【BL】花様年華〜僕たちの青春日記〜

樺純

文字の大きさ
上 下
47 / 55

45話

しおりを挟む
ジュンサクサイド


始業式


学校に向かう通学路を歩きながら今日もマモルさんは俺を励まし慰める。


M「ジュンサク、あんまり自分を責めるな。テイヤも怖いんだよ…あんな事お前に知られたくなかった事だろうから…もう少し時間が必要なんだ。」

J「…でも、俺は…そんな事知っても今まで通りテイヤくんへの気持ちは何も変わらないのに…」

M「変わるよ。俺だって変わった。いや…ジュンサクは…変わらなきゃダメなんだよ…」

J「え……」

M「強くなれ…俺が安心してお前にテイヤを任せられるほど…身も心も強くなるんだ…今のジュンサクじゃ…まだダメなんだよ。」


マモルさんはそういうと俺の肩に力強くポンッと手を置き、俺を追い越して1人先に学校へと向かった。


校門をくぐると登校する俺を待っていたのかイズミ先生がいた。


I「ジュンサクくん、おはよう。ちょっといいかな話があるの。」

J「はい…」


俺は教室に荷物を置くとイズミ先生のいるカウンセリング室へと向かう。


そこには白衣に丸メガネをかけたイズミ先生が座っていた。


I「遅いよ~待ちくたびれちゃった。」


俺は中へ入るとイズミ先生と対面の椅子に座った。


すると、イズミ先生は俺の前にアイスココアを出してくれた。


I「このアイスココアはね?他の生徒には出さない特別なココアなの。」

J「へぇ…いただきます。」


俺がクルクルとストローでアイスココアを混ぜ飲むと、それは甘くて優しいほんのりと苦い味がした。


I「これを飲んだのはテイヤとジュンサクくんだけ…」


イズミ先生の口から出たテイヤくんの名前に胸がザクと痛み手が震えた。


I「本当はね?放課後にしようと思ったんだけど…そのままの気持ちで始業式にでたらジュンサクくんが壊れてしまうんじゃないかと思って心配で朝にしたの。ごめんね?」

J「いえ…」

I「ねぇ、ジュンサクくん…辛いなら辛いって言っていいんだよ?私は全部知ってるの…今回のこともテイヤ本人から連絡あった。あの事件以降…テイヤとも何度も会ってる。」

J「テイヤくんと…会ってるんですか?」

I「うん…カウンセリングしにお家に行ってる。人はね辛さを隠して生きていくと芯の脆い人間になってしまうの。辛らさを認めて受け入れてこそ強くなれる…ジュンサクくんは…今の気持ち…どうなのか先生に話してくれない?」


