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40話
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アナside
実は15歳の時に私は交通事故に遇った。
その時、頭と肩に怪我を負い肩にはアザが今でも残っている。
そしてもうひとつ私はその事故により大きなモノを失った。
そう、私は15歳以前の記憶を全て失ったのだ。
家族との思い出も学生時代の思い出も全て…
会社に入ってからも定期検診のため病院に通っていたのでユナにはだけはその事を話していた。
事故に遭った当時、先生の話では記憶はすぐに戻る可能性もあるし一生戻らない可能性もあると話された。
両親も私のために悲しんでくれたけど正直、当時の私にとったら両親でさえも知らない人と同じで、この世でまるで一人ぼっちのような気がして泣いていた。
そんな時によく見ていた夢がある。
その夢は小さな公園のブランコで泣いてると…
ある少年が私に近づいてきて「泣くな!泣いたら弱くなる!笑え!」
そう言いながら私の手をギュッと握りしめてくれる夢。
事故に遭った当時この夢を毎日見た。
顔ははっきりと見えないけどあの子も私の思い出の中にいるはずの1人なのかな…?
そう当時の私はよく考えていた。
そんな私に両親は言った。
これを機に名前を変えて新たな人生を歩まないか…と…
記憶のない私にとってみれば何故、両親が付けてくれた名前を変えないといけないのか分からなかった。
両親に聞いてもその理由は話してくれず父は「家を引越し名前を変えて1からやり直す…だから記憶を戻す治療はしない」とだけ私に話した。
退院後に戻った家は綺麗な一軒家だった。
私の部屋も与えられ過去の手がかりになるものを探したが何ひとつなかった。
写真も日記も卒業アルバムも…
そこから私は新たな思い出を作るように必死に生きた。
友人を1から作り、笑ったり泣いたりしながら人間関係を築きその過程で偶然、私がユナの定期を拾った事からユナとは仲良くなり親友となった。
年頃になり年上の彼に夢中で恋をし、一生懸命アタックして実ったものの私は失恋をした。
その人が妻子ある人だなんて知らなかったから。
そんな苦い思い出をかき消すかのように私はデビューしたばかりのジョウキに夢中になった。
大学卒業後、私は父の会社に入社し会社経営について勉強しながら下積みとして働いた。
親がこの会社社長だからこんな大企業に入社できたんだと言われ続けたが、いつか見返してやろうと悔しくて必死で働いた。
そしてようやく今の地位に就き私は楽しく生活している。
会社が終わり、今日もユナと2人で私の家でワインを飲んでいるとユナが口を開く。
Y「アナさ?15歳より前の自分がどんな子だったか知りたいとか思う?」
ユナがチーズを食べながら私に唐突に問いかけた。
A「う~ん。どうだろ…この歳になったら調べようと思えば色々できるじゃん?でも…それをしないのは…怖いからかな…?」
Y「怖い?」
A「うん…両親が我が子の名前を変えてまで人生をやり直させたいって思うような人生を私は歩んでたんだと思ったら…怖い…」
Y「私はさ?どんなアナでも大好きだよ?だって、今のアナは何も変わらない…例え過去がどんなのだって関係ない…それだけは分かってて欲しい…だからもし…記憶が戻っても私の親友であり可愛い妹でいてね?」
ユナが少し目に涙をためながらそう言った。
A「当たり前じゃん!ユナはこれからもずっと私の大切な親友で大好きなお姉さんだからマハロとばっかり仲良くしたら私が許さないんだからね~!!」
私はユナの手の中にあるスマホを取り上げて奪い合った!
でも…ユナの気持ちが本当に私の支えで…
ユナは苦労してる分…人の感情を汲み取るのがうまい。
A「あっ!マハロから電話だ!出ちゃお!」
Y「アナ!こらぁ~!!」
私はユナの怒りに満ち溢れた叫び声を無視してマハロからの着信に出た。
A「もしも~しユナだよ♪」
私はユナのマネをして電話口に出た…が…
M「アナちゃ~ん!なんでいっつも、ユナに電話したらアナちゃんが先に出るのさ~!俺のドキドキ返してよ~!」
電話でマハロに怒られた。
仕方なく私はシュンっと落ち込みながらユナにスマホを渡した。
Y「え?アナ…なんでそんな落ち込んでんの…?」
A「マハロ冷たい。」
ユナは意味分かんないwっと言いながらマハロの電話に出た。
そして顔がとてもニヤけてる。
私はそのだらしない口元のユナを写真に納め、私は自分の体型とユナの体型を見比べた。
こりゃ、筋肉バカの言う通りチョットはダイエットしなきゃだなそう考えていると私のスマホにトウヤからメールが届いた。
T「さっき電話で話したMVの事だけど2人とも土日が休みだよね?平日の夕方からは大丈夫かな?」
A「私もユナも休みに関してはなんとかなるから大丈夫!スケジュールも合わせれるので。」
私がそう送るとトウヤから打ち合わせや衣装合わせ撮影日の日程が送られてきた。
そのメールを見た私はずっと応援してたはずのアイドルのMVに出る緊張や責任を重く感じ始めた。
つづく
実は15歳の時に私は交通事故に遇った。
その時、頭と肩に怪我を負い肩にはアザが今でも残っている。
そしてもうひとつ私はその事故により大きなモノを失った。
そう、私は15歳以前の記憶を全て失ったのだ。
家族との思い出も学生時代の思い出も全て…
会社に入ってからも定期検診のため病院に通っていたのでユナにはだけはその事を話していた。
事故に遭った当時、先生の話では記憶はすぐに戻る可能性もあるし一生戻らない可能性もあると話された。
両親も私のために悲しんでくれたけど正直、当時の私にとったら両親でさえも知らない人と同じで、この世でまるで一人ぼっちのような気がして泣いていた。
そんな時によく見ていた夢がある。
その夢は小さな公園のブランコで泣いてると…
ある少年が私に近づいてきて「泣くな!泣いたら弱くなる!笑え!」
そう言いながら私の手をギュッと握りしめてくれる夢。
事故に遭った当時この夢を毎日見た。
顔ははっきりと見えないけどあの子も私の思い出の中にいるはずの1人なのかな…?
