6 / 14
6話
しおりを挟む
メイタサイド
期間限定の不倫愛
サツキさんが俺に本気じゃない事くらい…
ただの遊びだって事くらい…
左手薬指に光る指輪を見つけた時から分かっていたのに、俺の心はサツキさんの言葉に深く傷ついた。
S「私が小豆島にいる間だけ楽しめばいいじゃん?不倫…ごっこ…」
やめてくれ…
その綺麗な唇でそんな事…言わないで…
そう心では叫ぶのにもう、俺はあなたに堕ちてしまった。
M「はぁ…マジで最低な女…」
口とは逆に腕の中にいるサツキさんを離すことなく口付けたのは、限られた時間でも触れていたいから。
1週間後には知らない誰かの元へ帰るあなたをこんなにも欲しいと願ってしまう俺は心が醜く腐ってしまっているのかな?
俺は1週間後
あなたを手放す事ができるのだろうか…?
そして、俺達はそれからの1週間
ひと時も離れずに過ごした。
ある日の俺たちはふたり並んで俺の生まれ育った街を手を繋いで歩いた。
M「ここが俺の通った小学校…」
S「メイタはどんな子供だったの?」
M「うーん。人見知りで暗かったかな?」
S「そっか。」
俺の幼い頃の思い出話をしながら歩く街並みはいつもの見飽きた風景のはずなのに、隣にサツキさんがいるというだけで俺の目には眩しかった。
お気に入りのカメラを持って向かった先はキラキラと太陽に照らされて光る小豆島の海。
S「はぁ~綺麗~」
サツキさんはそう言って目をキラキラと輝かせている。
M「サツキさんそこに立って。」
サツキさんは海を見つめながら風を感じていて、俺はそんなサツキさんをカメラ越しに見つめシャッターを押していく。
S「メイタ~」
少し離れた所で笑いながら風と戯れ振り返るサツキさん。
あまりにも無邪気なその笑顔に俺の胸は離したくないと悲鳴をあげる。
M「空を見上げてみて?」
真っ青な空に高く昇る太陽を指差すとサツキさんは眩しそうに目を細めて太陽を見上げた。
なんて綺麗な人なんだろ…
なんでもっと早く出会えなかったのだろ…
いや、違う…なんで俺は…
あなたと出会ってしまったんだろ?
そうぐるぐると頭の中で色んな感情が渦巻くのに顔では笑顔を作り色んなサツキさんの表情をカメラの中に納めていく。
S「はぁ~東京に帰りたくないな~」
砂浜に座りながらそう呟いたサツキさんに思わず俺はカメラを下ろし、サツキさんを後ろから抱きしめた。
M「帰らないでよ…俺のそばにいてよ…ふたりでここで暮らそう?」
俺の言葉にサツキさんは優しく微笑み振り返って俺の頬を優しく包み込んだ。
S「だ~め。夢を叶えるんでしょ?楽しみにしてるよ?私がメイタのファン第一号だからね?」
俺はそのサツキさん言葉をグッと噛み締めるようにサツキさん綺麗な唇を塞いだ。
そして、ある日はふたりでスーパーに買い物へ出かけ庭でバーベキューをした。
不器用なサツキさんは料理は全く出来なくて、ほとんど俺が焼いてはサツキさんの口の中に肉を放り込んでいく。
S「美味しい~幸せ~」
M「なら、ずっとこっちに住めばいいのに。」
俺がそう言うと決まってサツキさんは俺の口を黙らせるようにキスをして誤魔化す。
M「キスで誤魔化すな。」
S「あと何回…メイタとキス出来るかな?」
この人は俺の気も知らずにそんな事を切ない顔して言うからもう、俺はそれ以上何も言えなくなってしまうんだ。
ただ、ソファに座って一緒に見た映画も…
夢中になって喧嘩しながらしたゲームも…
寄り添いながら聴いた音楽も…
取り合いしながら使った洗面所も…
たった1週間なのに俺の心の中にサツキさんとの思い出が刻まれていく。
そして、俺たちは夜になればお互いの体力が限界になるまで毎晩…身体を激しく重ねた。
お互いの熱気と呼吸で頭がおかしくなってしまうんじゃないかと思うほど、俺はサツキさんのことを夢中で抱いた。
サツキさんは何も口にせず、そんな俺をただ受け入れ、切ない目で俺を見つめるから涙が溢れ出そうになるのを堪えて、サツキさんを抱き続けたんだ。
まるで、俺という存在をサツキさんが忘れないように。
サツキさんの身体が俺を忘れないように……。
行為の後
虚な目をしたサツキさんの乱れた髪を直し、余韻に浸りながら俺は言った。
M「もう…明日だね…」
S「うん…」
サツキさんはシーツを身体に纏い、俺の腕に頭を乗せベッドで寝転んだままふたりで月明かりを見上げた。
M「何時にこっちを出るの?」
S「10時には…」
M「早いね…港まで送るから…」
S「ううん…そういうのやめて…ここで出会った私たちはここでお別れするの…」
