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24話

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カイルサイド

声のする方に視線を向けるとそこにはジノくんがいた。

J「あの~お取り込み中に申し訳ないんだけど~お粥出来たから俺、帰るね?」


ニヤニヤとしたジノくんは一緒にベッドの上にいる俺とテオンくんのことを見つめていて、テオンくんは慌てて起き上がり恥ずかしそうに身を縮こめる。


K「ジノくんもいたんですね。」

J「いやお前が呼んだんだろう?この俺がテオンくんをここに連れてきてやったっていうのに…少しは感謝しろ!!」

K「はいはいありがとうございまーす」

J「知恵熱出してるんだしあんま無理すんなよ~じゃ!!」


ジノくんはそう言ってそそくさと部屋から出て行き、テオンくんを見るとテオンくんは背中を向けたまま身を縮こめてこっちを向こうとしない。


K「テオンくん…ジノくんも帰ったし続きしよう?」

K「はっ////な…何言ってんの!?バカじゃない!?」


そう言って振り返ったテオンくんの顔は真っ赤に染まっていてまた、プイッとそっぽを向き俺に背中を向ける。


俺はそんな背中にゆっくりと近づき包み込んだ。


K「そんなに俺のこと嫌い?顔も見たくないくらい嫌い?じゃなんでいきなりキスなんて…」


そうその背中に問いかけると勢いよくテオンくんは振り返り、その衝撃で俺は手を離す。


すると、テオンくんは俺の顔をじっと見て少し怒ったような顔をして頬を膨らませた。


T「もうほんとに鈍感!!バカ!!嫌ならキスなんてするわけないだろ!!好き!!好きだからキスしたの!!それだけ!!」


そう泣き叫ぶように言ったテオンくんが可愛くてしかたない俺は、その怒って尖らせて唇にチュッとキスをするとテオンくんは驚いた顔をしながらもポコッと俺の胸を叩く。


T「もう!!俺が真剣な話してるのに!」

K「ごめん…今の表情…好きすぎて堪んなかった…」


ぽこぽこぽこぽこッと何度も両手で叩いてくるテオンくんの手首を掴むとそのままギュッと抱きしめる。


すると、テオンくんは暴れることなくそのまま俺に身を預けた。


K「好きだよ。」

T「知ってる。俺も好き。」

K「俺の方が好き。」

T「俺の方が先にカイルのこと好きになったもん。」

K「それはどうかな?でも、オンに感謝しなきゃな…こんなに大好きな人と出会わせてくれたオンに…」

T「…俺は…ずっと前から…カイルを知ってたよ……昔からずっと好きだった…」


テオンくんはそう言うと俺から目を逸らし肩を上げて首を傾げる。


昔から俺を知ってたって…


それは一体どういうことだろ…


いや…え?


ま…まさか…やっぱり…


K「テオンくんも俺と同じ顔したアンドロイド買ってたとか!!!!!?」


俺がそう言うとテオンくんは呆れた顔をして俺の頭をポコッと叩く。


T「本当に覚えてない!?子供の頃、よーく思い出してごらん!!」


俺はそう言われ、腕の中にいるテオンくんの顔をじーっと見つめながら幼き頃の思い出を頭の中で振り返る。


そして、頭の中に一瞬ふっと思い浮かんだのはあの写真に写るテオンくんにそっくりな男の子だった。


K「まさか……あの写真の男の子って!!マジでテオンくんなの!!?」

T「ようやく思い出した?」

K「そう言うって事はテオンくんは俺に気づいてたの!?」

T「気づいてたよ。だって俺は忘れないって言ったじゃん。」


そう話すテオンくんと目が合うと、テオンくんは呆れたように笑い出し、俺は慌てて引き出しの中から一枚の写真を取り出した。


俺はその写真をテオンくんの前に差し出す。


K「この写真…」

T「嘘…ちゃんと持っててくれたんだ。そうだよ…この男の子は俺。あの日、桜の木の下でした約束…覚えてる?」

K「約束?」

T「そう…俺は絶対にイルを忘れないよ。だから俺のことも忘れないでって。」


イル…そう久しぶりに呼ばれた瞬間、懐かしい気持ちが溢れてきて全身に鳥肌がたった。

しかし、俺はテオンくんが話す思い出が思い出せない。


K「そんな約束したっけ?小さすぎて忘れた。」

T「ひど…約束だけじゃなく俺のことまで忘れてたけどね!!ちゃんと約束のキスまでしたのに!!」

K「キ…キス!?」

T「そう…」


テオンくんは俺のファーストキスを奪っておきながら平然とした顔をして余裕な返事をする。


K「それはまさか俺のファーストキスなのでは…!?」

T「ファーストキスかどうかは知らないけど~俺と桜の木の下でキスをしたのは間違いないよ?」

K「あわあわぁ…っててててか!!もうひとつ聞いてもいい?」


まさか、幼いころにテオンくんとキスしていたなんて思いもよらなかった俺はパニックになっている自分を落ち着かせるように小さく深呼吸をした。


T「なに?」

K「俺…もしかしてテオンくんのことをオンって呼んでた?違うなら申し訳ないんだけど…なんかずっと前からオンって名前を知ってるような気がして…」


俺がそういうとテオンくんは俺にもたれ掛かるようにして甘えてきた。


そんな光景があんなにも拒絶され続けてきた今までなら考えられなくてまだ、慣れない俺はドキドキとしながらテオンくんの肩を恐る恐る抱く。


T「そうだよ。まだ幼くてカイルはテオンくんってうまく言えなかったから、オンくんって呼んでたよ。それと同じように俺はカイルのことをイルって呼んでた。」


そうテオンくんに教えてもらった俺は妙に納得し、オンという名前に懐かしさを覚えた理由がようやく分かった気がした。


幼い頃に会ったことのあったテオンくん。


テオンくんと同じ顔をしたアンドロイドがpurple社によって俺の元にやって来た。


そして、俺は大人になってテオンくんと再会した。


これは全て偶然なのだろうかと俺は思った。


K「どこかに幼い頃のその記憶が残ってたから俺、オンって名前が出てきたのかな?懐かしく感じたんだ…初めてアンドロイドの顔を見たとき…それはアンドロイドよりも先にテオンくんと出会ってたからなんだね…」


微かに蘇った記憶で俺がそう言うとテオンくんはニコッと微笑み俺の唇にチュウとキスをする。


T「俺のがアンドロイドよりも先だもん。」


アンドロイドに対抗心をむき出しにするテオンくんが可愛くてゆっくりとテオンくんの唇を塞ぎ、味わうようにテオンくんの温かい舌に自分の舌を絡めればヒョンから甘い吐息が溢れ俺は頭がおかしくなりそうだ。


ドキドキ…ドキドキ…


俺たちは激しく胸を鳴らしながら時を忘れて熱いキスを重ねた。

つづく
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