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18話
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ジョウside
いつも指名しても俺が席に付く事なんて殆どないのにも関わらず、そんな俺に貢いでくれる人たちの元にクリスマスの挨拶とプレゼントのお礼を兼ねてテーブルを回った。
トモさんを1人にしておくには心配だったので、日頃から仲良しでもあるNo.2のホストにテーブルに付くようボーイに話を通したはずなのだが……
J「どう言うことだこれ……」
挨拶回りを終え、テーブルに戻るとそこにはそのホストの姿はなく、俺を見て冷や汗をかいているププとププに膝枕されてスヤスヤと眠るトモさんがいた。
俺の表情から激怒していることが分かったのか、ププはシュンと音がしそうなほど肩を縮こめてチラチラと俺の顔色を伺う。
このププは俺が数ヶ月前に拾ってきた。
今までヒモとして生きてきたらしいが飼い主だった男に捨てられて今にも死んじゃいそうだったププを俺が拾い、容姿の良さからここに引き入れ今では俺の弟子のような存在で家でも店でも俺にくっ付いている可愛い弟分。
しかし、それとこれとは別。
俺は間違いなくトモさんをもてなす為にもてなし方を熟知しているはずのNo.2に接待をお願いした。
なのに…!?
なぜ、新人のププがトモさんのテーブルに付いてオマケに膝枕なんてしてんの!?
意味わかんないんだけど!!!!
そう荒ぶる気持ちを抑え込んでいるとププが生命の危険を感じたのか、優しくぽんぽんっとトモさんの露になっている素肌に触れトモさんを起こす。
まさか、トモさんの素肌に触るというその無邪気なププの行動で、俺のデコに浮き上がる血管が濃くなるばかりなのに、純粋で天然でまだ世間を知らないププはそんな事には気づかない。
ププによって起こされたトモさんは相当酔っているのかムクっと起き上がると、少しサンタのドレスが乱れ胸元が見えそうになってるというのに、そのままププにギュッと抱きつきププの首筋に顔を埋め甘え始めた。
それと同時にププはビクッ!!と反応しトモさんはププにスリスリとしながらまた、寝た。
ププは俺に殺されるとでも思ったのか口をパクパクさせながら必死で手を振り何かを否定している。
俺はゆっくりと瞳を閉じ深呼吸をして自分の気持ちを落ち着かせると、そのままトモさんの元に行き、周りの目も気にする事なくトモさんを抱き上げププに言った。
J「これからも俺の弟子でいたかったら今すぐタクシー呼べ。」
「は…はい。」
ププはバピューンっと飛んでいき、俺はトモさんをお姫様抱っこしたまま店内を歩くと、周りにいたお客様たちは本当に眠り姫みたいで可愛い。とトモさんを見て目を輝かせていた。
タクシーに乗り込み俺たちを見送るププに声をかける。
J「おいププ。」
「すいません!!本当にす…」
J「そうじゃない…カヲルさん…お前の名前だした途端に気まずそうだったけど?」
「え…あ…いや…その…」
J「カヲルさんはトモさんの大切な人だ。下手な扱いしたら俺が許さないからな。」
俺がそう言うとププは顔を真っ赤にして何度も頷いていた。
運転手に声をかけタクシーを走らせるとトモさんは寝ぼけているのか、俺を抱き枕のようにギュッと抱きしめ俺の身体をサワサワと撫でる。
俺はゾクゾクとし、変な気を起こすんじゃないぞ…と自分に喝を入れカヲルさんの店に向かうとそこはもう既にcloseしていて店内に誰もいなかった。
弱ったな…ププに連絡してカヲルさんの連絡先でも聞くか…
いや、もしかしたらもう既に2人は一緒らにいるかもしれない…2人の邪魔する訳にもいかないしな。
スマホを取り出しププの名前を表示させたものの…
俺はそう思い、ププに連絡する事なくそのままタクシーを走らせた。
そして、本当に眠り姫のようなトモさんを見て俺は思う。
こんなにも幸せを感じたクリスマスイヴはいつぶりだろうと…
J「トモさん……今夜は一緒にいてくれますか?」
トモさんといたらクリスマスイヴのトラウマなんて忘れてしまいそうで、俺は眠ったままのトモさんにそう呟いた。
つづく
いつも指名しても俺が席に付く事なんて殆どないのにも関わらず、そんな俺に貢いでくれる人たちの元にクリスマスの挨拶とプレゼントのお礼を兼ねてテーブルを回った。
トモさんを1人にしておくには心配だったので、日頃から仲良しでもあるNo.2のホストにテーブルに付くようボーイに話を通したはずなのだが……
J「どう言うことだこれ……」
挨拶回りを終え、テーブルに戻るとそこにはそのホストの姿はなく、俺を見て冷や汗をかいているププとププに膝枕されてスヤスヤと眠るトモさんがいた。
俺の表情から激怒していることが分かったのか、ププはシュンと音がしそうなほど肩を縮こめてチラチラと俺の顔色を伺う。
このププは俺が数ヶ月前に拾ってきた。
今までヒモとして生きてきたらしいが飼い主だった男に捨てられて今にも死んじゃいそうだったププを俺が拾い、容姿の良さからここに引き入れ今では俺の弟子のような存在で家でも店でも俺にくっ付いている可愛い弟分。
しかし、それとこれとは別。
俺は間違いなくトモさんをもてなす為にもてなし方を熟知しているはずのNo.2に接待をお願いした。
なのに…!?