なにが起きたのか分からなかった…


先生の話をただ、聞いていただけなのに…


気付いたら涙が滝のように流れていて、俺の手の甲は自分の涙でぐちょぐちょに濡れていた。


イズミ先生が俺の横にきてそっと抱きしめてくれた…


その温もりがまた、俺の涙腺を刺激して震わせた。


I「始業式は気にしなくていいからね…私からセイジ先生に伝えておくから…今はその自分の気持ちとしっかり向き合いなさい。」


イズミ先生のその言葉がなんとか堪えていた想いが爆発してもう、涙が止まることなんてなくて…


俺はただ何も言葉に出来ず涙だけを流した。


そんな俺をイズミ先生はずっとそばで支えてくれて、何かを言うわけでもなくずっと背中をさすってくれた。


J「すいませんでした…」


I「ジュンサクくんが謝ることなんてひとつもないんだよ?大丈夫…ジュンサクくんもテイヤも大丈夫だから…ね?」


イズミ先生はそう言って俺の涙をそっと拭いてくれた。


つづく
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【BL】アオハルスケッチを描く僕の手

樺純
BL
不良高として有名な高校に通う浅井はその中でもワル達ばかりが集まるクラスの1人だ。気の短かった浅井は毎日のように喧嘩に明け暮れるのだが決して根っからのワルと言う訳ではない。あまりの容姿の良さから不良たちに妬まれ絡まれる事が多く、喧嘩を売られその喧嘩を買った結果、不良としてのレッテルを貼られしまったのだ。そんな浅井のクラスの担任は今まで何人も変わり長続きしないのが当たり前。そんなある日、浅井が登校すると担任がいつの間にか退職しており新しい担任が赴任してくるというウワサ話を耳にする。どうせまた長続きしないのだろうと思っていた浅井の前に現れたのは今までの担任とは雰囲気の違う、不思議な空気を漂わせる美術教師の月島だった。不良達ばかりのクラスだというのに色眼鏡で生徒を見ることなく、物怖じせず接するその姿をみた浅井は名前に興味を示す。そして、クラスで恒例となっている赴任してきたばかりの担任いびりを見た浅井は耐えきれず月島を助ける。そんな浅井の中に芽生えたはじめての気持ち。その気持ちは担任教師という立場の月島へ向けられたもので浅井は戸惑う。しかし、不良だったはずのクラスメイト達も次第に月島に心を開いていき、浅井はさらに月島に心惹かれていく。そんな中、浅井の絵の才能を見抜いた月島は浅井に絵のコンテストに出ないかと提案する。浅井は真面目に取り組む姿をクラスメイトに見せるのは恥ずかしいと思い月島の提案を一度は断る。しかし、そのコンテストが1泊2日で行われ、月島が引率でついて行くと知った浅井は月島とお泊まりが出来ると知り下心でコンテストの参加を決めるのだが……。思春期真っ只中の浅井の片想いの結末は? 君が幸せでありますように…あなたが幸せでありますように…あの夜、天の川の中を駆けていく流れ星に願ったふたりの想いは果たして叶うのだろうか…?教師×教え子の甘く切ない禁断の青春ラブストーリー。

絶対にお嫁さんにするから覚悟してろよ!!!

toki
BL
「ていうかちゃんと寝てなさい」 「すいません……」 ゆるふわ距離感バグ幼馴染の読み切りBLです♪ 一応、有馬くんが攻めのつもりで書きましたが、お好きなように解釈していただいて大丈夫です。 作中の表現ではわかりづらいですが、有馬くんはけっこう見目が良いです。でもガチで桜田くんしか眼中にないので自分が目立っている自覚はまったくありません。 もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿ 感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_ Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109 素敵な表紙お借りしました!(https://www.pixiv.net/artworks/110931919)

【完結】I adore you

ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。 そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。 ※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。

思い出して欲しい二人

春色悠
BL
 喫茶店でアルバイトをしている鷹木翠(たかぎ みどり)。ある日、喫茶店に初恋の人、白河朱鳥(しらかわ あすか)が女性を伴って入ってきた。しかも朱鳥は翠の事を覚えていない様で、幼い頃の約束をずっと覚えていた翠はショックを受ける。  そして恋心を忘れようと努力するが、昔と変わったのに変わっていない朱鳥に寧ろ、どんどん惚れてしまう。  一方朱鳥は、バッチリと翠の事を覚えていた。まさか取引先との昼食を食べに行った先で、再会すると思わず、緩む頬を引き締めて翠にかっこいい所を見せようと頑張ったが、翠は朱鳥の事を覚えていない様。それでも全く愛が冷めず、今度は本当に結婚するために翠を落としにかかる。  そんな二人の、もだもだ、じれったい、さっさとくっつけ!と、言いたくなるようなラブロマンス。

「誕生日前日に世界が始まる」

悠里
BL
真也×凌 大学生(中学からの親友です) 凌の誕生日前日23時過ぎからのお話です(^^ ほっこり読んでいただけたら♡ 幸せな誕生日を想像して頂けたらいいなと思います♡ →書きたくなって番外編に少し続けました。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

Take On Me 2

マン太
BL
 大和と岳。二人の新たな生活が始まった三月末。新たな出会いもあり、色々ありながらも、賑やかな日々が過ぎていく。  そんな岳の元に、一本の電話が。それは、昔世話になったヤクザの古山からの呼び出しの電話だった。  岳は仕方なく会うことにするが…。 ※絡みの表現は控え目です。 ※「エブリスタ」、「小説家になろう」にも投稿しています。

初恋はおしまい

佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。 高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。 ※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。 今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。

処理中です...