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15話
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ジョウside
相手の手を取り自分の腕に絡ませるなんてよくある行為なのに、なぜかその相手がトモさんだと俺は微かに震えてめちゃくちゃ緊張した。
煌びやか歩き慣れた街。
なのに不思議とトモさんが一緒に横を歩いてくれるだけで景色が違って見える。
俺と腕を組むトモさんの紫のサンタの手袋についたリボンが解けるのが見え俺は思った。
トモさんと赤い糸で結ばれているのが俺だったらいいのにな…って。
そんな事を思いながら立ち止まり、トモさんの手袋のリボンを結んであげると、行き交う人たちは見惚れるように俺たちに注目し見つめていた。
またゆっくりと歩き出し、緊張からトモさんとひと言も話せずにいると、腕を組んで歩いているトモさんが不思議そうに俺の顔を突然のぞき込んだ。
J「!?」
T「今なんか違うこと考えてたでしょ?別に良いけど。一応、今は同伴してるお客なはずなんですけど~」
トモさんは俺の恋心に気づいていてわざとなのだろうか?
それとも無意識なのだろうか?
俺の横で上目遣いをし少し拗ねて口を尖らせているが、俺には余裕なんてなくてドキドキと心臓がうるさい。
しかし、トモさんのその顔があまりにも可愛くて、俺が誤魔化すようにニコッと微笑むと、風になびいたトモさんの長い髪が唇のリップにくっ付き、俺がそっとその毛先を取ってあげて耳にかけてあげるとトモさんは嫌がる素振りを見せる事なく、ありがとうと言って微笑んでくれた。
こんなにもトモさんに緊張しているのに俺がそんな行動を迷うことなく出来たのはきっと、長年ホストとして働いてきた行動がこの体に染み付いているからだろう。
J「もうすぐ着くけど…その姿…店の奴らに見せるの嫌だな。」
あまりにも紫色のロングサンタの服装が似合いすぎていて、肩が丸見えなのが心配な俺の本音がついポロっと出てしまうとトモさんは口を尖らせて眉をあげる。
T「そんなに心配?」
J「心配っていうか…誰にも見せたくなくて…」
T「なら行くのやめる。」
トモさんは突然、そう言い出し立ち止まると俺と組んでいた腕もほどき、クルッと後ろを向いて歩き出すので焦った俺は慌ててトモさんを止めた。
J「待って待って!そういう意味じゃなくて!!」
愛情表現のひとつとして言ったはずの言葉なのに、予想外の反応をするトモさんに焦っているとトモさんは急に立ち止まり、俺の方を向いてニカッと笑った。
T「なーんてね。嘘だよ~」
そう俺を揶揄うようにして笑ったトモさんにホッと俺は胸を撫で下ろし、俺の顔に笑顔が戻るとトモさんも笑いながら元の道を歩き出した。
そして、俺は思う。
こんなにも俺の思い通りにならず俺を夢中にさせる人…
初めて出会ったかもしれないと。
つづく
相手の手を取り自分の腕に絡ませるなんてよくある行為なのに、なぜかその相手がトモさんだと俺は微かに震えてめちゃくちゃ緊張した。
煌びやか歩き慣れた街。
なのに不思議とトモさんが一緒に横を歩いてくれるだけで景色が違って見える。
俺と腕を組むトモさんの紫のサンタの手袋についたリボンが解けるのが見え俺は思った。
トモさんと赤い糸で結ばれているのが俺だったらいいのにな…って。
そんな事を思いながら立ち止まり、トモさんの手袋のリボンを結んであげると、行き交う人たちは見惚れるように俺たちに注目し見つめていた。
またゆっくりと歩き出し、緊張からトモさんとひと言も話せずにいると、腕を組んで歩いているトモさんが不思議そうに俺の顔を突然のぞき込んだ。
J「!?」
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トモさんは俺の恋心に気づいていてわざとなのだろうか?
それとも無意識なのだろうか?
俺の横で上目遣いをし少し拗ねて口を尖らせているが、俺には余裕なんてなくてドキドキと心臓がうるさい。
しかし、トモさんのその顔があまりにも可愛くて、俺が誤魔化すようにニコッと微笑むと、風になびいたトモさんの長い髪が唇のリップにくっ付き、俺がそっとその毛先を取ってあげて耳にかけてあげるとトモさんは嫌がる素振りを見せる事なく、ありがとうと言って微笑んでくれた。
こんなにもトモさんに緊張しているのに俺がそんな行動を迷うことなく出来たのはきっと、長年ホストとして働いてきた行動がこの体に染み付いているからだろう。
J「もうすぐ着くけど…その姿…店の奴らに見せるの嫌だな。」
あまりにも紫色のロングサンタの服装が似合いすぎていて、肩が丸見えなのが心配な俺の本音がついポロっと出てしまうとトモさんは口を尖らせて眉をあげる。
T「そんなに心配?」
J「心配っていうか…誰にも見せたくなくて…」
T「なら行くのやめる。」
トモさんは突然、そう言い出し立ち止まると俺と組んでいた腕もほどき、クルッと後ろを向いて歩き出すので焦った俺は慌ててトモさんを止めた。
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T「なーんてね。嘘だよ~」
そう俺を揶揄うようにして笑ったトモさんにホッと俺は胸を撫で下ろし、俺の顔に笑顔が戻るとトモさんも笑いながら元の道を歩き出した。
そして、俺は思う。
こんなにも俺の思い通りにならず俺を夢中にさせる人…
初めて出会ったかもしれないと。
つづく
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