29 / 45
29話
しおりを挟む
タカラside
ゆっくりと恐る恐るキイチの顔に視線を向けると、キイチのその顔は悲痛に歪んでいた。
T「なんで……」
K「ごめん俺…」
キイチはそう言うと俺に突き飛ばされたのにまた、ギュッと俺を抱きしめる。
何がなんなのか分からない…
なのにただ涙だけが溢れ出しずっと欲しかった温もりが俺を包み込みこのままこうしていたい…そう俺は思ってしまった。
すると…俺を現実に引き戻す叫び声が聞こえた。
「キイチ!!」
声の方を振り返るとそこには高熱で寝込んでいるはずのイオリがいて、イオリはふらふらとした足取りで俺たちの元に走ってきた。
K「イ…イオリ…くん…」
「やっぱりおかしいとおもった…なんで母ちゃんに頼んだのにタカラが来てんの!?マジでキモい!!」
イオリは俺を責め立てるようにそう言うとキイチが俺のことを庇うようにイオリの前に立ち言った。
K「イオリくん、落ち着きなって…」
すると、イオリは奇声のような声で叫んだ。
「許さない!タカラ…お前如きが俺の邪魔をするなんて許さない!」
イオリはそう言って俺に掴み掛かろうとするが、キイチが間に入り俺から離れさせるようにイオリを止めた。
K「イオリくん、やめろ!落ち着けよ!」
砂浜で足を取られ尻もちをついた俺をキイチが立ち上がらせようと手を差し出すと、それを見たイオリの顔が歪む。
「ほんとウザい!!なんでいつもお前なんだよ!!お前ばっかりウザいんだよ!!もういい加減にしてくれよ!!マジで邪魔なんだよ!!」
イオリは俺にそう叫ぶとふらふらとした足取りのまま走り出し、キイチは焦りながらイオリを呼び止めようとするが、正直もうイオリの事なんてどうでもいいと思っている俺はイオリの方を見ることもなくキイチの手をかりて立ち上がった。
K「イオリくん!待てって!」
しかし、キイチは俺を立たせるとイオリの方を見て焦った顔をし走り出した。
俺はキイチの只ならぬ様子に不思議に思いながらイオリを方を見ると、なんとイオリはトラックが来ているというのにフラついた足取りで道路に飛び出していた。
あいつ…何やってんだ!?
驚いた俺はイオリの元に駆け寄るキイチに遅れて走り出した。
T「イオリ!!」
K「……!!」
大きな音と衝撃的な光景を目の当たりにした俺は思わず足が止まり…
その場に立ち尽くした。
つづく
ゆっくりと恐る恐るキイチの顔に視線を向けると、キイチのその顔は悲痛に歪んでいた。
T「なんで……」
K「ごめん俺…」
キイチはそう言うと俺に突き飛ばされたのにまた、ギュッと俺を抱きしめる。
何がなんなのか分からない…
なのにただ涙だけが溢れ出しずっと欲しかった温もりが俺を包み込みこのままこうしていたい…そう俺は思ってしまった。
すると…俺を現実に引き戻す叫び声が聞こえた。
「キイチ!!」
声の方を振り返るとそこには高熱で寝込んでいるはずのイオリがいて、イオリはふらふらとした足取りで俺たちの元に走ってきた。
K「イ…イオリ…くん…」
「やっぱりおかしいとおもった…なんで母ちゃんに頼んだのにタカラが来てんの!?マジでキモい!!」
イオリは俺を責め立てるようにそう言うとキイチが俺のことを庇うようにイオリの前に立ち言った。
K「イオリくん、落ち着きなって…」
すると、イオリは奇声のような声で叫んだ。
「許さない!タカラ…お前如きが俺の邪魔をするなんて許さない!」
イオリはそう言って俺に掴み掛かろうとするが、キイチが間に入り俺から離れさせるようにイオリを止めた。
K「イオリくん、やめろ!落ち着けよ!」
砂浜で足を取られ尻もちをついた俺をキイチが立ち上がらせようと手を差し出すと、それを見たイオリの顔が歪む。
「ほんとウザい!!なんでいつもお前なんだよ!!お前ばっかりウザいんだよ!!もういい加減にしてくれよ!!マジで邪魔なんだよ!!」
イオリは俺にそう叫ぶとふらふらとした足取りのまま走り出し、キイチは焦りながらイオリを呼び止めようとするが、正直もうイオリの事なんてどうでもいいと思っている俺はイオリの方を見ることもなくキイチの手をかりて立ち上がった。
K「イオリくん!待てって!」
しかし、キイチは俺を立たせるとイオリの方を見て焦った顔をし走り出した。
俺はキイチの只ならぬ様子に不思議に思いながらイオリを方を見ると、なんとイオリはトラックが来ているというのにフラついた足取りで道路に飛び出していた。
あいつ…何やってんだ!?
驚いた俺はイオリの元に駆け寄るキイチに遅れて走り出した。
T「イオリ!!」
K「……!!」
大きな音と衝撃的な光景を目の当たりにした俺は思わず足が止まり…
その場に立ち尽くした。
つづく
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説

