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僕たちの馴れ初め3
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ヒュウサイド
僕とエニシの馴れ初め?
それはね?
僕が高校3年生の時、隣の席になったユイトと仲良くなって毎日、連むようになった事からはじまる。
ある日の昼休み、ユイトと一緒に廊下を歩いていると偶然、とある一年が裏庭で迷い込んでいた子猫に牛乳をあげていた。
先生に見つかったら怒られるのに…そう思いながらぼんやりとその子を見ているとその子が突然、振り返り僕と目が合ってしまった…ような気がした。
すると何故かドキッと僕の胸が跳ね上がり、ドキドキと早く動きだした。
H「ユイト…どうしよう…僕…あの子に一目惚れしちゃったかも…」
Y「え?あいつ!?嘘だろ!?あいつ俺の弟なんだけど!?」
H「マジ!?」
そんな自然な流れで一目惚れした相手の兄貴に同性愛者だとカミングアウトしてしまった僕。
しかし、ユイトはめちゃくちゃ良い奴で「ウチの弟は兄貴である俺と違って、超根暗の人見知りで友達いないからヒュウが仲良くしてやって。」と言って家に連れて行ってくれた。
ユイトから聞かされていた通り、エニシの顔は今風で可愛くてモテそうな雰囲気を醸し出しているというのに、中身はホント根暗の人見知りで不器用だった。
でもそれが僕にしたら可愛くて愛しくて、エニシと仲良くなればなるほど、エニシの心が開けば開くほど、僕はエニシのことが大好きになっていった。
早く僕の気持ちに気づいて…
そう思う反面、まだ高校一年生という年齢のエニシに同性愛という感情を押し付けることになるのではないかと気が引ける面もあった。
そんな時、事務所から連絡があり本格的に所属してレッスンを受けないかという話がきた。
数日後には雑誌のオーディションがあるから出来れば早く東京に来てほしいという内容で、高校と話し合った結果、必須の授業のみリモートで出席し卒業することに決まった。
モデルの仕事は小さな頃からの夢でなによりも嬉しいはずなのに、この時の僕はエニシと離れることが何よりも苦しくて辛くて、東京に行くことすら諦めてしまおうかと悩んだ。
でも、ユイトに「カッコいい姿のヒュウをエニシに見せてやってほしい。夢を諦めたヒュウの姿なんて…エニシだけじゃなく親友の俺も見たくないよ。」そう言われて僕は思いとどまった。
もし今、エニシが僕のこと好きじゃなくても、いつか夢を叶えて帰ってきた時、エニシがそんな僕の姿を見て好きだと思ってくれたらいいなと僕は思った。
だから、精一杯の強がりを見せて東京に行く前日、エニシにお別れの挨拶をしたのに…
エニシったらさ?「仲良くなってくれてありがと…」なんて言うんだよ。
もう完全に脈なしじゃんって。
僕はやっぱりエニシにとって兄貴の友人にすぎなかったんだなって。
そう思った。
東京に行ってから、もう諦めよう。
もう、エニシのことは考えないようにしよう。
そう思えば思うほどエニシへの気持ちは膨らんでいって、厳しいレッスンで身も心もぼろぼろになった僕はいつも一人で泣いていた。
そんな時はエニシとのトーク画面を開き、何かの間違いでエニシからメッセージ来ないかな?なんて思いながら見続けたけれどエニシからメッセージが来ることは一度もなかった。
卒業式の日
僕は久しぶりに地元に戻った。
僕の卒業後は両親も一緒に東京へ出てくることが決まっていたので、ここを訪れるのは今日で最後だな。そう思いながら高校に向かった。
町を歩けば数少ないエニシとの思い出が思い浮かび、どうかエニシと会わないで今日一日を過ごせますように…そう祈ったその時。
愛しくてたまらない声で自分の名前が呼ばれて僕は固まった。
なんで…
なんでエニシがここに?
