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タカラside
俺の勤める不動産会社には毎日、色んなお客様が訪れてくる。
俺はそんなお客様と向き合い、そのお客様が望む物件を探して紹介する。
そして、お客様がキミに頼んでよかったよ。そう言ってくださるのが何よりもやり甲斐だ。
T「はぁ~今日も忙しかったね~」
仕事が終わり俺が背伸びするとすでに仕事を終えて帰る準備をしているミズキがいた。
T「ミズキ、一緒にRossoまで行こう?」
M「あぁ俺、ヒノハと一緒に周年のお祝い買ってから行くからタカラは先に行ってて。」
そういう所はちゃんと親友よりも彼女を優先するのはさすがのミズキって感じで。
このヒノハちゃんというのがミズキの一歳年上の彼女であり、俺たち幼馴染みの一員でもある。
T「オッケー!」
そして、俺は鏡に向かって髪型を整えたり口臭チェックしているミズキよりも先に会社を出てRossoに向かう。
お祝いとして買ったのはノイルくんとユウリちゃんカップルが好きな赤ワイン。
選ぶのに時間が少しかかってしまった事を反省しながら、俺は早歩きでRossoに向かい、お祝いの花は行く途中にある花屋で買おうとそんなことを思いながら歩いていると、俺の目の前にキイチの後ろ姿が現れた。
嬉しくなった俺は少し浮かれた気持ちでキイチを追いかけた。
T「キイ……チ?」
手を上げてキイチを呼びかけようとした俺は思わず声を失った。
キイチの視線の先には白シャツを着た見覚えのある後ろ姿の男が歩いていたから。
俺の足は立ち止まり身体が固まってしまったかのように動けない。
嘘だろ…なんで…ここに…あいつがいるの…
呆然としていた俺は身体が震えて立ちすくむ。
すると、大きなクラクションの音が響きハッとした俺が顔をあげると、トラックがそこまで迫っていた。
ヤバい…
頭ではそう分かってるのに恐怖で足が動かない。
もう無理だ…そう諦めてギュッと目を閉じると…
K「なにやってんだよ!!!!」
気がつくと俺はキイチに抱きしめられたまま地面に転がっていた。
T「お…俺…」
キイチは起き上がりトラック運転手に頭を下げて謝ると俺の元に戻り、眉間にシワを寄せながら俺を起き上がらせて俺のスーツの汚れを手で払う。
T「ご…ごめん…俺……え…キイチ、怪我してるじゃん!!」
K「あぁ…大したことないから。ワイン割れなくて良かったね。」
俺が抱えていた事で奇跡的に割れなかったワインボトルを見てキイチはニコッと笑うが、キイチの手は俺を庇ったせいで血が出ていた。
K「行こう。みんな待ってるよ。」
T「待って……」
そう言うと俺はポケットからハンカチを取り出し、キイチの手にキュっと巻き付けキイチは俺の肩に手を置くようにして2人でRossoへと向かった。
つづく
俺の勤める不動産会社には毎日、色んなお客様が訪れてくる。
俺はそんなお客様と向き合い、そのお客様が望む物件を探して紹介する。
そして、お客様がキミに頼んでよかったよ。そう言ってくださるのが何よりもやり甲斐だ。
T「はぁ~今日も忙しかったね~」
仕事が終わり俺が背伸びするとすでに仕事を終えて帰る準備をしているミズキがいた。
T「ミズキ、一緒にRossoまで行こう?」
M「あぁ俺、ヒノハと一緒に周年のお祝い買ってから行くからタカラは先に行ってて。」
そういう所はちゃんと親友よりも彼女を優先するのはさすがのミズキって感じで。
このヒノハちゃんというのがミズキの一歳年上の彼女であり、俺たち幼馴染みの一員でもある。
T「オッケー!」
そして、俺は鏡に向かって髪型を整えたり口臭チェックしているミズキよりも先に会社を出てRossoに向かう。
お祝いとして買ったのはノイルくんとユウリちゃんカップルが好きな赤ワイン。
選ぶのに時間が少しかかってしまった事を反省しながら、俺は早歩きでRossoに向かい、お祝いの花は行く途中にある花屋で買おうとそんなことを思いながら歩いていると、俺の目の前にキイチの後ろ姿が現れた。
嬉しくなった俺は少し浮かれた気持ちでキイチを追いかけた。
T「キイ……チ?」
手を上げてキイチを呼びかけようとした俺は思わず声を失った。
キイチの視線の先には白シャツを着た見覚えのある後ろ姿の男が歩いていたから。
俺の足は立ち止まり身体が固まってしまったかのように動けない。
嘘だろ…なんで…ここに…あいつがいるの…
呆然としていた俺は身体が震えて立ちすくむ。
すると、大きなクラクションの音が響きハッとした俺が顔をあげると、トラックがそこまで迫っていた。
ヤバい…
頭ではそう分かってるのに恐怖で足が動かない。
もう無理だ…そう諦めてギュッと目を閉じると…
K「なにやってんだよ!!!!」
気がつくと俺はキイチに抱きしめられたまま地面に転がっていた。
T「お…俺…」
キイチは起き上がりトラック運転手に頭を下げて謝ると俺の元に戻り、眉間にシワを寄せながら俺を起き上がらせて俺のスーツの汚れを手で払う。
T「ご…ごめん…俺……え…キイチ、怪我してるじゃん!!」
K「あぁ…大したことないから。ワイン割れなくて良かったね。」
俺が抱えていた事で奇跡的に割れなかったワインボトルを見てキイチはニコッと笑うが、キイチの手は俺を庇ったせいで血が出ていた。
K「行こう。みんな待ってるよ。」
T「待って……」
そう言うと俺はポケットからハンカチを取り出し、キイチの手にキュっと巻き付けキイチは俺の肩に手を置くようにして2人でRossoへと向かった。
つづく
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