サツキさんのその言葉に俺の胸はえぐれ、涙が溢れるのがバレないように俺はサツキさんをギュッと抱き寄せた。
M「サツキさんは…寂しくないの?」
S「幸せだったよ…この1週間ありがとう。沢山愛してくれて…」
俺はサツキさんのその言葉を聞いて涙で声を出すことすら出来ず、無言のままそっと瞳を閉じた。
つづく
期間限定の不倫愛
サツキさんが俺に本気じゃない事くらい…
ただの遊びだって事くらい…
左手薬指に光る指輪を見つけた時から分かっていたのに、俺の心はサツキさんの言葉に深く傷ついた。
S「私が小豆島にいる間だけ楽しめばいいじゃん?不倫…ごっこ…」
やめてくれ…
その綺麗な唇でそんな事…言わないで…
そう心では叫ぶのにもう、俺はあなたに堕ちてしまった。
M「はぁ…マジで最低な女…」
口とは逆に腕の中にいるサツキさんを離すことなく口付けたのは、限られた時間でも触れていたいから。
1週間後には知らない誰かの元へ帰るあなたをこんなにも欲しいと願ってしまう俺は心が醜く腐ってしまっているのかな?
俺は1週間後
あなたを手放す事ができるのだろうか…?
そして、俺達はそれからの1週間
ひと時も離れずに過ごした。
ある日の俺たちはふたり並んで俺の生まれ育った街を手を繋いで歩いた。
M「ここが俺の通った小学校…」
S「メイタはどんな子供だったの?」
M「うーん。人見知りで暗かったかな?」
S「そっか。」
俺の幼い頃の思い出話をしながら歩く街並みはいつもの見飽きた風景のはずなのに、隣にサツキさんがいるというだけで俺の目には眩しかった。
お気に入りのカメラを持って向かった先はキラキラと太陽に照らされて光る小豆島の海。
S「はぁ~綺麗~」
サツキさんはそう言って目をキラキラと輝かせている。
M「サツキさんそこに立って。」
サツキさんは海を見つめながら風を感じていて、俺はそんなサツキさんをカメラ越しに見つめシャッターを押していく。
S「メイタ~」
少し離れた所で笑いながら風と戯れ振り返るサツキさん。
あまりにも無邪気なその笑顔に俺の胸は離したくないと悲鳴をあげる。
M「空を見上げてみて?」
真っ青な空に高く昇る太陽を指差すとサツキさんは眩しそうに目を細めて太陽を見上げた。
なんて綺麗な人なんだろ…
なんでもっと早く出会えなかったのだろ…
いや、違う…なんで俺は…
あなたと出会ってしまったんだろ?
そうぐるぐると頭の中で色んな感情が渦巻くのに顔では笑顔を作り色んなサツキさんの表情をカメラの中に納めていく。
S「はぁ~東京に帰りたくないな~」
砂浜に座りながらそう呟いたサツキさんに思わず俺はカメラを下ろし、サツキさんを後ろから抱きしめた。
M「帰らないでよ…俺のそばにいてよ…ふたりでここで暮らそう?」
俺の言葉にサツキさんは優しく微笑み振り返って俺の頬を優しく包み込んだ。
S「だ~め。夢を叶えるんでしょ?楽しみにしてるよ?私がメイタのファン第一号だからね?」
俺はそのサツキさん言葉をグッと噛み締めるようにサツキさん綺麗な唇を塞いだ。
そして、ある日はふたりでスーパーに買い物へ出かけ庭でバーベキューをした。
不器用なサツキさんは料理は全く出来なくて、ほとんど俺が焼いてはサツキさんの口の中に肉を放り込んでいく。
S「美味しい~幸せ~」
M「なら、ずっとこっちに住めばいいのに。」
俺がそう言うと決まってサツキさんは俺の口を黙らせるようにキスをして誤魔化す。
M「キスで誤魔化すな。」
S「あと何回…メイタとキス出来るかな?」
この人は俺の気も知らずにそんな事を切ない顔して言うからもう、俺はそれ以上何も言えなくなってしまうんだ。
ただ、ソファに座って一緒に見た映画も…
夢中になって喧嘩しながらしたゲームも…
寄り添いながら聴いた音楽も…
取り合いしながら使った洗面所も…
たった1週間なのに俺の心の中にサツキさんとの思い出が刻まれていく。
そして、俺たちは夜になればお互いの体力が限界になるまで毎晩…身体を激しく重ねた。
お互いの熱気と呼吸で頭がおかしくなってしまうんじゃないかと思うほど、俺はサツキさんのことを夢中で抱いた。
サツキさんは何も口にせず、そんな俺をただ受け入れ、切ない目で俺を見つめるから涙が溢れ出そうになるのを堪えて、サツキさんを抱き続けたんだ。
まるで、俺という存在をサツキさんが忘れないように。
サツキさんの身体が俺を忘れないように……。
行為の後
虚な目をしたサツキさんの乱れた髪を直し、余韻に浸りながら俺は言った。
M「もう…明日だね…」
S「うん…」
サツキさんはシーツを身体に纏い、俺の腕に頭を乗せベッドで寝転んだままふたりで月明かりを見上げた。
