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第二章

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そして数日後


T「めちゃくちゃいい天気~!!気持ちいい~!!」


天気にも恵まれた週末


俺たちはジラさんの運転でキャンプ場を訪れた。


真新しいキャンプ場にはもう既にお客様で賑わっている。


俺達が車から荷物を下ろしていると背の高い女性がミニさんの元に近づいて来た。

M「ネネ!オープンおめでとう!」

N「ありがとう!遠い所わざわざありがとうございます。」

M「こちら私の幼なじみのネネ 。」


ミニさんはそう言って俺達の紹介を1人1人丁寧にしていった。


K「よろしくお願いします。」


N「こちらこそよろしくお願いします。じゃ、みんなの場所はもう用意してるんで案内しますね?」


そして俺はテヤサと手を繋いでみんなと一緒にネネさんの背中についていく。


その間もテヤサは嬉しいのか鼻歌を歌いスキップしながら周りを見渡して風景を楽しんでいた。


K「ちゃんと前見なきゃ転ぶよ?」

T「キオが手繋いでくれてるから大丈夫じゃない?」

K「だね?」


俺たちはみんなの後ろで大自然に囲まれながらイチャイチャと過ごす。


そして、俺たちのバーベキューをする場所に着き、ネネさんがひと通り説明してくれた後、ジラさんの指揮の元、準備が始まった。


J「とりあえず俺とヨイで火を起こす。ミニとヒナタは椅子とかテーブルの組み立てして出来たらお肉の準備ね。キオとテヤサはあそこの水場で野菜を洗って切ってきて?」


ジラさんは少し離れた場所にある水場を指さした。


T「はぁ~い!!」

K「行こう。」

T「うん。」


俺たちは採れたての新鮮な野菜をボールに入れて手を繋ぎ水場に向かう。


そこはもう既に数名の人がいて、俺とテヤサは空いてるスペースを探し、そこに野菜を置いた。


K「じゃ洗おう。」

T「うん!!」


テヤサは日焼け防止パーカーの袖をめくる事なくそのまま手を水に付けたので、慌てて俺がテヤサのパーカーの袖が濡れないように捲り上げる。


K「濡れちゃうじゃん。」

T「えへへ~忘れてた。」


可愛い笑顔でそんな事言われてしまえば、袖が濡れようがどうでも良くてただ、横で一生懸命に野菜を洗うテヤサの綺麗な横顔に見惚れていた。


すると…


「……テヤサ……?」


後ろから親しげにテヤサの名を呼ぶ低い声が聞こえて、俺はテヤサよりも先に振り返る。


すると、そこにはあきらかに俺たちよりも年上の背の高い身体のガッチリとした男性が立っていた。


そしてその男性はジッとテヤサの事をなんとも言えない目で見つめていて…


俺のいらぬ勘が働く。


テヤサは振り返る様子はなく、野菜を洗っていた手は止まり、固まったまま水道の水だけが虚しく流れて出していた。


「テヤサ…」


また、そう呼ばれたことでテヤサは我に返ったのか、水道の蛇口をギュッと閉めて濡れた野菜を振り水を飛ばすとゆっくりと振り返る。


T「セイタさん…久しぶりだね…?」


そう言ったテヤサの顔は初めて見た表情をしていて微かに身体が震えていた。


S「久しぶり…だな?元気そうで安心した…」

T「そう?セイタさんも元気そう…」

S「あぁ…テヤサ…あのさ!」

T「ごめん。俺、友達とバーベキューに来てるんだ。」


友達…


テヤサはそう言って俺をチラッと見た…


その言葉を聞いて俺の勘は確信へと変わる。


この人がテヤサを雷のなる大雨の日に捨てた男だなって。


セイタさんと呼ばれる男は俺をチラッと見て頭を下げたので俺も軽く頭を下げた。


S「話したいことがあるのに家も引っ越して電話番号も変えただろ…?ずっと探してたんだぞ?」

T「話すことなんてないから…俺は元気にやってます。もう…放って置いてください。」


テヤサはそう言うと洗っただけでまだ切っていない野菜をボウルに入れ、俺を置いてその場から去ろうとするので、俺は咄嗟にテヤサの背中に付いて行こうとすると…


すれ違い様に…


テヤサの細い手首をセイタさんが握った。


S「お友達…だよね?申し訳ないけどテヤサのこと少し借りるよ?」


セイタさんはそう言うとテヤサの手にあるボウルを取り俺に押し付けた。


K「お…俺は!!」

T「キオ…先に行ってて…」


え…テヤサ…?


俺は友達じゃない恋人だと伝えようとしただけ…


なのにテヤサは俺の言葉を遮るようにそう言った。


そして、テヤサはセイタさんに手を引かれて俺の前から消えていった。


なんだよ…これ…


俺は頭が回らなくてただ立ち尽くしていると、俺たちが戻るのが遅かったせいかヒナタが心配して水場にやって来た。


H「まだ野菜切ってないの?あれ?テヤサは?」

K「元カレに連れ去られた…」

H「えぇ!!!?」


俺はそのあとヒナタさんに手伝ってもらいながら野菜を切ったが、テヤサが俺の所に戻ってくる気配は全くなかった。


つづく
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