10 / 14
10話
しおりを挟む
メイタサイド
翌日
俺はありがたいことに無事に写真展の初日を迎えた。
今日はメディア関係者と知り合いのみの招待だったが、沢山の人たちで会場内は賑わい俺は挨拶周りをしていた。
「メイタ~!」
そう名前を呼ばれ振り返ると、そこにはジンさんと少しお腹がふっくらとし始めたユウキさんが手を繋いで立っていた。
M「2人とも来てくれたんですね!」
J「ありまえだろ~メイタの晴れ舞台を見ないわけにはいかない!!」
M「遠いのに…ユウキさん体調大丈夫だった?」
Y「綺麗なモノみたら胎教にいいってこの人がうるさいから…おめでとうメイタ。」
ユウキさんはそう言ってお腹を撫でて笑っていた。
M「ゆっくり見ていってよ?」
J「あぁ、じゃまた後でね。」
そして、俺はまた関係者方々に挨拶をして回る。
沢山の人たちが笑顔で俺の作品をみている。
俺が望んだ夢はこれだった。
いつか俺の写真をみた誰かが嬉しくなったり楽しくなったりするような写真を撮ること。
…サツキさん…俺…夢叶えたよ…
本当はあなたに1番見て欲しかった。
大きく引き延ばされて壁一面に飾られた俺の代表作の写真に俺は語りかける。
その写真はあの日
サツキさんと行った小豆島の海で撮ったサツキさんの写真。
作品名を「幸福のシルエット」にしたのは俺の素直なサツキさんへの気持ちだったから。
本当は太陽に向かって咲く向日葵のように笑うサツキさんの写真もあったけど、わざとシルエットの写真にしたのは素敵なサツキさんの笑顔を誰にも見せたくなくて、俺の中に閉じ込めて置きたかったから。
すると、その写真をみて俯いている人がいた。
周りのみんなはとても楽しそうで幸せそうなのに…
その人の周りだけ空気が違った。
俺は人混みをかき分けながらその人の元へ向かう。
まるで引力で引き寄せられるかのように…
そして後ろ姿でも気付くんだ…
その人は俺が心から愛してやまない人だって…
M「…サツキさん?」
俺の呼びかけにビクッと肩を振るわけゆっくりと顔を上げる人…
その人は振り返ることなくただその写真を眺めていた。
M「…サツキさんだよね…」
俺はその人の肩を持つと…
S「おめでとう……メイタ…」
目を真っ赤にして涙を潤ませているサツキさんがそこにいた。
M「……サツキさん…」
S「ごめんね…呼ばれてもないのに勝手に来て…」
M「ううん。来てくれて嬉しい…花も送ってくれたでしょ?このサツキ…ありがとう。」
S「へへへ…バレちゃったか…ジンさんがね写真展のこと教えてくれたんだ…」
M「ジンさんとは連絡取ってたんだね?」
S「うん……実はね…メイタ…私……………」
K「先生!!ちょっとよろしいですか!!」
サツキさんの言葉を遮るようにカナタさんが俺の元へ走ってきた。
K「ぁ…お話の途中でしたか…大変申し訳ございません…」
S「いえ、大丈夫です。ごめん忙しいのに…行って…」
M「…サツキさん…あとでゆっくり話せない?」
S「…人…待たせてるから…」
そう言ってサツキさんは俺の前から立ち去っていく。
俺はまた、あの時のように何もできずその後ろ姿をじっと見ていると…
K「先生!!何やってるんですか!!早く!!」
M「あぁごめん…じゃ行こうか…」
K「何言ってるんですか!!違いますよ!!あの人を追いかけるんですよ!!あの人でしょ!?先生が忘れられない人!!ほら、早く!!!」
そう言ってカナタさんは俺の背中を思いっきり押した。
M「…ぇ…あぁうん!!…ごめん……すぐ戻るから!!」
そう言うとカナタさんは親指を立てて微笑んだ。
つづく
翌日
俺はありがたいことに無事に写真展の初日を迎えた。
今日はメディア関係者と知り合いのみの招待だったが、沢山の人たちで会場内は賑わい俺は挨拶周りをしていた。
「メイタ~!」
そう名前を呼ばれ振り返ると、そこにはジンさんと少しお腹がふっくらとし始めたユウキさんが手を繋いで立っていた。
M「2人とも来てくれたんですね!」
J「ありまえだろ~メイタの晴れ舞台を見ないわけにはいかない!!」
M「遠いのに…ユウキさん体調大丈夫だった?」
Y「綺麗なモノみたら胎教にいいってこの人がうるさいから…おめでとうメイタ。」
ユウキさんはそう言ってお腹を撫でて笑っていた。
M「ゆっくり見ていってよ?」
J「あぁ、じゃまた後でね。」
そして、俺はまた関係者方々に挨拶をして回る。
沢山の人たちが笑顔で俺の作品をみている。
俺が望んだ夢はこれだった。
いつか俺の写真をみた誰かが嬉しくなったり楽しくなったりするような写真を撮ること。
…サツキさん…俺…夢叶えたよ…
本当はあなたに1番見て欲しかった。
大きく引き延ばされて壁一面に飾られた俺の代表作の写真に俺は語りかける。
その写真はあの日
サツキさんと行った小豆島の海で撮ったサツキさんの写真。
作品名を「幸福のシルエット」にしたのは俺の素直なサツキさんへの気持ちだったから。
本当は太陽に向かって咲く向日葵のように笑うサツキさんの写真もあったけど、わざとシルエットの写真にしたのは素敵なサツキさんの笑顔を誰にも見せたくなくて、俺の中に閉じ込めて置きたかったから。
