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11話
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ジョウキside
トイレから部屋に戻ろうと角を曲がったら勢い余って女性とぶつかってしまった…
尻もちをついてしまった彼女に手を差し出そうと視線を下げるとそこには昨日の酒臭い俺のファンだという女がいた。
昨日の今日でまた会うってなんなんだよ…そう思いながらチラッと彼女の顔を見ると昨日、暗闇ではよく見えなかった顔がはっきりと見えた。
あれ…?この困った顔…誰かに似てる…
誰だっけ…俺…この女と昔…会ったことある気がする…。
そんな事を考えながら見つめていると彼女はお尻を手で撫でながら俺にこう問いかけた。
A「私の王子様?」
J「だから勝手にあんたの王子様にするなって!」
勝手に王子様にするななんて言いながらもはやり、そこはファンにそう言われれば嬉しいものだ。
しかし、彼女は顔を歪めお尻を撫でながら言うもんだからつい、笑いが込み上げてしまいそうになる。
A「私の王子様!!」
彼女は平然とした顔してまたそう変なこと言っていてやっぱり俺の聞き間違いじゃなかったなんだな。
熱のせいじゃなかったんだと俺は嬉しさの中、確認していると甲高い声が店内に響いて鼓膜が破れるかと思った。
チラッと声の方に視線を向ければ黒髪の彼女がマハロくんを見て驚いた顔をして口をパクパクとさせている。
J「…うるせぇ…あの声ホント耳に響く。」
A「あ…すいません…いつもはクールなんですけど…って、あ!体調よくなったんですね良かった。じゃ失礼します」
ほらぁ…まただ…昨日もそうだった…。
彼女は勝手に俺を王子様にするくせに、何故か何に事もなかったのような顔をしてサラッと俺の前から立ち去ろうとする。
いわゆるこれがツンデレならぬデレツンってやつか?と思いながらいつもならありえない言動を俺はしてしまう。
J「あ、ちょっと!あんた…本当に俺のファンなの?」
一体、俺はなに聞いてんだろ…
まだ熱下がってねぇのかな…?
自分でも自分の言動に驚きを隠せないでいた。
A「え…?え…っと…」
そして、あからさまに視線をそらし気まずそうな顔をする彼女。
王子様だなんて言われて浮かれていた俺はその反応に苛立ちを覚えた。
J「王子様って…どういう意味かなって思っただけ!じゃ!」
俺は彼女の返事を待たずに部屋に戻ろうと横を通りすぎようとすると、ボソッと彼女が通りすがりに言った。
A「そんな気になりますか…?」
J「はぁ?」
A「ファンは世界中に大勢いるじゃないですか…」
J「いや、だから!」
A「ファンですよ。ものすごく応援してます。じゃ…」
そう言って彼女はトイレへと向かって行き俺は呆然とその背中を見つめる。
なんだよそれ…全くファンの言い草さじゃねぇじゃん今の。
さらにイライラが増し仕方なく部屋に戻ろうと扉を開けると、横から黒髪の女に割り込まれ俺は立ち止まる。
M「あ…こんにちはもしかしてお隣にいた?」
マハロくんはまさか、自ら黒髪の彼女にそう声を掛け嬉しそうな顔をしている。
Y「私マハロくんのファンなんです。」
M「えへへ本当に?嬉しいな…ここ座る?」
マハロくんはそう言いながらなぜか自分の横の椅子をポンポンと叩き黒髪の彼女を誘う。
いやそもそも、そこ俺の席だしな?
そして、なぜ誰もそれをこの女に注意しねぇんだよ!揃いも揃ってこんなうるさい女にデレデレしやがって!
そう苛立ちが最高潮に達した俺はその苛立ちをぶつけるように言った
J「あの…そこ俺の席なんですけど?」
Y「ジョウキくん?知りたくないんですか?」
J「は?何が?」
Y「なぜあの子があんな態度なのか…」
めちゃくちゃ気になる。
俺のことをファンだと言い王子様とまで言っているのに冷たく距離があり、全く愛されてるような気持ちが感じないから。
なのに俺は強がって嘘を言う。
J「別に…」
Y「ふーん…そう…ってかあの子もうすぐジョウキくんのファンやめますよ?」
黒髪の女は髪をかきあげながら俺をまっすぐに見つめてはっきりとそう言った 。
は?なに?俺に喧嘩売ってんの?