Endless Summer Night ~終わらない夏~
樹木緑
BL
ボーイズラブ・オメガバース "愛し合ったあの日々は、終わりのない夏の夜の様だった”
長谷川陽向は “お見合い大学” と呼ばれる大学費用を稼ぐために、
ひと夏の契約でリゾートにやってきた。
最初は反りが合わず、すれ違いが多かったはずなのに、
気が付けば同じように東京から来ていた同じ年の矢野光に恋をしていた。
そして彼は自分の事を “ポンコツのα” と呼んだ。
***前作品とは完全に切り離したお話ですが、
世界が被っていますので、所々に前作品の登場人物の名前が出てきます。***

林檎を並べても、
ロウバイ
BL
―――彼は思い出さない。
二人で過ごした日々を忘れてしまった攻めと、そんな彼の行く先を見守る受けです。
ソウが目を覚ますと、そこは消毒の香りが充満した病室だった。自分の記憶を辿ろうとして、はたり。その手がかりとなる記憶がまったくないことに気付く。そんな時、林檎を片手にカーテンを引いてとある人物が入ってきた。
彼―――トキと名乗るその黒髪の男は、ソウが事故で記憶喪失になったことと、自身がソウの親友であると告げるが…。

【本編完結】明日はあなたに訪れる
松浦そのぎ
BL
死してなお隣にいたい。ワンコ系×マイペース
※一応死ネタですが、最後まで二転三転するのでぜひ最後まで。
死を望む人達と生を望む人達、その両方のために
心臓さえも生きている人からの移植が認められた世界。
『俺』の提供者になってくれるというおにいさんは提供を決意したきっかけのお話をしてくれました。
それは、甘酸っぱくて幸せで、儚い、お話。
--------------------
別サイトで完結済みのものを移動。
モデル×(別のモデルの)マネージャー
執着強めイケメン×担当モデルにぞっこん美人

【悲恋BL】家柄で評価されたくない若き将校×仲間を失ったひとりぼっちの亜人【完結済み】
DD
BL
異世界戦争モノです。
※センシティブな表現があります。
【戦場の猫】
"ヤモク"と呼び蔑まれてきた猫のような特徴を持つ亜人、いち。
家柄を理由に出世する事を拒んでいる若き少尉、北葉月 アラタ。
二人は戦場で出会い、お互いの価値観の違いに苦しみながら少しずつ寄り添っていく。
【完結】はじめてできた友だちは、好きな人でした
月音真琴
BL
完結しました。ピュアな高校の同級生同士。友達以上恋人未満な関係。
人付き合いが苦手な仲谷皇祐(なかたにこうすけ)は、誰かといるよりも一人でいる方が楽だった。
高校に入学後もそれは同じだったが、購買部の限定パンを巡ってクラスメートの一人小此木敦貴(おこのぎあつき)に懐かれてしまう。
一人でいたいのに、強引に誘われて敦貴と共に過ごすようになっていく。
はじめての友だちと過ごす日々は楽しいもので、だけどつまらない自分が敦貴を独占していることに申し訳なくて。それでも敦貴は友だちとして一緒にいてくれることを選んでくれた。
次第に皇祐は嬉しい気持ちとは別に違う感情が生まれていき…。
――僕は、敦貴が好きなんだ。
自分の気持ちに気づいた皇祐が選んだ道とは。
エブリスタ様にも掲載しています(完結済)
エブリスタ様にてトレンドランキング BLジャンル・日間90位
◆「第12回BL小説大賞」に参加しています。
応援していただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。
ピュアな二人が大人になってからのお話も連載はじめました。よかったらこちらもどうぞ。
『迷いと絆~友情か恋愛か、親友との揺れる恋物語~』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/416124410/923802748
泣き虫な俺と泣かせたいお前
ことわ子
BL
大学生の八次直生(やつぎすなお)と伊場凛乃介(いばりんのすけ)は幼馴染で腐れ縁。
アパートも隣同士で同じ大学に通っている。
直生にはある秘密があり、嫌々ながらも凛乃介を頼る日々を送っていた。
そんなある日、直生は凛乃介のある現場に遭遇する。
しのぶ想いは夏夜にさざめく
叶けい
BL
看護師の片倉瑠維は、心臓外科医の世良貴之に片想い中。
玉砕覚悟で告白し、見事に振られてから一ヶ月。約束したつもりだった花火大会をすっぽかされ内心へこんでいた瑠維の元に、驚きの噂が聞こえてきた。
世良先生が、アメリカ研修に行ってしまう?
その後、ショックを受ける瑠維にまで異動の辞令が。
『……一回しか言わないから、よく聞けよ』
世良先生の哀しい過去と、瑠維への本当の想い。
【完結】『ルカ』
瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。
倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。
クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。
そんなある日、クロを知る青年が現れ……?
貴族の青年×記憶喪失の青年です。
※自サイトでも掲載しています。
2021年6月28日 本編完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる