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5話
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次の日
店に出勤すると、もう既に飾り終えているはずのクリスマスツリーに雪の飾りを付けていたカヲルちゃんが、待ってましたと言わんばかりに俺の元にきて、ユキトくんに付き纏っていた女の話を聞いてきたので、俺はとても詳しく丁寧に説明してあげた。
T「ってな感じで、俺が悪者になって水掛けられておしまい!」
「えぇ!?気の強い女ね!!そんなの縁切って正解よ!!ところで、あんた貸した服持ってきたの?」
T「あぁうん。」
俺は紙袋の中に入ったカヲルちゃんから借りていた服と靴、そしてポーチを返した。
カヲルちゃんが何気なく紙袋の中を覗くと、何これ?と言いながらポーチを出してきて俺は何を考えずにそんなカヲルちゃんを見つめる。
「え!!あんたこの子に名刺もらったの!!?」
カヲルちゃんの手には昨日、ジョウが無理矢理渡してきた名刺があり、俺がカヲルちゃんの言葉にあぁ~うん。と頷くとカヲルちゃんは顎が外れたのか愕然として暫く俺の顔を見つめていた。
T「なんだよ…そんなそいつ有名なの?」
「有名もなにも…この子が働く店はこの街のトップでこの子はその店の…」
T「No.1なんだろ?なんか自分で自慢してた。良かったら遊びに来て~って。」
「え!?マジ!?行きましょう!!今すぐアタシと行きましょう!!」
T「行くわけない!そもそも、あんなチャラい奴がNo.1とか信じられないし。あんな奴より俺の方が良い男じゃん!!」
「いい?トモちゃん。確かにアンタは良い男よ?イケメンで背はそこまで高くはないけど、手足が長くてスタイルがよくて、優しくて可愛くてもう食べちゃいたいくらい愛嬌もあるもの。だけどね?アンタはどっからどう見ても受けなのよ…この子は残念ながら攻め…甘顔の攻めって最強であり正義なのよ…これは譲れないの。」
T「はぁ!?今は受けとから攻めとか関係なくない!?ってか俺はそもそもゲイじゃないし!ってかってか!カヲルちゃんだって攻めじゃん!!」
なんで俺はこんな事にムキになってるんだと思いながらも何故か、自分が受け認定される事だけは納得いかなかった。ゲイじゃないけど。
「あのね?もうひとつ言えば冷め顔の受けも最強であり正義よ?」
T「は?」
「アンタのことよ!!もういい加減、童貞捨てるか処女捨てるかどっちかしなさいよ!!ゲイじゃないとか言いながら女も作らないし!ほんと良い男なのに勿体ない!!ワタシがその顔なら毎晩、引っ掛けてきて男か女を抱いてるわ!!」
カヲルちゃんはそう言ってカウンターをバシッと手のひらで叩き、荷物を持って裏に消えて行った。
俺はポツンとカウンターの上に置かれてある名刺を手に取り見つめる。
あのベビーフェイスのチャラ男は甘顔の攻めなのか…
顔だけ見ると攻めだなんて思えなかったけど。
なんて思いながら俺は仕事に集中するようにその名刺をポケットに入れた。
つづく
店に出勤すると、もう既に飾り終えているはずのクリスマスツリーに雪の飾りを付けていたカヲルちゃんが、待ってましたと言わんばかりに俺の元にきて、ユキトくんに付き纏っていた女の話を聞いてきたので、俺はとても詳しく丁寧に説明してあげた。
T「ってな感じで、俺が悪者になって水掛けられておしまい!」
「えぇ!?気の強い女ね!!そんなの縁切って正解よ!!ところで、あんた貸した服持ってきたの?」
T「あぁうん。」
俺は紙袋の中に入ったカヲルちゃんから借りていた服と靴、そしてポーチを返した。
カヲルちゃんが何気なく紙袋の中を覗くと、何これ?と言いながらポーチを出してきて俺は何を考えずにそんなカヲルちゃんを見つめる。
「え!!あんたこの子に名刺もらったの!!?」
カヲルちゃんの手には昨日、ジョウが無理矢理渡してきた名刺があり、俺がカヲルちゃんの言葉にあぁ~うん。と頷くとカヲルちゃんは顎が外れたのか愕然として暫く俺の顔を見つめていた。
T「なんだよ…そんなそいつ有名なの?」
「有名もなにも…この子が働く店はこの街のトップでこの子はその店の…」
T「No.1なんだろ?なんか自分で自慢してた。良かったら遊びに来て~って。」
「え!?マジ!?行きましょう!!今すぐアタシと行きましょう!!」
T「行くわけない!そもそも、あんなチャラい奴がNo.1とか信じられないし。あんな奴より俺の方が良い男じゃん!!」
「いい?トモちゃん。確かにアンタは良い男よ?イケメンで背はそこまで高くはないけど、手足が長くてスタイルがよくて、優しくて可愛くてもう食べちゃいたいくらい愛嬌もあるもの。だけどね?アンタはどっからどう見ても受けなのよ…この子は残念ながら攻め…甘顔の攻めって最強であり正義なのよ…これは譲れないの。」
T「はぁ!?今は受けとから攻めとか関係なくない!?ってか俺はそもそもゲイじゃないし!ってかってか!カヲルちゃんだって攻めじゃん!!」
なんで俺はこんな事にムキになってるんだと思いながらも何故か、自分が受け認定される事だけは納得いかなかった。ゲイじゃないけど。
「あのね?もうひとつ言えば冷め顔の受けも最強であり正義よ?」
T「は?」
「アンタのことよ!!もういい加減、童貞捨てるか処女捨てるかどっちかしなさいよ!!ゲイじゃないとか言いながら女も作らないし!ほんと良い男なのに勿体ない!!ワタシがその顔なら毎晩、引っ掛けてきて男か女を抱いてるわ!!」
カヲルちゃんはそう言ってカウンターをバシッと手のひらで叩き、荷物を持って裏に消えて行った。
俺はポツンとカウンターの上に置かれてある名刺を手に取り見つめる。
あのベビーフェイスのチャラ男は甘顔の攻めなのか…
顔だけ見ると攻めだなんて思えなかったけど。
なんて思いながら俺は仕事に集中するようにその名刺をポケットに入れた。
つづく
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