら頭を悩ませていた。
ミネトと私の噂を知った私はミネトを巻き込んでしまって申し訳なく思い、校内にいる時はもう一人で過ごすと言ったが、ミネトがそれを許してはくれなかった。
私を見てコソコソ噂話をする子がいれば、ミネトはそこの子の所まで行って「言いたいことがあるならコソコソ言わずはっきり言えば?」なんて真顔で言ってその子を半泣きにさせたりするもんだから、私とミネトの噂はさらに大きく膨れ上がっていた。
そんなある日、私はバイトが休みで家のソファに座ってテレビを見ていると、私の横に珍しくラノンが座ってきたので、慌てて私は自分の部屋に避難しようとすると、ラノンが突然、声をかけてきて私は固まった。
L「ねぇ、アンタってさ?ミネトと付き合ってるの?」
A「……は?なにそれ。」
何年もまともに会話もせず目を合わせなかったのに、久しぶりに口を開いたかと思ったら校内でのアホらしい噂話で私はそんなラノンに飽きれ返った。
自分はキヒヤと付き合っていて、その事を私にひと言も言わないくせに、私のプライベートだけ把握しようとするラノンにとても腹が立った。
L「登下校も一緒でお昼も一緒に食べて、バイト帰りまでバイクで送ってもらってるでしょ?付き合ってるの?学校中ですごい噂になってるけど?」
A「それ答える必要ある?」
そっちはなんにも言わないのになんで私だけ答えなきゃいけないのだろうか?そんなラノンがウザくて私はそのまま二階の自分の部屋へとそのまま向かった。
すると、次の日…
高校に登校してすぐに異変に気付いた。
A「なにこれ…」
高校の下駄箱に私に対する誹謗中傷の紙が貼られていたのだ。
それに気づいたミネトが必死になってその紙を破るようにして外してくれた。
ミネトは私を心配し慰めてくれながら教室に向かうと、そこには黒板や私の机にも同じような酷い言葉が書かれてあった。
M「アノンこんなの見なくていい。目つぶってろ。」
ミネトはそう言いながら教室の中に入り自分の制服でそれを一生懸命に消してくれた。
この時、私は不思議と心のどこかで気づいたんだ…これは間違いなくラノンの仕業だって。
A「ミネト…もういいよ。ありがとう。私…学校サボるね。」
私はそう言って教室を出るとミネトも一緒に教室を出た。
M「俺もサボる。」
A「ミネトはダメだよ。出席日数が足りなくて卒業できなくなるよ。」
M「アノンだってこのままだと日数足りなくて留年になるんだろ?」
A「もういいの…私…学校辞める。じゃね?」
全てにおいてどうでも良くなってしまった私はミネトを学校に残し、そのままユサのお店へと向かった。
つづく
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