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13話
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キイチside
白いシャツをなびかせて俺の元から去っていこうとするあの男の子の後ろ姿。
アッシュ色のボブのような髪型をしたその男の子を俺は必死で追いかける。
その姿を見るだけで悲しくて寂しくて胸が痛くて締め付けられて……
あれ…俺…もしかしてドキドキしてる?
夢とは違い目が覚めている状態の俺が、あの夢の記憶を思い出すと、不思議といつもとは違う感情が自分の中から湧き上がり、夢の中での出来事のはずなのにまるで実際に起きた事のようなリアルさを感じた。
まさか…ノイルくんがいうようにこれは実際に経験した記憶なのか?
俺はそう感じながらまた、思い出す。
そうだ…俺はその後ろ姿を必死で追いかけ…
ギュッとその人を後ろから抱きしめるんだ。
それはいつも俺が見る夢の続きなのか、俺の中に存在している記憶のカケラなのか自分でもハッキリとは分からない。
いつもならその背中に手を伸ばし顔がみえなくて目を覚ますのに……
これは一体なんなんだ?
そう自問自答していると、俺の頭の中に幼き頃の自分の声が響き俺の心臓は止まった気がした。
………タカラくん………
頭の中に微かに思い浮かぶ映像には、まだあどけない顔の俺が男の子を抱きしめながらそう囁いていた。
まさか…いつも見る夢の中のあの人は…
イオリというあの人でなく…
タカラくんだったのか?
K「まさか…タカラくん…?」
俺がそう呟くと隣にいるユウリちゃんが無言のまま心配そうに俺の肩を撫でた。
N「お前とタカラがこれから先、一緒にいるためには必要だと思うよ……お前の失ってしまった記憶のカケラを探すことは……。」
K「俺の…失ってしまった記憶のカケラ?」
N「ずっとタカラのことが好きなんだろ?なら思い出せ…あの頃…なんでイオリとお前があんな事になったのか…それはタカラも俺たちも知らない…お前とイオリしか知らないことなんだよ。」
そう言われた俺の胸の奥は何故かズキッと痛み、呼吸が浅くなる息苦しさから自分の胸をギュッと掴む。
すると、ユウリちゃんは心配したような顔をして俺の背中を撫でた。
K「イオリくん……って。」
そう自分の意思とは関係なく勝手にそう動いた口に俺は微かに恐怖すら覚えた。
N「アイツは……イオリは………タカラの双子の兄だよ。」
ノイルくんがそう言った途端、俺の中に溢れ出てくる何かが沸き上がり、俺は勢いよく立ち上がると呼び止めるノイルくんとユウリちゃんの声も耳に入らず走り出した。
つづく
白いシャツをなびかせて俺の元から去っていこうとするあの男の子の後ろ姿。
アッシュ色のボブのような髪型をしたその男の子を俺は必死で追いかける。
その姿を見るだけで悲しくて寂しくて胸が痛くて締め付けられて……
あれ…俺…もしかしてドキドキしてる?
夢とは違い目が覚めている状態の俺が、あの夢の記憶を思い出すと、不思議といつもとは違う感情が自分の中から湧き上がり、夢の中での出来事のはずなのにまるで実際に起きた事のようなリアルさを感じた。
まさか…ノイルくんがいうようにこれは実際に経験した記憶なのか?
俺はそう感じながらまた、思い出す。
そうだ…俺はその後ろ姿を必死で追いかけ…
ギュッとその人を後ろから抱きしめるんだ。
それはいつも俺が見る夢の続きなのか、俺の中に存在している記憶のカケラなのか自分でもハッキリとは分からない。
いつもならその背中に手を伸ばし顔がみえなくて目を覚ますのに……
これは一体なんなんだ?
そう自問自答していると、俺の頭の中に幼き頃の自分の声が響き俺の心臓は止まった気がした。
………タカラくん………
頭の中に微かに思い浮かぶ映像には、まだあどけない顔の俺が男の子を抱きしめながらそう囁いていた。
まさか…いつも見る夢の中のあの人は…
イオリというあの人でなく…
タカラくんだったのか?
K「まさか…タカラくん…?」
俺がそう呟くと隣にいるユウリちゃんが無言のまま心配そうに俺の肩を撫でた。
N「お前とタカラがこれから先、一緒にいるためには必要だと思うよ……お前の失ってしまった記憶のカケラを探すことは……。」
K「俺の…失ってしまった記憶のカケラ?」
N「ずっとタカラのことが好きなんだろ?なら思い出せ…あの頃…なんでイオリとお前があんな事になったのか…それはタカラも俺たちも知らない…お前とイオリしか知らないことなんだよ。」
そう言われた俺の胸の奥は何故かズキッと痛み、呼吸が浅くなる息苦しさから自分の胸をギュッと掴む。
すると、ユウリちゃんは心配したような顔をして俺の背中を撫でた。
K「イオリくん……って。」
そう自分の意思とは関係なく勝手にそう動いた口に俺は微かに恐怖すら覚えた。
N「アイツは……イオリは………タカラの双子の兄だよ。」
ノイルくんがそう言った途端、俺の中に溢れ出てくる何かが沸き上がり、俺は勢いよく立ち上がると呼び止めるノイルくんとユウリちゃんの声も耳に入らず走り出した。
つづく
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