なぜ、新人のププがトモさんのテーブルに付いてオマケに膝枕なんてしてんの!?
意味わかんないんだけど!!!!
そう荒ぶる気持ちを抑え込んでいるとププが生命の危険を感じたのか、優しくぽんぽんっとトモさんの露になっている素肌に触れトモさんを起こす。
まさか、トモさんの素肌に触るというその無邪気なププの行動で、俺のデコに浮き上がる血管が濃くなるばかりなのに、純粋で天然でまだ世間を知らないププはそんな事には気づかない。
ププによって起こされたトモさんは相当酔っているのかムクっと起き上がると、少しサンタのドレスが乱れ胸元が見えそうになってるというのに、そのままププにギュッと抱きつきププの首筋に顔を埋め甘え始めた。
それと同時にププはビクッ!!と反応しトモさんはププにスリスリとしながらまた、寝た。
ププは俺に殺されるとでも思ったのか口をパクパクさせながら必死で手を振り何かを否定している。
俺はゆっくりと瞳を閉じ深呼吸をして自分の気持ちを落ち着かせると、そのままトモさんの元に行き、周りの目も気にする事なくトモさんを抱き上げププに言った。
J「これからも俺の弟子でいたかったら今すぐタクシー呼べ。」
「は…はい。」
ププはバピューンっと飛んでいき、俺はトモさんをお姫様抱っこしたまま店内を歩くと、周りにいたお客様たちは本当に眠り姫みたいで可愛い。とトモさんを見て目を輝かせていた。
タクシーに乗り込み俺たちを見送るププに声をかける。
J「おいププ。」
「すいません!!本当にす…」
J「そうじゃない…カヲルさん…お前の名前だした途端に気まずそうだったけど?」
「え…あ…いや…その…」
J「カヲルさんはトモさんの大切な人だ。下手な扱いしたら俺が許さないからな。」
俺がそう言うとププは顔を真っ赤にして何度も頷いていた。
運転手に声をかけタクシーを走らせるとトモさんは寝ぼけているのか、俺を抱き枕のようにギュッと抱きしめ俺の身体をサワサワと撫でる。
俺はゾクゾクとし、変な気を起こすんじゃないぞ…と自分に喝を入れカヲルさんの店に向かうとそこはもう既にcloseしていて店内に誰もいなかった。
弱ったな…ププに連絡してカヲルさんの連絡先でも聞くか…
いや、もしかしたらもう既に2人は一緒らにいるかもしれない…2人の邪魔する訳にもいかないしな。
スマホを取り出しププの名前を表示させたものの…
俺はそう思い、ププに連絡する事なくそのままタクシーを走らせた。
そして、本当に眠り姫のようなトモさんを見て俺は思う。
こんなにも幸せを感じたクリスマスイヴはいつぶりだろうと…
J「トモさん……今夜は一緒にいてくれますか?」
トモさんといたらクリスマスイヴのトラウマなんて忘れてしまいそうで、俺は眠ったままのトモさんにそう呟いた。
つづく
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