黒髪の女が吐き出した爆弾発言に俺は返す言葉が見つからなかった…
今まで…ファンです!とか大好きです!とかありがたいことに飽きるほど言われた。
なのにその女が言った言葉は…ファンをやめる?意味がわかんねぇ…
そんな報告いらねぇしな…なのにトウヤくんとマハロくんはその言葉を流すはずもなく食いついた。
T「ファンやめる宣言ってどういこと?」
M「こんなパターン初じゃね?」
トウヤくんとマハロくんはニヤつく口元を隠しながら俺の様子を伺う…ってか2人ともバレてるからな?
Y「そのまんまの意味!あの子は今度のライブでジョウキくんのファンをやめるの!それだけ~!ってか!マハロくんもよくここの店に来てくれてたの?//」
そして、この女は自分で落とした爆弾をサラッと処理して違う話に変えた。
M「いや、初めてだよ?ってか…ここってきみのお兄さんの店…?なんだよね…?」
Y「そう!なんで知ってるの!?もしかしてエスパー!?あっ!私はユナ♪もう1人の子はアナって呼んでね♪」
M「あ…うんwいや…エスパーではないかな?さっき声が聞こえちゃってお兄さんが謝りに…w」
H「神席きた~!!ってな?w」
Y「あ…なるほど//聞こえてたのね//ごめんなさい…っで?ジョウキくんがひと言も話さないのは不機嫌になったから?それとも凹んでるの?w」
ユナは黒髪をかきあげながら言った。
J「別に?俺にしたらどっちでもいいし…」
Y「そりゃそうよね?1人ファンが減った所でジャウキくんは痛くも痒くもないもんね?」
J「さっきからなに?喧嘩売ってんの?」
T「おい、ジョウキ!」
Y「こんな小さな事で熱くならなくても。イラついてるって事はチョットはファンをやめる理由が気になるのね?」
この女は俺の心を見透かすようにチラッと俺をみて少し微笑んだ。
Y「本人に聞くのが1番早いんじゃない?少なくても今はまだ、アナの王子様はジョウキなんだから。」
J「だから勝手に王子様にするなよ。」
本当は俺も知りたい…
俺を王子様と呼ぶくせにあの子がファンをやめる理由…
俺はおもむろに立ち上がり部屋を出ると、俺は廊下でアナと言う女が出てくるのを仁王立ちして待った。
つづく
トイレから部屋に戻ろうと角を曲がったら勢い余って女性とぶつかってしまった…
尻もちをついてしまった彼女に手を差し出そうと視線を下げるとそこには昨日の酒臭い俺のファンだという女がいた。
昨日の今日でまた会うってなんなんだよ…そう思いながらチラッと彼女の顔を見ると昨日、暗闇ではよく見えなかった顔がはっきりと見えた。
あれ…?この困った顔…誰かに似てる…
誰だっけ…俺…この女と昔…会ったことある気がする…。
そんな事を考えながら見つめていると彼女はお尻を手で撫でながら俺にこう問いかけた。
A「私の王子様?」
J「だから勝手にあんたの王子様にするなって!」
勝手に王子様にするななんて言いながらもはやり、そこはファンにそう言われれば嬉しいものだ。
しかし、彼女は顔を歪めお尻を撫でながら言うもんだからつい、笑いが込み上げてしまいそうになる。
A「私の王子様!!」
彼女は平然とした顔してまたそう変なこと言っていてやっぱり俺の聞き間違いじゃなかったなんだな。
熱のせいじゃなかったんだと俺は嬉しさの中、確認していると甲高い声が店内に響いて鼓膜が破れるかと思った。
チラッと声の方に視線を向ければ黒髪の彼女がマハロくんを見て驚いた顔をして口をパクパクとさせている。
J「…うるせぇ…あの声ホント耳に響く。」
A「あ…すいません…いつもはクールなんですけど…って、あ!体調よくなったんですね良かった。じゃ失礼します」
ほらぁ…まただ…昨日もそうだった…。
彼女は勝手に俺を王子様にするくせに、何故か何に事もなかったのような顔をしてサラッと俺の前から立ち去ろうとする。
いわゆるこれがツンデレならぬデレツンってやつか?と思いながらいつもならありえない言動を俺はしてしまう。
J「あ、ちょっと!あんた…本当に俺のファンなの?」
一体、俺はなに聞いてんだろ…
まだ熱下がってねぇのかな…?
