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22話
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タカラside
俺は窓からコソコソと覗いているキイチに戸惑う。
T「え…なにしてんだろ…キイチ…」
M「俺が追い払ってくるー。」
N「おう。頼んだ。血だけは流させるなよ?」
M「はーい。」
なんてノイルくんに言われたミズキは陽気な返事をしてキイチのいる入り口に向かおうとするので、俺はその腕を掴み慌てて止めた。
T「ちょちょちょっと待った!俺が追い払ってくるから。」
すると、ミズキは不満そうな顔をして元の場所に戻った。
N「タカラ、休憩…30分で戻って来なよ。」
T「ごめん…ノイルくんありがとう。」
そう気を利かせてくれたノイルくんに頭を下げた俺は店を出てキイチの元へと行った。
店から出てきた俺を見て少し気まずそうな顔をするキイチはすぐに俺から視線を逸らした。
T「キイチ、こんなとこで何やってんの?部活は?」
K「うん…今日はサボった。」
T「なにやってんだよ…店に何か用?」
K「いや…そうじゃなくて…ちょっと話したくて。」
T「話って…俺と?」
K「うん…」
T「ちょっと…ここ店の前だから…あっち行こう。」
まさか、キイチの目的が俺と話をする事だなんて思ってなかった俺は、少し驚きながらキイチと少し離れた公園へと向かいベンチに座った。
T「俺になんか用でもあった?」
K「俺、タカラくんが心配で…ノイルくんの店でバイトしてるってヒノハちゃんから聞いたから……」
キイチは俺と目を合わせずにそう言ったが…
久しぶりにキイチの口からでたタカラくんという自分の名を呼ぶ声に俺の胸はドキッと返事をした。
T「心配って……そんなの大丈夫だから安心しろよ。」
俺の言葉にキイチは反応せず時折、小さなため息をついて空を見上げた。
T「イオリとは…仲良くやってる?」
K「……イオリくんとはまぁ…うん…変わらずだよ。」
気まずそうな顔をしたキイチのその言葉が俺の胸をえぐり…まるで俺とは仲良くやれなかったけどな。と言われているようで少し苦しかった。
T「なら良かった。」
俺の言葉から少しの沈黙が続き、耐えられなくなった俺が切り出す。
T「もう…そろそろ戻ら…」
K「好き……なんだ…」
T「え?」
K「俺…ずっと好きだった…物心ついた時から…ずっと……」
店に戻ろうとする俺の言葉をわざわざ遮るようにしてまでキイチはそう言った。
そんなの改めて言わなくても知ってる。
キイチがイオリのこと好きな事ぐらい。
2人は付き合ってるんだもん…なんで俺にわざわざそんな事言うんだろうか?そう思うと治りかけていたはずの心の傷がまた疼き始める。
T「うん。知ってるよ。」
K「知ってて俺たち…こうなったんだね…」
T「そうだね…知ってたから…こうなったんだよ…」
俺はキイチとイオリが仲よさそうにしているのを平気な顔してみれるほど心に余裕はない。
すると、キイチは少し悲しそうに笑いながら立ち上がった。
K「行くか。」
T「うん…」
俺たちは立ち上がり俺は店の方へ歩き出す…
すると小さな段差につまずき俺は転びそうになった。
T「あ……」
ヤバイと思った瞬間…倒れかかった俺をキイチが片手でグッと支えてくれた。
視線をあげるとそこにはキイチの顔があって…数センチほどの距離。
激しく暴れる心臓の音がどうかキイチには聞こえていませんように…
俺がそう心の中で祈った瞬間…
キイチの顔がゆっくりと近づき、俺の唇に柔らかなキイチの唇が重なった。
俺は現実が理解できずただ、呆然と固まった。
え…なんで…キイチ…俺にキスしてんの…?
キスする相手…間違ってるよ…
そう思っているうちにキイチの舌が強引に中に入り込み俺の舌にヌルッと重なった瞬間…
俺は咄嗟にキイチの胸を突き飛ばした。
お互い立ちすくみ、無言のまま時間だけがただ過ぎていく。
K「ごめん…忘れて…」
キイチはそうボソッと呟いて俺の前から消えて行った。
謝るぐらいなら…キスするなよ…バカやろう…
俺は溢れ出す涙を止めることが出来ず…公園のベンチに座り1人で泣いた。
つづく
俺は窓からコソコソと覗いているキイチに戸惑う。
T「え…なにしてんだろ…キイチ…」
M「俺が追い払ってくるー。」
N「おう。頼んだ。血だけは流させるなよ?」
M「はーい。」
なんてノイルくんに言われたミズキは陽気な返事をしてキイチのいる入り口に向かおうとするので、俺はその腕を掴み慌てて止めた。
T「ちょちょちょっと待った!俺が追い払ってくるから。」
すると、ミズキは不満そうな顔をして元の場所に戻った。
N「タカラ、休憩…30分で戻って来なよ。」
T「ごめん…ノイルくんありがとう。」
そう気を利かせてくれたノイルくんに頭を下げた俺は店を出てキイチの元へと行った。
店から出てきた俺を見て少し気まずそうな顔をするキイチはすぐに俺から視線を逸らした。
T「キイチ、こんなとこで何やってんの?部活は?」
K「うん…今日はサボった。」
T「なにやってんだよ…店に何か用?」
K「いや…そうじゃなくて…ちょっと話したくて。」
T「話って…俺と?」
K「うん…」
T「ちょっと…ここ店の前だから…あっち行こう。」
まさか、キイチの目的が俺と話をする事だなんて思ってなかった俺は、少し驚きながらキイチと少し離れた公園へと向かいベンチに座った。
T「俺になんか用でもあった?」
K「俺、タカラくんが心配で…ノイルくんの店でバイトしてるってヒノハちゃんから聞いたから……」
キイチは俺と目を合わせずにそう言ったが…
久しぶりにキイチの口からでたタカラくんという自分の名を呼ぶ声に俺の胸はドキッと返事をした。
T「心配って……そんなの大丈夫だから安心しろよ。」
俺の言葉にキイチは反応せず時折、小さなため息をついて空を見上げた。
T「イオリとは…仲良くやってる?」
K「……イオリくんとはまぁ…うん…変わらずだよ。」
気まずそうな顔をしたキイチのその言葉が俺の胸をえぐり…まるで俺とは仲良くやれなかったけどな。と言われているようで少し苦しかった。
T「なら良かった。」
俺の言葉から少しの沈黙が続き、耐えられなくなった俺が切り出す。
T「もう…そろそろ戻ら…」
K「好き……なんだ…」
T「え?」
K「俺…ずっと好きだった…物心ついた時から…ずっと……」
店に戻ろうとする俺の言葉をわざわざ遮るようにしてまでキイチはそう言った。
そんなの改めて言わなくても知ってる。
キイチがイオリのこと好きな事ぐらい。
2人は付き合ってるんだもん…なんで俺にわざわざそんな事言うんだろうか?そう思うと治りかけていたはずの心の傷がまた疼き始める。
T「うん。知ってるよ。」
K「知ってて俺たち…こうなったんだね…」
T「そうだね…知ってたから…こうなったんだよ…」
俺はキイチとイオリが仲よさそうにしているのを平気な顔してみれるほど心に余裕はない。
すると、キイチは少し悲しそうに笑いながら立ち上がった。
K「行くか。」
T「うん…」
俺たちは立ち上がり俺は店の方へ歩き出す…
すると小さな段差につまずき俺は転びそうになった。
T「あ……」
ヤバイと思った瞬間…倒れかかった俺をキイチが片手でグッと支えてくれた。
視線をあげるとそこにはキイチの顔があって…数センチほどの距離。
激しく暴れる心臓の音がどうかキイチには聞こえていませんように…
俺がそう心の中で祈った瞬間…
キイチの顔がゆっくりと近づき、俺の唇に柔らかなキイチの唇が重なった。
俺は現実が理解できずただ、呆然と固まった。
え…なんで…キイチ…俺にキスしてんの…?
キスする相手…間違ってるよ…
そう思っているうちにキイチの舌が強引に中に入り込み俺の舌にヌルッと重なった瞬間…
俺は咄嗟にキイチの胸を突き飛ばした。
お互い立ちすくみ、無言のまま時間だけがただ過ぎていく。
K「ごめん…忘れて…」
キイチはそうボソッと呟いて俺の前から消えて行った。
謝るぐらいなら…キスするなよ…バカやろう…
俺は溢れ出す涙を止めることが出来ず…公園のベンチに座り1人で泣いた。
つづく
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