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43話
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ジョウキside
俺とセナの無意味なやり取りを見てアナがMVに出ないと言い始めた。
違うんだよ…そうじゃねぇんだよ… 俺たちが話してるのはそうじゃねぇんだよ。
俺が黙って頭を悩ませているとトウヤくんがアナの元へ行き言った。
T「アナ…それはダメ。今更、それは通用しないよ?やるって決めたなら最後までやってもらわないと…子供じゃないんだから…これはビジネスなんだよ?」
トウヤくんがアナに鋭い目線で言った。
今のトウヤくんはきっとグループの為、いい作品を作る為に言っている。
それが俺にもヒシヒシと伝わってきた。
A「そんな事私も分かってるよ…でも…この衣装が第1候補なんでしょ?私のせいでこの衣装を変えるのは違うような気がする…」
確かにこの衣装は俺たちが話し合いで決めた第1候補の衣装。
でも、この衣装を着るとなるとアナの肩にあるアザが世間にさらされる事になり、なによりもそれはアナを傷つけることになる。
すると、トウヤくんはアナの目線まで視線を落とし優しい声で問いかけた。
T「アナはこのアザ…誰にも見られたくなかった…?」
トウヤくんがジャケット越しにアナの肩にそっと触れ、アナは戸惑いながら黒目をキョロキョロと動かしている。
A「見られたくないって言うか…このアザを見た人の表情を見るのが辛くて…見せないようにしてた…私のアザを見た相手が不愉快な思いするかもって…」
アナはそう言うと下を向き、申し訳なさそうにそう話した。
T「俺はどんな顔してた?アナの肩見てどんな顔してた?」
A「分からないよ…怖くて見れなかった…みんなの顔…見れなかった…」
T「俺、言ったよね?アナは綺麗だって…もっと自分の魅力に気づいてって…今もその言葉に嘘はないよ?このMVはアナとユナじゃなきゃ成り立たないんだよ…」
A「…でも…」
アナはトウヤくんの言葉を聞いて少し驚きそしてまた下を向く。
すると、ショウくんがゆっくりとアナに近づいた。
S「もしその衣装を俺たちがどうしても着て欲しいって言ったら…アナはどうする?」
ショウくんは落ち着いた声でアナにとんでもない問いかけをした。
A「え…でもこんなアザあるのに…」
J「ショウくんさすがにそれは…」
ショウくんは俺の言葉を遮るようにこう言った。
S「そんなのさ?こうすればいいんじゃねぇ?」
ショウくんはおもむろにテーブルにあったハサミを手に取り、アナのドレスのシフォン状になった裾の部分をザクザクと切り始めた。
J「ちょ…!?何してるんですか!?」
メンバーを含めアナは目が点。
ショウくんはそんな事も気にする様子も無く手を進める。
そしてロング丈だったドレスがミニドレスになり、ショウくんは切り取ったスカートの部分の生地を上手く丸めてお花を作りアナの肩にかざた。
S「アナは小柄だからはじめから足は出した方がいいと思ってたんだよな?まぁ、胸は小さめだからこれぐらい上にボリュームがある方が似合うんじゃね?みんなどう?」
ショウくんはサラッと失礼な事を言い、ここぞとばかりにドヤ顔をしたがその言葉で強張っていたアナの顔に笑顔が戻った。
つづく
俺とセナの無意味なやり取りを見てアナがMVに出ないと言い始めた。
違うんだよ…そうじゃねぇんだよ… 俺たちが話してるのはそうじゃねぇんだよ。
俺が黙って頭を悩ませているとトウヤくんがアナの元へ行き言った。
T「アナ…それはダメ。今更、それは通用しないよ?やるって決めたなら最後までやってもらわないと…子供じゃないんだから…これはビジネスなんだよ?」
トウヤくんがアナに鋭い目線で言った。
今のトウヤくんはきっとグループの為、いい作品を作る為に言っている。
それが俺にもヒシヒシと伝わってきた。
A「そんな事私も分かってるよ…でも…この衣装が第1候補なんでしょ?私のせいでこの衣装を変えるのは違うような気がする…」
確かにこの衣装は俺たちが話し合いで決めた第1候補の衣装。
でも、この衣装を着るとなるとアナの肩にあるアザが世間にさらされる事になり、なによりもそれはアナを傷つけることになる。
すると、トウヤくんはアナの目線まで視線を落とし優しい声で問いかけた。
T「アナはこのアザ…誰にも見られたくなかった…?」
トウヤくんがジャケット越しにアナの肩にそっと触れ、アナは戸惑いながら黒目をキョロキョロと動かしている。
A「見られたくないって言うか…このアザを見た人の表情を見るのが辛くて…見せないようにしてた…私のアザを見た相手が不愉快な思いするかもって…」
アナはそう言うと下を向き、申し訳なさそうにそう話した。
T「俺はどんな顔してた?アナの肩見てどんな顔してた?」
A「分からないよ…怖くて見れなかった…みんなの顔…見れなかった…」
T「俺、言ったよね?アナは綺麗だって…もっと自分の魅力に気づいてって…今もその言葉に嘘はないよ?このMVはアナとユナじゃなきゃ成り立たないんだよ…」
A「…でも…」
アナはトウヤくんの言葉を聞いて少し驚きそしてまた下を向く。
すると、ショウくんがゆっくりとアナに近づいた。
S「もしその衣装を俺たちがどうしても着て欲しいって言ったら…アナはどうする?」
ショウくんは落ち着いた声でアナにとんでもない問いかけをした。
A「え…でもこんなアザあるのに…」
J「ショウくんさすがにそれは…」
ショウくんは俺の言葉を遮るようにこう言った。
S「そんなのさ?こうすればいいんじゃねぇ?」
ショウくんはおもむろにテーブルにあったハサミを手に取り、アナのドレスのシフォン状になった裾の部分をザクザクと切り始めた。
J「ちょ…!?何してるんですか!?」
メンバーを含めアナは目が点。
ショウくんはそんな事も気にする様子も無く手を進める。
そしてロング丈だったドレスがミニドレスになり、ショウくんは切り取ったスカートの部分の生地を上手く丸めてお花を作りアナの肩にかざた。
S「アナは小柄だからはじめから足は出した方がいいと思ってたんだよな?まぁ、胸は小さめだからこれぐらい上にボリュームがある方が似合うんじゃね?みんなどう?」
ショウくんはサラッと失礼な事を言い、ここぞとばかりにドヤ顔をしたがその言葉で強張っていたアナの顔に笑顔が戻った。
つづく
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