自分でも自分の言動に驚きを隠せないでいた。
A「え…?え…っと…」
そして、あからさまに視線をそらし気まずそうな顔をする彼女。
王子様だなんて言われて浮かれていた俺はその反応に苛立ちを覚えた。
J「王子様って…どういう意味かなって思っただけ!じゃ!」
俺は彼女の返事を待たずに部屋に戻ろうと横を通りすぎようとすると、ボソッと彼女が通りすがりに言った。
A「そんな気になりますか…?」
J「はぁ?」
A「ファンは世界中に大勢いるじゃないですか…」
J「いや、だから!」
A「ファンですよ。ものすごく応援してます。じゃ…」
そう言って彼女はトイレへと向かって行き俺は呆然とその背中を見つめる。
なんだよそれ…全くファンの言い草さじゃねぇじゃん今の。
さらにイライラが増し仕方なく部屋に戻ろうと扉を開けると、横から黒髪の女に割り込まれ俺は立ち止まる。
M「あ…こんにちはもしかしてお隣にいた?」
マハロくんはまさか、自ら黒髪の彼女にそう声を掛け嬉しそうな顔をしている。
Y「私マハロくんのファンなんです。」
M「えへへ本当に?嬉しいな…ここ座る?」
マハロくんはそう言いながらなぜか自分の横の椅子をポンポンと叩き黒髪の彼女を誘う。
いやそもそも、そこ俺の席だしな?
そして、なぜ誰もそれをこの女に注意しねぇんだよ!揃いも揃ってこんなうるさい女にデレデレしやがって!
そう苛立ちが最高潮に達した俺はその苛立ちをぶつけるように言った
J「あの…そこ俺の席なんですけど?」
Y「ジョウキくん?知りたくないんですか?」
J「は?何が?」
Y「なぜあの子があんな態度なのか…」
めちゃくちゃ気になる。
俺のことをファンだと言い王子様とまで言っているのに冷たく距離があり、全く愛されてるような気持ちが感じないから。
なのに俺は強がって嘘を言う。
J「別に…」
Y「ふーん…そう…ってかあの子もうすぐジョウキくんのファンやめますよ?」
黒髪の女は髪をかきあげながら俺をまっすぐに見つめてはっきりとそう言った 。
は?なに?俺に喧嘩売ってんの?
黒髪の女が吐き出した爆弾発言に俺は返す言葉が見つからなかった…
今まで…ファンです!とか大好きです!とかありがたいことに飽きるほど言われた。
なのにその女が言った言葉は…ファンをやめる?意味がわかんねぇ…
そんな報告いらねぇしな…なのにトウヤくんとマハロくんはその言葉を流すはずもなく食いついた。
T「ファンやめる宣言ってどういこと?」
M「こんなパターン初じゃね?」
トウヤくんとマハロくんはニヤつく口元を隠しながら俺の様子を伺う…ってか2人ともバレてるからな?
Y「そのまんまの意味!あの子は今度のライブでジョウキくんのファンをやめるの!それだけ~!ってか!マハロくんもよくここの店に来てくれてたの?//」
そして、この女は自分で落とした爆弾をサラッと処理して違う話に変えた。
M「いや、初めてだよ?ってか…ここってきみのお兄さんの店…?なんだよね…?」
Y「そう!なんで知ってるの!?もしかしてエスパー!?あっ!私はユナ♪もう1人の子はアナって呼んでね♪」
M「あ…うんwいや…エスパーではないかな?さっき声が聞こえちゃってお兄さんが謝りに…w」
H「神席きた~!!ってな?w」
Y「あ…なるほど//聞こえてたのね//ごめんなさい…っで?ジョウキくんがひと言も話さないのは不機嫌になったから?それとも凹んでるの?w」
ユナは黒髪をかきあげながら言った。
J「別に?俺にしたらどっちでもいいし…」
Y「そりゃそうよね?1人ファンが減った所でジャウキくんは痛くも痒くもないもんね?」
J「さっきからなに?喧嘩売ってんの?」
T「おい、ジョウキ!」
Y「こんな小さな事で熱くならなくても。イラついてるって事はチョットはファンをやめる理由が気になるのね?」
この女は俺の心を見透かすようにチラッと俺をみて少し微笑んだ。
Y「本人に聞くのが1番早いんじゃない?少なくても今はまだ、アナの王子様はジョウキなんだから。」
J「だから勝手に王子様にするなよ。」
本当は俺も知りたい…
俺を王子様と呼ぶくせにあの子がファンをやめる理由…
俺はおもむろに立ち上がり部屋を出ると、俺は廊下でアナと言う女が出てくるのを仁王立ちして待った。
つづく
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