そう当時の私はよく考えていた。
そんな私に両親は言った。
これを機に名前を変えて新たな人生を歩まないか…と…
記憶のない私にとってみれば何故、両親が付けてくれた名前を変えないといけないのか分からなかった。
両親に聞いてもその理由は話してくれず父は「家を引越し名前を変えて1からやり直す…だから記憶を戻す治療はしない」とだけ私に話した。
退院後に戻った家は綺麗な一軒家だった。
私の部屋も与えられ過去の手がかりになるものを探したが何ひとつなかった。
写真も日記も卒業アルバムも…
そこから私は新たな思い出を作るように必死に生きた。
友人を1から作り、笑ったり泣いたりしながら人間関係を築きその過程で偶然、私がユナの定期を拾った事からユナとは仲良くなり親友となった。
年頃になり年上の彼に夢中で恋をし、一生懸命アタックして実ったものの私は失恋をした。
その人が妻子ある人だなんて知らなかったから。
そんな苦い思い出をかき消すかのように私はデビューしたばかりのジョウキに夢中になった。
大学卒業後、私は父の会社に入社し会社経営について勉強しながら下積みとして働いた。
親がこの会社社長だからこんな大企業に入社できたんだと言われ続けたが、いつか見返してやろうと悔しくて必死で働いた。
そしてようやく今の地位に就き私は楽しく生活している。
会社が終わり、今日もユナと2人で私の家でワインを飲んでいるとユナが口を開く。
Y「アナさ?15歳より前の自分がどんな子だったか知りたいとか思う?」
ユナがチーズを食べながら私に唐突に問いかけた。
A「う~ん。どうだろ…この歳になったら調べようと思えば色々できるじゃん?でも…それをしないのは…怖いからかな…?」
Y「怖い?」
A「うん…両親が我が子の名前を変えてまで人生をやり直させたいって思うような人生を私は歩んでたんだと思ったら…怖い…」
Y「私はさ?どんなアナでも大好きだよ?だって、今のアナは何も変わらない…例え過去がどんなのだって関係ない…それだけは分かってて欲しい…だからもし…記憶が戻っても私の親友であり可愛い妹でいてね?」
ユナが少し目に涙をためながらそう言った。
A「当たり前じゃん!ユナはこれからもずっと私の大切な親友で大好きなお姉さんだからマハロとばっかり仲良くしたら私が許さないんだからね~!!」
私はユナの手の中にあるスマホを取り上げて奪い合った!
でも…ユナの気持ちが本当に私の支えで…
ユナは苦労してる分…人の感情を汲み取るのがうまい。
A「あっ!マハロから電話だ!出ちゃお!」
Y「アナ!こらぁ~!!」
私はユナの怒りに満ち溢れた叫び声を無視してマハロからの着信に出た。
A「もしも~しユナだよ♪」
私はユナのマネをして電話口に出た…が…
M「アナちゃ~ん!なんでいっつも、ユナに電話したらアナちゃんが先に出るのさ~!俺のドキドキ返してよ~!」
電話でマハロに怒られた。
仕方なく私はシュンっと落ち込みながらユナにスマホを渡した。
Y「え?アナ…なんでそんな落ち込んでんの…?」
A「マハロ冷たい。」
ユナは意味分かんないwっと言いながらマハロの電話に出た。
そして顔がとてもニヤけてる。
私はそのだらしない口元のユナを写真に納め、私は自分の体型とユナの体型を見比べた。
こりゃ、筋肉バカの言う通りチョットはダイエットしなきゃだなそう考えていると私のスマホにトウヤからメールが届いた。
T「さっき電話で話したMVの事だけど2人とも土日が休みだよね?平日の夕方からは大丈夫かな?」
A「私もユナも休みに関してはなんとかなるから大丈夫!スケジュールも合わせれるので。」
私がそう送るとトウヤから打ち合わせや衣装合わせ撮影日の日程が送られてきた。
そのメールを見た私はずっと応援してたはずのアイドルのMVに出る緊張や責任を重く感じ始めた。
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