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23話
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タカラside
どれくらい泣いたのだろう…泣きすぎて頭が痛くなり現実へと引き戻された。
あぁ…店に戻らなきゃ…やだな…
そんな事を思いながら足元にある小石を蹴飛ばしていると、息を切らしたノイルくんが走ってきた。
N「お前…休憩30分って言ったのに何時間経ってると思ってんだよ!?」
T「ごめん…」
N「2時間も経ってんだぞ?連絡しても通じないし…みんな心配するだろう。」
T「ご…めんなさい…」
また、涙が溢れ出して俺が泣いているとノイルくんは俺の横に座った。
N「キイチに何言われた。何されたんだ。」
その声は少し怒っていて、俺はキイチにされた事実をノイルくんにいう事を少しためらった。
T「な…なにも…」
N「俺に嘘ついたら…バイトクビだぞ。」
もし…今、俺があの店をクビにされたら俺の居場所はなくなってしまう。
誰も味方でいてくれる人もいなくて…
ノイルくんやユウリちゃん、ミズキに見放されたら…
きっと俺は本当の独りぼっちになるだろう。
T「キイチにキス…された。」
N「はぁん!?」
俺はひとりぼっちになるのが怖くてノイルくんに正直に伝えたが…あの温厚なノイルくんが珍しくキイチにめちゃくちゃキレていた。
N「あいつはイオリと付き合いながらタカラにも手を出すつもりなのか?何考えてんだ…あいつ…まだ中二の子供のくせに…。」
T「ほんと…最低だよね…双子の兄の恋人とキスしてドキドキしてる俺も…」
俺の言葉に大きなため息をついたノイルくんはくしゃくしゃっと俺の頭を撫でて、そのまま店へと連れて帰ってくれた。
あの出来事があってからまた、キイチからの連絡は途絶え、俺たちはもう道端で偶然会っても声をかけたりする事すらなくなってしまうんだろうなと俺は思い始めていた。
そんなことがあった数日後
俺とミズキがバイトしている時間帯に珍しく受験勉強で忙しいはずのリヒトくんとヒノハちゃんが店にやってきた。
T「二人が珍しいね?受験勉強順調?」
L「まぁ、息抜きにな。」
ミズキはヒノハちゃんが来た途端にバイト中だというのにヒノハちゃんの横にベッタリとくっ付き甘えている。
そんなミズキの姿をみたノイルくんはカウンターの中から時給引いておきまーすと叫んでいた。
俺は2人の前におしぼりと水を出し注文を聞きにいくと、ヒノハちゃんが俺の顔をじっと見つめるので俺は不思議に思い首を傾げた。
T「ん?」
H「いやさ……最近、キイチどうしてる?私たち受験勉強ばかりで全然みんなと会えてないし……キイチからなんかみんなの事を聞いてくるような連絡来てたから…あの子みんなと会ってないのかなと思って。」
ヒノハちゃんの口からキイチの話が出た途端に俺とミズキ、ノイルくんとユウリちゃんは思わず口を閉し、店の中には気まずい空気が漂う。
L「俺のとこにも同じような連絡がキイチから来てたんだよな……喧嘩でもしたか?」
T「いや…そういう訳では…」
そう言いながら俺が口籠もっているとカランカランと音を立てながら扉が開いた。
咄嗟に「いらっしゃいませ!」と声をかけようとしたその瞬間…
俺の喉が縮こまり声が出なかった。
つづく
どれくらい泣いたのだろう…泣きすぎて頭が痛くなり現実へと引き戻された。
あぁ…店に戻らなきゃ…やだな…
そんな事を思いながら足元にある小石を蹴飛ばしていると、息を切らしたノイルくんが走ってきた。
N「お前…休憩30分って言ったのに何時間経ってると思ってんだよ!?」
T「ごめん…」
N「2時間も経ってんだぞ?連絡しても通じないし…みんな心配するだろう。」
T「ご…めんなさい…」
また、涙が溢れ出して俺が泣いているとノイルくんは俺の横に座った。
N「キイチに何言われた。何されたんだ。」
その声は少し怒っていて、俺はキイチにされた事実をノイルくんにいう事を少しためらった。
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N「俺に嘘ついたら…バイトクビだぞ。」
もし…今、俺があの店をクビにされたら俺の居場所はなくなってしまう。
誰も味方でいてくれる人もいなくて…
ノイルくんやユウリちゃん、ミズキに見放されたら…
きっと俺は本当の独りぼっちになるだろう。
T「キイチにキス…された。」
N「はぁん!?」
俺はひとりぼっちになるのが怖くてノイルくんに正直に伝えたが…あの温厚なノイルくんが珍しくキイチにめちゃくちゃキレていた。
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T「ほんと…最低だよね…双子の兄の恋人とキスしてドキドキしてる俺も…」
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あの出来事があってからまた、キイチからの連絡は途絶え、俺たちはもう道端で偶然会っても声をかけたりする事すらなくなってしまうんだろうなと俺は思い始めていた。
そんなことがあった数日後
俺とミズキがバイトしている時間帯に珍しく受験勉強で忙しいはずのリヒトくんとヒノハちゃんが店にやってきた。
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ミズキはヒノハちゃんが来た途端にバイト中だというのにヒノハちゃんの横にベッタリとくっ付き甘えている。
そんなミズキの姿をみたノイルくんはカウンターの中から時給引いておきまーすと叫んでいた。
俺は2人の前におしぼりと水を出し注文を聞きにいくと、ヒノハちゃんが俺の顔をじっと見つめるので俺は不思議に思い首を傾げた。
T「ん?」
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ヒノハちゃんの口からキイチの話が出た途端に俺とミズキ、ノイルくんとユウリちゃんは思わず口を閉し、店の中には気まずい空気が漂う。
L「俺のとこにも同じような連絡がキイチから来てたんだよな……喧嘩でもしたか?」
T「いや…そういう訳では…」
そう言いながら俺が口籠もっているとカランカランと音を立てながら扉が開いた。
咄嗟に「いらっしゃいませ!」と声をかけようとしたその瞬間…
俺の喉が縮こまり声が出なかった。
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