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112話

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ジョウキside

俺はずっとアナの事が気になっていた。

あの日、俺が眠ってしまったあと、アナは何も言わずに俺の部屋から消えていたから。

アナが寂しそうに笑うあの顔を思い出したら俺の胸が疼いた。

だけど、いざユナにまだアナの心が不安定だからそっとしといてあげてほしい…そう言われたら俺の心は納得するしかなくて。

俺たちに気を使わせないようにいつも通りに接してたんだと思ったら、また愛しさが込み上げた。

そして、一通りのスケジュールが終わりやっと帰国した俺とトウヤくん。

ただいまの時刻22時

恐る恐るアナに電話してみるもやはり繋がらない。

T「ジョウキ帰らないの?」

J「帰るけど…」

T「俺、アナの家に寄って帰ろうかな?一応、報告しとくよ。抜け駆けとか言われたくないからさ!」

トウヤくんが俺を見ながら言った。

J「アナの家に寄るって…アナと連絡とったんですか?」

T「いや?取ってないよ?けど、お土産も渡したいしからさ?」

J「じゃ、俺も行く!!」

T「そういうと思ったよ。」

そんなやりのりの末、俺はトウヤくんと2人でアナの家へと向かった。

アナのマンションが近づく程に気持ちが焦り、早く会いたくてたまらないほどに気持ちが溢れだす。

トウヤくんがアナの部屋のインターホンを押すが応答がない。

J「アナ、いないんですかね?さっき電話してもでないし…」

T「うん…?実家に戻ってるのかな?」

そんなやりとりを俺たちは交わし、俺はトウヤくんと別れて歩いて自分のマンションまで帰った。

1週間分の溜まった郵便物を取るためにポストに寄ると、そこには住所が書いてないピンクの便箋が入っていた。

俺は不思議に思い部屋に入ってすぐその便箋を勢いよく開けた。


橘ジョウキ様へ
突然のお手紙ごめんなさい。
でも、今の私にはこうして伝える方法しか思いつきませんでした。
あなたは子供の時から今まで私が辛いときにずっと寄り添ってそばにいてくれた大切な人。
どんな言葉で感謝しても足りないと思います。
中学時代、私にとって唯一の友達だったはずのあなたを忘れてしまって本当にごめんなさい。
あなたのファンになった時、優しく微笑むあなたの横顔が大好きなりました。
それは子供の頃、優しく微笑みながらブランコに乗るあなたの横顔が大好きだったから。
ジョジョ…私の友達になってくれてありがとう。
本当は記憶がもどってるのに嘘ついてごめんね。
大好きだったよ…
あなたに会えてよかった…
ごめんね…
そして…さよなら…。
アナより


なんだよこれ…アナやっぱり記憶戻ってたんじゃんか。

なのにまたアナは突然俺の前から消えるのか?そんなの今の俺には耐えられないよ。

俺はまたあの頃のようにアナを想って俺は泣かなきゃいけないのかよ…

俺は手に握り締めている手紙を見つめながら全身が震え出した。


つづく
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