そう思いながらゆっくりと振り返るとそこには間違いなくエニシの姿があり、久しぶりにエニシの顔を見た僕の胸は正直なほど早く動き出した。
エニシのことを見つめることしか出来ず、エニシがゆっくりと近づいて来るたびに体がガクガクと震えた。
E「ヒュウ…会いたかった…」
エニシにそう言われることがまるで夢のようで、現実として受け止められず、ただぼんやりとエニシを見つめると涙が滲んでくる。
E「連絡できなくてごめん…」
エニシの言葉を聞いた僕は視線を下に落とし、言葉にしてしまえば涙が溢れ出しそうで首をゆっくり横に振った。
E「ヒュウがいなくなってはじめて僕…気づいたんだ。僕はヒュウのことが好きなんだって…ヒュウが東京に行く前日に会いに来てくれた時にはまだ、この気持ちが恋だなんて気づいてなかった。でも離れてはじめて気づいた…ヒュウが大好きだったんだって…ごめん…あの時言えなくて…」
聞き間違いかと思った。
まさか、エニシからそんな言葉が聞けるなんて思ってもみなかったから。
だから、涙が堪えきれず溢れ出してしまったんだ。
E「ヒュ…ヒュウ…ごめん…泣かせるつもりじゃなくて…その…迷惑だったよね…ごめん…」
迷惑な訳がない。
嬉しくて堪らなくて泣いているのに…嬉しすぎて言葉にならなかったんだ。
だから僕は腕を伸ばしてエニシに抱きついた。
E「ヒュウ?」
H「迷惑なわけないよ…嬉しくて泣いてんの。」
E「え…?」
H「僕もエニシのことが好き…大好きだよ。」
もう、止められなかった。
ずっと我慢して堪えていた気持ちが溢れ出し、僕は気がついたらエニシにキスをしていた。
それが僕たちの馴れ初め。
ユイトは相変わらず僕の親友だし、エニシの良き兄貴でもある。
それは東京で暮らし始めてもなんら変わることもなく、僕たちの愛は益々深まるばかり。
エニシの好きなところを言いはじめたらキリがないんだけれど、やっぱり一目惚れだから顔が一番好きかな?
なんて言ったらエニシはいつも拗ねるんだ。
そんな僕の恋人…ほんと可愛いでしょ?
終わり
僕とエニシの馴れ初め?
それはね?
僕が高校3年生の時、隣の席になったユイトと仲良くなって毎日、連むようになった事からはじまる。
ある日の昼休み、ユイトと一緒に廊下を歩いていると偶然、とある一年が裏庭で迷い込んでいた子猫に牛乳をあげていた。
先生に見つかったら怒られるのに…そう思いながらぼんやりとその子を見ているとその子が突然、振り返り僕と目が合ってしまった…ような気がした。
すると何故かドキッと僕の胸が跳ね上がり、ドキドキと早く動きだした。
H「ユイト…どうしよう…僕…あの子に一目惚れしちゃったかも…」
Y「え?あいつ!?嘘だろ!?あいつ俺の弟なんだけど!?」
H「マジ!?」
そんな自然な流れで一目惚れした相手の兄貴に同性愛者だとカミングアウトしてしまった僕。
しかし、ユイトはめちゃくちゃ良い奴で「ウチの弟は兄貴である俺と違って、超根暗の人見知りで友達いないからヒュウが仲良くしてやって。」と言って家に連れて行ってくれた。
ユイトから聞かされていた通り、エニシの顔は今風で可愛くてモテそうな雰囲気を醸し出しているというのに、中身はホント根暗の人見知りで不器用だった。
でもそれが僕にしたら可愛くて愛しくて、エニシと仲良くなればなるほど、エニシの心が開けば開くほど、僕はエニシのことが大好きになっていった。
早く僕の気持ちに気づいて…
そう思う反面、まだ高校一年生という年齢のエニシに同性愛という感情を押し付けることになるのではないかと気が引ける面もあった。
そんな時、事務所から連絡があり本格的に所属してレッスンを受けないかという話がきた。
数日後には雑誌のオーディションがあるから出来れば早く東京に来てほしいという内容で、高校と話し合った結果、必須の授業のみリモートで出席し卒業することに決まった。