すると、その写真をみて俯いている人がいた。
周りのみんなはとても楽しそうで幸せそうなのに…
その人の周りだけ空気が違った。
俺は人混みをかき分けながらその人の元へ向かう。
まるで引力で引き寄せられるかのように…
そして後ろ姿でも気付くんだ…
その人は俺が心から愛してやまない人だって…
M「…サツキさん?」
俺の呼びかけにビクッと肩を振るわけゆっくりと顔を上げる人…
その人は振り返ることなくただその写真を眺めていた。
M「…サツキさんだよね…」
俺はその人の肩を持つと…
S「おめでとう……メイタ…」
目を真っ赤にして涙を潤ませているサツキさんがそこにいた。
M「……サツキさん…」
S「ごめんね…呼ばれてもないのに勝手に来て…」
M「ううん。来てくれて嬉しい…花も送ってくれたでしょ?このサツキ…ありがとう。」
S「へへへ…バレちゃったか…ジンさんがね写真展のこと教えてくれたんだ…」
M「ジンさんとは連絡取ってたんだね?」
S「うん……実はね…メイタ…私……………」
K「先生!!ちょっとよろしいですか!!」
サツキさんの言葉を遮るようにカナタさんが俺の元へ走ってきた。
K「ぁ…お話の途中でしたか…大変申し訳ございません…」
S「いえ、大丈夫です。ごめん忙しいのに…行って…」
M「…サツキさん…あとでゆっくり話せない?」
S「…人…待たせてるから…」
そう言ってサツキさんは俺の前から立ち去っていく。
俺はまた、あの時のように何もできずその後ろ姿をじっと見ていると…
K「先生!!何やってるんですか!!早く!!」
M「あぁごめん…じゃ行こうか…」
K「何言ってるんですか!!違いますよ!!あの人を追いかけるんですよ!!あの人でしょ!?先生が忘れられない人!!ほら、早く!!!」
そう言ってカナタさんは俺の背中を思いっきり押した。
M「…ぇ…あぁうん!!…ごめん……すぐ戻るから!!」
そう言うとカナタさんは親指を立てて微笑んだ。
つづく
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
好きな人がいるならちゃんと言ってよ
しがと
恋愛
高校1年生から好きだった彼に毎日のようにアピールして、2年の夏にようやく交際を始めることができた。それなのに、彼は私ではない女性が好きみたいで……。 彼目線と彼女目線の両方で話が進みます。*全4話
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約破棄された令嬢の父親は最強?
岡暁舟
恋愛
婚約破棄された公爵令嬢マリアの父親であるフレンツェルは世界最強と謳われた兵士だった。そんな彼が、不義理である婚約破棄に激怒して元婚約者である第一王子スミスに復讐する物語。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
堕恋 (完結)
Oj
恋愛
不倫に墜ちた男の話。完結しています。
40歳・食品メーカー営業職・係長の不倫男が地獄に落ちます。
遅咲きで狂い咲く様は滑稽で恐ろしいと思います。
登場人物
鈴木涼介 スズキリョウスケ 40歳 食品メーカー営業職 係長 結婚8年目 子供は5歳3歳の男の子が二人
鈴木華 スズキハナ 38歳 涼介の妻 元保育士
酒井真理 サカイマリ 20歳 涼介の不倫相手 高卒で新卒入社2年目
田村 弁護士
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】おしどり夫婦と呼ばれる二人
通木遼平
恋愛
アルディモア王国国王の孫娘、隣国の王女でもあるアルティナはアルディモアの騎士で公爵子息であるギディオンと結婚した。政略結婚の多いアルディモアで、二人は仲睦まじく、おしどり夫婦と呼ばれている。
が、二人の心の内はそうでもなく……。
※他サイトでも掲載しています
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
呪いを受けて醜くなっても、婚約者は変わらず愛してくれました
しろねこ。
恋愛
婚約者が倒れた。
そんな連絡を受け、ティタンは急いで彼女の元へと向かう。
そこで見たのはあれほどまでに美しかった彼女の変わり果てた姿だ。
全身包帯で覆われ、顔も見えない。
所々見える皮膚は赤や黒といった色をしている。
「なぜこのようなことに…」
愛する人のこのような姿にティタンはただただ悲しむばかりだ。
同名キャラで複数の話を書いています。
作品により立場や地位、性格が多少変わっていますので、アナザーワールド的に読んで頂ければありがたいです。
この作品は少し古く、設定がまだ凝り固まって無い頃のものです。
皆ちょっと性格違いますが、これもこれでいいかなと載せてみます。
短めの話なのですが、重めな愛です。
お楽しみいただければと思います。
小説家になろうさん、カクヨムさんでもアップしてます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる