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27話
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タカラside
そんなことがあった数日後の日曜日の昼すぎ
俺は朝方までパソコンゲームをしていて数時間寝た後、あまりの空腹で目が覚め起きた。
目を擦り一階に降りると母ちゃんがバタバタと慌ただしくしていた。
T「何やってんの。」
母「イオリが高熱だしてるのよ。」
T「へぇ~」
俺の気持ちに気づいていながら当て付けのようにキイチとイチャつく姿を見せつけ、変な濡れ衣で仲間たちの前でオレンジジュースを俺にぶちまけたイオリ。
俺はそんなイオリの日頃の行いからいい気味だと腹の中で思い、冷蔵庫の中からジュースを取り出しテーブルの上にあったパンを手に取って2階の自分の部屋に戻ろうとした。
すると、2階の奥にあるイオリの部屋に母ちゃんがいて2人の声が聞こえてきた。
「母ちゃん!お願い!キイチが海で待ってるんだよ!行かなきゃバレるんだよ!」
母「こんな熱出てるのに行けるわけないじゃないの!?何がバレるのよ…ほんとにもう大人しく寝てなさい…!!」
「だから母ちゃんが俺の代わりに海に行ってキイチに言ってくれよ!!イオリが高熱出てるから今度ちゃんと話しようって言ってたって!!」
母「お母さんは行けないわよ…パートがあるから…キイチ、スマホ持ってるんでしょ?スマホに電話しなさい。」
「さっきから電話してるけど出ないんだよ!!」
高熱が出てるとは思えないほどヒステリーを出しているイオリを横目に、俺は心配することもなく冷め切った感情のまま自分の部屋へと入った。
へぇ…キイチ…
イオリとデートとかしてるだ…
普通にやだな…吐き気がする。
俺がもし…2人が付き合う前に告白してたら…
キイチはイオリとじゃなく俺と付き合ってくれたのかな…?
イオリが俺への嫌がらせでキイチと付き合っただなんてただの俺の思い過ごしで、ミズキに振られたイオリとキイチは本当に惹かれ合い、好き同士になったのかもな。
そう勝手に空想立てて考えてしまう自分が惨めであんなに空腹だったはずなのに俺は食欲が失せた。
すると、静かに母ちゃんが俺の部屋に入ってきた。
T「なに?」
母「聞こえてたでしょ…お母さんの代わりにタカラが海に行ってイオリが来れないことキイチに伝えに行ってあげて。お母さんもう、パートに行かなきゃ行けないのよ。」
T「えぇ~やだよ。ってか、俺が行くのはアイツが嫌がると思う。」
母「イオリにはお母さんが行くって言ってあるから…ね?頼んだわよ!」
母ちゃんはそう言い残すとそのままチャリに乗ってパート先へと向かった。
つづく
そんなことがあった数日後の日曜日の昼すぎ
俺は朝方までパソコンゲームをしていて数時間寝た後、あまりの空腹で目が覚め起きた。
目を擦り一階に降りると母ちゃんがバタバタと慌ただしくしていた。
T「何やってんの。」
母「イオリが高熱だしてるのよ。」
T「へぇ~」
俺の気持ちに気づいていながら当て付けのようにキイチとイチャつく姿を見せつけ、変な濡れ衣で仲間たちの前でオレンジジュースを俺にぶちまけたイオリ。
俺はそんなイオリの日頃の行いからいい気味だと腹の中で思い、冷蔵庫の中からジュースを取り出しテーブルの上にあったパンを手に取って2階の自分の部屋に戻ろうとした。
すると、2階の奥にあるイオリの部屋に母ちゃんがいて2人の声が聞こえてきた。
「母ちゃん!お願い!キイチが海で待ってるんだよ!行かなきゃバレるんだよ!」
母「こんな熱出てるのに行けるわけないじゃないの!?何がバレるのよ…ほんとにもう大人しく寝てなさい…!!」
「だから母ちゃんが俺の代わりに海に行ってキイチに言ってくれよ!!イオリが高熱出てるから今度ちゃんと話しようって言ってたって!!」
母「お母さんは行けないわよ…パートがあるから…キイチ、スマホ持ってるんでしょ?スマホに電話しなさい。」
「さっきから電話してるけど出ないんだよ!!」
高熱が出てるとは思えないほどヒステリーを出しているイオリを横目に、俺は心配することもなく冷め切った感情のまま自分の部屋へと入った。
へぇ…キイチ…
イオリとデートとかしてるだ…
普通にやだな…吐き気がする。
俺がもし…2人が付き合う前に告白してたら…
キイチはイオリとじゃなく俺と付き合ってくれたのかな…?
イオリが俺への嫌がらせでキイチと付き合っただなんてただの俺の思い過ごしで、ミズキに振られたイオリとキイチは本当に惹かれ合い、好き同士になったのかもな。
そう勝手に空想立てて考えてしまう自分が惨めであんなに空腹だったはずなのに俺は食欲が失せた。
すると、静かに母ちゃんが俺の部屋に入ってきた。
T「なに?」
母「聞こえてたでしょ…お母さんの代わりにタカラが海に行ってイオリが来れないことキイチに伝えに行ってあげて。お母さんもう、パートに行かなきゃ行けないのよ。」
T「えぇ~やだよ。ってか、俺が行くのはアイツが嫌がると思う。」
母「イオリにはお母さんが行くって言ってあるから…ね?頼んだわよ!」
母ちゃんはそう言い残すとそのままチャリに乗ってパート先へと向かった。
つづく
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