モデルの仕事は小さな頃からの夢でなによりも嬉しいはずなのに、この時の僕はエニシと離れることが何よりも苦しくて辛くて、東京に行くことすら諦めてしまおうかと悩んだ。
でも、ユイトに「カッコいい姿のヒュウをエニシに見せてやってほしい。夢を諦めたヒュウの姿なんて…エニシだけじゃなく親友の俺も見たくないよ。」そう言われて僕は思いとどまった。
もし今、エニシが僕のこと好きじゃなくても、いつか夢を叶えて帰ってきた時、エニシがそんな僕の姿を見て好きだと思ってくれたらいいなと僕は思った。
だから、精一杯の強がりを見せて東京に行く前日、エニシにお別れの挨拶をしたのに…
エニシったらさ?「仲良くなってくれてありがと…」なんて言うんだよ。
もう完全に脈なしじゃんって。
僕はやっぱりエニシにとって兄貴の友人にすぎなかったんだなって。
そう思った。
東京に行ってから、もう諦めよう。
もう、エニシのことは考えないようにしよう。
そう思えば思うほどエニシへの気持ちは膨らんでいって、厳しいレッスンで身も心もぼろぼろになった僕はいつも一人で泣いていた。
そんな時はエニシとのトーク画面を開き、何かの間違いでエニシからメッセージ来ないかな?なんて思いながら見続けたけれどエニシからメッセージが来ることは一度もなかった。
卒業式の日
僕は久しぶりに地元に戻った。
僕の卒業後は両親も一緒に東京へ出てくることが決まっていたので、ここを訪れるのは今日で最後だな。そう思いながら高校に向かった。
町を歩けば数少ないエニシとの思い出が思い浮かび、どうかエニシと会わないで今日一日を過ごせますように…そう祈ったその時。
愛しくてたまらない声で自分の名前が呼ばれて僕は固まった。
なんで…
なんでエニシがここに?
そう思いながらゆっくりと振り返るとそこには間違いなくエニシの姿があり、久しぶりにエニシの顔を見た僕の胸は正直なほど早く動き出した。
エニシのことを見つめることしか出来ず、エニシがゆっくりと近づいて来るたびに体がガクガクと震えた。
E「ヒュウ…会いたかった…」
エニシにそう言われることがまるで夢のようで、現実として受け止められず、ただぼんやりとエニシを見つめると涙が滲んでくる。
E「連絡できなくてごめん…」
エニシの言葉を聞いた僕は視線を下に落とし、言葉にしてしまえば涙が溢れ出しそうで首をゆっくり横に振った。
E「ヒュウがいなくなってはじめて僕…気づいたんだ。僕はヒュウのことが好きなんだって…ヒュウが東京に行く前日に会いに来てくれた時にはまだ、この気持ちが恋だなんて気づいてなかった。でも離れてはじめて気づいた…ヒュウが大好きだったんだって…ごめん…あの時言えなくて…」
聞き間違いかと思った。
まさか、エニシからそんな言葉が聞けるなんて思ってもみなかったから。
だから、涙が堪えきれず溢れ出してしまったんだ。
E「ヒュ…ヒュウ…ごめん…泣かせるつもりじゃなくて…その…迷惑だったよね…ごめん…」
迷惑な訳がない。
嬉しくて堪らなくて泣いているのに…嬉しすぎて言葉にならなかったんだ。
だから僕は腕を伸ばしてエニシに抱きついた。
E「ヒュウ?」
H「迷惑なわけないよ…嬉しくて泣いてんの。」
E「え…?」
H「僕もエニシのことが好き…大好きだよ。」
もう、止められなかった。
ずっと我慢して堪えていた気持ちが溢れ出し、僕は気がついたらエニシにキスをしていた。
それが僕たちの馴れ初め。
ユイトは相変わらず僕の親友だし、エニシの良き兄貴でもある。
それは東京で暮らし始めてもなんら変わることもなく、僕たちの愛は益々深まるばかり。
エニシの好きなところを言いはじめたらキリがないんだけれど、やっぱり一目惚れだから顔が一番好きかな?
なんて言ったらエニシはいつも拗ねるんだ。
そんな僕の恋人…ほんと可愛いでしょ?
終わり
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