M「何時にこっちを出るの?」
S「10時には…」
M「早いね…港まで送るから…」
S「ううん…そういうのやめて…ここで出会った私たちはここでお別れするの…」
サツキさんのその言葉に俺の胸はえぐれ、涙が溢れるのがバレないように俺はサツキさんをギュッと抱き寄せた。
M「サツキさんは…寂しくないの?」
S「幸せだったよ…この1週間ありがとう。沢山愛してくれて…」
俺はサツキさんのその言葉を聞いて涙で声を出すことすら出来ず、無言のままそっと瞳を閉じた。
つづく
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説

二度目の婚約者には、もう何も期待しません!……そう思っていたのに、待っていたのは年下領主からの溺愛でした。
当麻月菜
恋愛
フェルベラ・ウィステリアは12歳の時に親が決めた婚約者ロジャードに相応しい女性になるため、これまで必死に努力を重ねてきた。
しかし婚約者であるロジャードはあっさり妹に心変わりした。
最後に人間性を疑うような捨て台詞を吐かれたフェルベラは、プツンと何かが切れてロジャードを回し蹴りしをかまして、6年という長い婚約期間に終止符を打った。
それから三ヶ月後。島流し扱いでフェルベラは岩山ばかりの僻地ルグ領の領主の元に嫁ぐ。愛人として。
婚約者に心変わりをされ、若い身空で愛人になるなんて不幸だと泣き崩れるかと思いきや、フェルベラの心は穏やかだった。
だって二度目の婚約者には、もう何も期待していないから。全然平気。
これからの人生は好きにさせてもらおう。そう決めてルグ領の領主に出会った瞬間、期待は良い意味で裏切られた。

【完結】仕事を放棄した結果、私は幸せになれました。
キーノ
恋愛
わたくしは乙女ゲームの悪役令嬢みたいですわ。悪役令嬢に転生したと言った方がラノベあるある的に良いでしょうか。
ですが、ゲーム内でヒロイン達が語られる用な悪事を働いたことなどありません。王子に嫉妬? そのような無駄な事に時間をかまけている時間はわたくしにはありませんでしたのに。
だってわたくし、週4回は王太子妃教育に王妃教育、週3回で王妃様とのお茶会。お茶会や教育が終わったら王太子妃の公務、王子殿下がサボっているお陰で回ってくる公務に、王子の管轄する領の嘆願書の整頓やら収益やら税の計算やらで、わたくし、ちっとも自由時間がありませんでしたのよ。
こんなに忙しい私が、最後は冤罪にて処刑ですって? 学園にすら通えて無いのに、すべてのルートで私は処刑されてしまうと解った今、わたくしは全ての仕事を放棄して、冤罪で処刑されるその時まで、押しと穏やかに過ごしますわ。
※さくっと読める悪役令嬢モノです。
2月14~15日に全話、投稿完了。
感想、誤字、脱字など受け付けます。
沢山のエールにお気に入り登録、ありがとうございます。現在執筆中の新作の励みになります。初期作品のほうも見てもらえて感無量です!
恋愛23位にまで上げて頂き、感謝いたします。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。
傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。
石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。
そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。
新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。
初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、別サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
婚約破棄? 私、この国の守護神ですが。
国樹田 樹
恋愛
王宮の舞踏会場にて婚約破棄を宣言された公爵令嬢・メリザンド=デラクロワ。
声高に断罪を叫ぶ王太子を前に、彼女は余裕の笑みを湛えていた。
愚かな男―――否、愚かな人間に、女神は鉄槌を下す。
古の盟約に縛られた一人の『女性』を巡る、悲恋と未来のお話。
よくある感じのざまぁ物語です。
ふんわり設定。ゆるーくお読みください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる