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9話
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ジレンと一緒に外に出てお散歩して分かったことは本当に本能のまま生きてるので、目の前で動くもの転がるもの全てに興味が行き、俺がジレンの手をしっかりと繋いでいないと…
T「ぁぁぁあぁぁあ危ない!!!!」
突然、目の前を飛ぶ虫につられて道路に飛び出したり。
T「ぁぁぁあぁぁあこらぁまだお金払ってない!!!!」
店先に出してあるリンゴをかじったり。
T「ぅぁぁぁあぁぁあ!それ!この子のボール!!!!」
公園でボールを転がして遊ぶ小さな子のボールを横取りして夢中で遊んだり。
ジレンという生き物は本能が爆発すると歯止めが効かない生き物だということがよく分かった。
俺は振り回され続け1人ふらふらとしていたがその結果、ジレンは終始上機嫌だった。
俺は一人どっと疲れたなか、また暴れ出さないようにジレンの手を握りしめて公園のベンチに座る。
T「ジレン………その身体になってから本能が我慢出来ないのは分かるよ?でもさ…急に道路に飛び出したら危ないし!!店のモノ勝手に食べたら犯罪だし!!小さな子の前で大暴れしたら怪我させちゃうかもしれないだろ!?」
俺はジレンの手を自分の膝の上に置き、言い聞かせてなだめるようにして言うとジレンはまた、フードを被り紐をギュッと引っ張り顔を隠すと口だけ見せてその口を尖らせ拗ねる。
J「だって久しぶりに人間の格好で外出たから楽しくて…つい…」
T「え…どういこと?」
J「前の飼い主は俺のこと人間なんて思ってなかった。だから自分がシたいときだけ俺を人間の姿に戻して、それ以外はウサギの姿のまま檻のなかにずっと閉じ込めてたんだ…だから人間の姿で外に出るのはほんと…久しぶり。」
思わず悲しくてため息が出てしまいそうになるジレン過去に、胸が痛む俺はジレンの頭に手を伸ばしてそっと撫でてやる。
すると、ジレンはまるで子供のようにぎゅーっと俺に抱きつくと、ベンチに寝転がり横になり俺の膝に甘える。
きっと周りからしてみれば、男同士が真っ昼間の公園で膝枕をしているなんて視線のやり場に困るだろう。
しかし、俺はそれを拒むことなくジレンを受け入れ、頭や頬を撫でるのは今まで彼が受けてきた心の傷を少しでも癒してあげたいと思ったから。
T「ジレン……このままだったら散歩に行くときリードしないといけなくなるぞ?」
俺がそういうとジレンは仰向けに体勢を変えて俺のことを下から見つめる。
俺はジレンの顔が見えるように下を向くとジレンは言った。
J「リードなんて嫌だ。タケルくんのこの手で俺の手をずっと握ってくれてたらいいじゃん……タケルくんのこの手が俺のリードだもん。」
ジレンはそういうと俺と手を繋ぎ、もう片方の手は俺の後頭部を引き寄せ、俺はジレンに覆いかぶさるような形になりジレンは当たり前のように俺に口付けをしようとする。
さすがに真っ昼間の公園でのキスはまずい。
そう思った俺は体勢を戻そうとしても、ジレンの力が強くて頭を上げられない。
仕方なくジレンの脇腹をつまむと、ジレンはビクッと身体を跳ねさせ一瞬、弾みで俺の唇とジレンの唇がチュウと重なると…ジレンは俺を解放した。
T「はぁ…もうこんなんだとちゃんとシツケしなきゃ…」
J「またお座りや待って言うの?最悪。シツケなんていらない。俺は俺!」
ジレンはだらしなくベンチに座り直し、俺はそんなジレンに呆れて少しため息を落とす。
T「シツケされたくなかったら少しは我慢しろ!」
俺はそう言って笑いながらジレンにデコピンをすると、ジレンも俺につられるように笑いながら俺を引き寄せ結局、俺たちは真昼間の公園でキスをした。
つづく
T「ぁぁぁあぁぁあ危ない!!!!」
突然、目の前を飛ぶ虫につられて道路に飛び出したり。
T「ぁぁぁあぁぁあこらぁまだお金払ってない!!!!」
店先に出してあるリンゴをかじったり。
T「ぅぁぁぁあぁぁあ!それ!この子のボール!!!!」
公園でボールを転がして遊ぶ小さな子のボールを横取りして夢中で遊んだり。
ジレンという生き物は本能が爆発すると歯止めが効かない生き物だということがよく分かった。
俺は振り回され続け1人ふらふらとしていたがその結果、ジレンは終始上機嫌だった。
俺は一人どっと疲れたなか、また暴れ出さないようにジレンの手を握りしめて公園のベンチに座る。
T「ジレン………その身体になってから本能が我慢出来ないのは分かるよ?でもさ…急に道路に飛び出したら危ないし!!店のモノ勝手に食べたら犯罪だし!!小さな子の前で大暴れしたら怪我させちゃうかもしれないだろ!?」
俺はジレンの手を自分の膝の上に置き、言い聞かせてなだめるようにして言うとジレンはまた、フードを被り紐をギュッと引っ張り顔を隠すと口だけ見せてその口を尖らせ拗ねる。
J「だって久しぶりに人間の格好で外出たから楽しくて…つい…」
T「え…どういこと?」
J「前の飼い主は俺のこと人間なんて思ってなかった。だから自分がシたいときだけ俺を人間の姿に戻して、それ以外はウサギの姿のまま檻のなかにずっと閉じ込めてたんだ…だから人間の姿で外に出るのはほんと…久しぶり。」
思わず悲しくてため息が出てしまいそうになるジレン過去に、胸が痛む俺はジレンの頭に手を伸ばしてそっと撫でてやる。
すると、ジレンはまるで子供のようにぎゅーっと俺に抱きつくと、ベンチに寝転がり横になり俺の膝に甘える。
きっと周りからしてみれば、男同士が真っ昼間の公園で膝枕をしているなんて視線のやり場に困るだろう。
しかし、俺はそれを拒むことなくジレンを受け入れ、頭や頬を撫でるのは今まで彼が受けてきた心の傷を少しでも癒してあげたいと思ったから。
T「ジレン……このままだったら散歩に行くときリードしないといけなくなるぞ?」
俺がそういうとジレンは仰向けに体勢を変えて俺のことを下から見つめる。
俺はジレンの顔が見えるように下を向くとジレンは言った。
J「リードなんて嫌だ。タケルくんのこの手で俺の手をずっと握ってくれてたらいいじゃん……タケルくんのこの手が俺のリードだもん。」
ジレンはそういうと俺と手を繋ぎ、もう片方の手は俺の後頭部を引き寄せ、俺はジレンに覆いかぶさるような形になりジレンは当たり前のように俺に口付けをしようとする。
さすがに真っ昼間の公園でのキスはまずい。
そう思った俺は体勢を戻そうとしても、ジレンの力が強くて頭を上げられない。
仕方なくジレンの脇腹をつまむと、ジレンはビクッと身体を跳ねさせ一瞬、弾みで俺の唇とジレンの唇がチュウと重なると…ジレンは俺を解放した。
T「はぁ…もうこんなんだとちゃんとシツケしなきゃ…」
J「またお座りや待って言うの?最悪。シツケなんていらない。俺は俺!」
ジレンはだらしなくベンチに座り直し、俺はそんなジレンに呆れて少しため息を落とす。
T「シツケされたくなかったら少しは我慢しろ!」
俺はそう言って笑いながらジレンにデコピンをすると、ジレンも俺につられるように笑いながら俺を引き寄せ結局、俺たちは真昼間の公園でキスをした。
つづく
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