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メイタサイド
サツキさんが俺の元を去ってから俺は浴びるように酒を飲んだ。
飲んでも飲んでも忘れられないサツキさんあの温もり…
M「なんなんだよ…マジで…」
サツキさんという存在に囚われてしまった俺はひとり、もがき苦しみながら酒に溺れた。
そんな俺を見兼ねたジンさんとユウキさんが俺の家に来た。
Y「民泊の客も断って1日中酒飲んでなに考えてんのよ!!」
項垂れながらコップに注いだ酒を飲んでいる俺にユウキさんは苛立ちを見せながら言った。
J「ユウキ落ち着けって…」
Y「だから私はあの時、やめときなって言ったのよ!!なのになんなのこのザマは!!たった1週間一緒にいた女のために人生ボロボロになるようなことしてんじゃないわよ!!」
ユウキさんはそう言って俺の胸ぐらを掴むが正直、今の俺にはなんの言葉も響かない。
J「ユウキやめな。…メイタ…よく聞け。お前の夢は写真家になって東京で写真展出すことだろ?」
M「もう、そんな夢…どうでもいい…」
J「ならなんで東京まで行ってサツキちゃんを追いかけない?」
M「え……」
J「もう夢なんてどうでもいいなら今すぐ東京に行って旦那からサツキちゃんのこと奪えばいいだろ?なのになんで、お前はここで何かと何かを天秤にかけて苦しんでるんだよ?」
M「それは……」
J「今、お前がサツキちゃんを追いかけたとしても…夢も叶えず何の財力もないお前がサツキちゃんを幸せにする自信が…ないからだろ?」
正直…ジンさんに痛いところを突かれた。
今、俺が夢を捨ててサツキさんを旦那さんから奪ったとしても、サツキさんを幸せに出来る保証なんてこれっぽっちもない。
むしろ、サツキさんの今の穏やかな生活をこの手で壊して無茶苦茶にして、サツキさんを不幸にしてしまうから…俺は身動き取れずに苦しんでるんだよ。
M「…どうすればいいんだよ…好きなんだよ…忘れられないんだよ…」
J「なら…必死で夢を叶えて…サツキちゃんに後悔させてやれ…お前との火遊びを…ほら、これ使え。」
そう言って渡されたのはジンさん名義の貯金通帳。
J「留学費用の足しにしろって言ってんの。これで夢叶えなかったらマジでこの街歩けなくしてやるからな。」
M「いや…申し訳なくてこんなの使えないよ…」
J「そう思うなら…死ぬ気で写真の勉強して夢を叶えろ…お前は俺たちの可愛い弟のような存在なんだ。いつまでもこんな情けない姿…見たくないんだよ。」
そして、俺はジンさんの思いをありがたけく受け止め…
数日後、海外へ飛び立った。
以前から俺を受け入れてくれると言っていたホームステイ先のご主人が有名な写真家で、俺はその人の下で慣れない英語を話しながら必死で勉強した。
まるで、あの人の存在を脳裏からかき消すように…
時には怒られ時には褒められ…
休みの日には小遣い稼ぎに公園に行き撮り溜めた写真を売った。
そんな忙しない毎日を繰り返し…
気づけば3年という月日が経っていた。
M「今までお世話になりました。」
*「3年間一緒に過ごせて楽しかったよ…寂しくなるな…次に会う時は東京での写真展だね?」
S「はい!!ぜひ、お待ちしてます!!」
そして、俺は紫色のスーツケースを引いて留学先を飛び立った。
つづく
サツキさんが俺の元を去ってから俺は浴びるように酒を飲んだ。
飲んでも飲んでも忘れられないサツキさんあの温もり…
M「なんなんだよ…マジで…」
サツキさんという存在に囚われてしまった俺はひとり、もがき苦しみながら酒に溺れた。
そんな俺を見兼ねたジンさんとユウキさんが俺の家に来た。
Y「民泊の客も断って1日中酒飲んでなに考えてんのよ!!」
項垂れながらコップに注いだ酒を飲んでいる俺にユウキさんは苛立ちを見せながら言った。
J「ユウキ落ち着けって…」
Y「だから私はあの時、やめときなって言ったのよ!!なのになんなのこのザマは!!たった1週間一緒にいた女のために人生ボロボロになるようなことしてんじゃないわよ!!」
ユウキさんはそう言って俺の胸ぐらを掴むが正直、今の俺にはなんの言葉も響かない。
J「ユウキやめな。…メイタ…よく聞け。お前の夢は写真家になって東京で写真展出すことだろ?」
M「もう、そんな夢…どうでもいい…」
J「ならなんで東京まで行ってサツキちゃんを追いかけない?」
M「え……」
J「もう夢なんてどうでもいいなら今すぐ東京に行って旦那からサツキちゃんのこと奪えばいいだろ?なのになんで、お前はここで何かと何かを天秤にかけて苦しんでるんだよ?」
M「それは……」
J「今、お前がサツキちゃんを追いかけたとしても…夢も叶えず何の財力もないお前がサツキちゃんを幸せにする自信が…ないからだろ?」
正直…ジンさんに痛いところを突かれた。
今、俺が夢を捨ててサツキさんを旦那さんから奪ったとしても、サツキさんを幸せに出来る保証なんてこれっぽっちもない。
むしろ、サツキさんの今の穏やかな生活をこの手で壊して無茶苦茶にして、サツキさんを不幸にしてしまうから…俺は身動き取れずに苦しんでるんだよ。
M「…どうすればいいんだよ…好きなんだよ…忘れられないんだよ…」
J「なら…必死で夢を叶えて…サツキちゃんに後悔させてやれ…お前との火遊びを…ほら、これ使え。」
そう言って渡されたのはジンさん名義の貯金通帳。
J「留学費用の足しにしろって言ってんの。これで夢叶えなかったらマジでこの街歩けなくしてやるからな。」
M「いや…申し訳なくてこんなの使えないよ…」
J「そう思うなら…死ぬ気で写真の勉強して夢を叶えろ…お前は俺たちの可愛い弟のような存在なんだ。いつまでもこんな情けない姿…見たくないんだよ。」
そして、俺はジンさんの思いをありがたけく受け止め…
数日後、海外へ飛び立った。
以前から俺を受け入れてくれると言っていたホームステイ先のご主人が有名な写真家で、俺はその人の下で慣れない英語を話しながら必死で勉強した。
まるで、あの人の存在を脳裏からかき消すように…
時には怒られ時には褒められ…
休みの日には小遣い稼ぎに公園に行き撮り溜めた写真を売った。
そんな忙しない毎日を繰り返し…
気づけば3年という月日が経っていた。
M「今までお世話になりました。」
*「3年間一緒に過ごせて楽しかったよ…寂しくなるな…次に会う時は東京での写真展だね?」
S「はい!!ぜひ、お待ちしてます!!」
そして、俺は紫色のスーツケースを引いて留学先を飛び立った。
つづく
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