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164話

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マハロside

ヒスイさんの部屋に入りソファに座るとヒスイさん難しい顔をして俺に頭を下げた。

HS「本当に色々と迷惑をかけて申し訳ない…」

M「え?やめてくださいよ…ヒスイさんがなんで謝るですか。」

すると、ヒスイさんは頭を上げて俺の目を見てゆっくりと話し始めた。

HS「アナのことでマハロさんをはじめとする他のメンバーの方にも沢山ご迷惑をおかけしてしまった。なにもよりも何も分かっていなかった私の身勝手でジョウキさんにとても残酷な事をさせてしまいました…。」

目の前のヒスイさんは俺よりもはるかに大きいのに何故か今は小さく感じる。

M「僕も全てお話は聞きました。でも、最後にそう決断したのはジョウキ本人ですから。ヒスイさんが僕に謝ることなんてないんですよ。」 

俺の言葉をヒスイさんは眉間にシワを寄せながら聞いている。

HS「ジョウキさんは今どこに…?」

M「アナのいるイギリスにいる事が辛かったようで先に帰国しました。」

ヒスイさんは少し残念そうな顔をして下を向いた。

HS「そうですか…今更ながらに妹をジョウキさんに会わせてあげようと思ってももう、遅かったのですね…」

M「ヒスイさん…それは本心ですか…?」

俺の問いかけにヒスイさんは不思議そうな顔をする。

HS「それは一体…どういう…」

M「2人を会わせてあげたい…。そのお気持ちがあるという事はジョウキとアナさんとの仲をお認めになる。そう解釈させていただいてよろしいでしょうか…?」

するとヒスイさんは複雑そうな笑みを見せながら言った。

HS「認めるもなにも、彼がいないと生きてる意味がないとまでアナに言われたんですよ?ジョウキさん自身がアナにとっての生きる意味だったんですよ…私は長く妹と離れて暮らしていたせいか…妹の気持ちに気づいてなかった…。」

そのヒスイさんの笑顔は優しくも寂しそうだった。

M「アナさんの手術の日程はもう決まってるんですか?」 

HS「はい、来月の7日に。」

M「来月の7日………。」

HS「もし、可能でしたら…」

ヒスイさんの言葉の続きは俺でも予想ができる…だって俺も本当はそうしてあげたいから。

でも、その日はダメだ…俺はヒスイさんの言葉を遮るように伝えた。

M「すいません。来月の7日はグループにとって大切な受賞式がありまして。」

HS「あ…そうでしたか…いえ…こちらこそすいません…勝手なことばかり…」

ジョウキの事だ…きっと手術の日を知ってしまったらアナの元から離れると決断していたとしてもアナが心配でこっそりイギリスに飛んでいくだろう。

M「いえ、申し訳ないですがジョウキには手術の日は知らないと伝えます。知ってしまったらきっと、あいつは手術中のアナさんのそばにいようとすると思うので上手く話を合わせていただけると助かります。」 

HS「分かりました…」

ごめんね…アナ…

俺たちには守るべきものがあるから…こんな判断をした俺を許してね。


つづく
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