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23話
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カイルサイド
ずっと考えていた。
テオンくんがあまりにも悲しそうな顔をして俺を見つめたあの日から。
俺はオンを失った自分の寂しさをそっくりな顔したテオンくんで埋めようとしたのだろうか…?
この好きって気持ちも本当はオンに向けられたものであって…
テオンくんに向けられたものではないのだろうか…?と…
あんなに毎日通っていたテオンくんの店に行かず。
自分の気持ちとだけ向き合い、テオンくんとオンのことだけを考え自問自答し続けた。
玄関に飾る一緒に撮ったオンとの唯一の写真を見て溢れ出す罪悪感に包まれた俺は確信した。
K「オン…ごめんな…俺……あの人のことが好きなんだ…許してくれる?」
そう写真に話しかけると写真の中にいるオンがニコッと笑い頷いたような気がした。
そして、テオンくんの店に向かおうとした瞬間…俺は目の前が真っ暗になりグラグラと頭の中が回転してその場にしゃがみ込んだ。
ここ数日、まともな食事もせず考え込んでいたせいだろうか?
立ち上がろうとしても体が重く立ち上がることができず、俺は這うようにして部屋に戻りなんとかスマホを手に取り苦笑いをする。
K「俺…テオンくんの連絡先知らないじゃん。」
俺は仕方なくジノくんに連絡をしそのまま熱くなっていく身体をベッドに沈めた。
久しぶりに眠りについた俺は体が燃えるように熱くて苦しくてもがきながら夢の中を彷徨った。
「カイル…だ…大丈夫…?」
その声を聞いて俺の苦しみはすーっと消えていき、ゆっくりと瞳を開けるとそこには会いたくて仕方なかったテオンくんがゆらゆらと瞳を揺らしながら俺を見つめていた。
これは夢なのかな?それとも幻覚?
テオンくんのその顔が…愛しくて仕方ない。
オンの代わりに愛してしまったのかもしれないと思いながらも、俺はいつもテオンくんの心の中を覗こうと必死だった。
色んな表情を見せてくれるテオンくんが愛しくて…
ありのまま感情をぶつけてくれるテオンくんが大好きで…
思い通りの反応をしてくれないテオンくんがもどかしくて…
俺はテオンくんと出会ってからいつもテオンくんに夢中だった。
ゆっくりと手を伸ばしずっと触れたくて仕方なかったその頬に触れると温かくて、肌の上の産毛を感じ俺は心地よくて何度も撫でる。
驚いた顔をして俺を見つめるテオンくんは今…俺を思ってくれているだろうか?
そんな事を思いながら俺は口を開く
K「会いたかった…やっぱり…無理だった…忘れるなんて…無理だった……」
テオンくんを忘れるなんて初めから無理だって分かっていた。
出会った時から…
知れば知るほど惹かれて愛しくて…
俺の心の中にいたはずのオンよりもテオンという存在で埋め尽くされていた。
なのにテオンくんは俺から顔を背ける。
テオンくんの心の中にはまだ俺はいない?
立ち上がり俺の元から離れて行こうとするテオンくんの細い手首を掴んで引っ張り、その衝撃でテオンくんは俺の身体の上に倒れ込む。
テオンくんの身体はこんなにも温かくて柔らかくて心地いい…
しかし、俺の腕の中にいるテオンくんは俺の胸を叩き暴れて、思い通りにはならず俺から離れようとする。
T「離せよ…離せって…!!」
K「会いたかった…ずっと会いたかった…」
T「離せってば!!」
K「テオンくんにずっと会いたかった…やっぱ俺…テオンくんが忘れられないよ…俺あなたが好きみたい…」
テオンくんは俺の言葉を聞いて固まった。
K「テオンくんが誰かの代わりは嫌だって言ったあの日からずっと…考えてた…。俺はオンの代わりにテオンくんを愛してしまったのか…って…でも違うんだよ…オンとテオンくんは顔は似てるけど違う…今の俺が愛してるのは…俺の言うことをなんでも聞くオンじゃなく…いつも俺の思い通りにはなってくれないテオンくん…あなただよ……」
俺はそう言うとテオンくんの首筋に顔を埋めるようにしてギュッと抱きしめる。
もう、離したくない…離れたくないと心の中で何度も呟きながら。
すると、ぽた…ぽた…っと俺の肩が濡れるのに気付きゆっくりと顔を覗き込むとテオンくんはぽろぽろと涙を流し微かに震えていた。
そんなに俺のことが嫌い?
アンドロイドを手にしてしまった俺にはテオンくんを愛する資格なんてない?
そう無言のまま瞳でテオンくんに問いかけているとテオンくんはゆっくりと両手で俺の頬を包み込みそっと重なるだけのキスをした。
突然のことで驚いた俺はビクッと体が跳ねる…
しかし、このチャンスを逃せば一生後悔すると思った俺はそのままテオンくんの後頭部に手を回し引き寄せ、重なっただけの唇を啄むように重ね返す。
唇を重ねるたびに温かくて心地よくてその唇に夢中になり俺の手がすーっとテオンくんのシャツの下に伸びると…
俺たちの邪魔をする声が聞こえた。
つづく
ずっと考えていた。
テオンくんがあまりにも悲しそうな顔をして俺を見つめたあの日から。
俺はオンを失った自分の寂しさをそっくりな顔したテオンくんで埋めようとしたのだろうか…?
この好きって気持ちも本当はオンに向けられたものであって…
テオンくんに向けられたものではないのだろうか…?と…
あんなに毎日通っていたテオンくんの店に行かず。
自分の気持ちとだけ向き合い、テオンくんとオンのことだけを考え自問自答し続けた。
玄関に飾る一緒に撮ったオンとの唯一の写真を見て溢れ出す罪悪感に包まれた俺は確信した。
K「オン…ごめんな…俺……あの人のことが好きなんだ…許してくれる?」
そう写真に話しかけると写真の中にいるオンがニコッと笑い頷いたような気がした。
そして、テオンくんの店に向かおうとした瞬間…俺は目の前が真っ暗になりグラグラと頭の中が回転してその場にしゃがみ込んだ。
ここ数日、まともな食事もせず考え込んでいたせいだろうか?
立ち上がろうとしても体が重く立ち上がることができず、俺は這うようにして部屋に戻りなんとかスマホを手に取り苦笑いをする。
K「俺…テオンくんの連絡先知らないじゃん。」
俺は仕方なくジノくんに連絡をしそのまま熱くなっていく身体をベッドに沈めた。
久しぶりに眠りについた俺は体が燃えるように熱くて苦しくてもがきながら夢の中を彷徨った。
「カイル…だ…大丈夫…?」
その声を聞いて俺の苦しみはすーっと消えていき、ゆっくりと瞳を開けるとそこには会いたくて仕方なかったテオンくんがゆらゆらと瞳を揺らしながら俺を見つめていた。
これは夢なのかな?それとも幻覚?
テオンくんのその顔が…愛しくて仕方ない。
オンの代わりに愛してしまったのかもしれないと思いながらも、俺はいつもテオンくんの心の中を覗こうと必死だった。
色んな表情を見せてくれるテオンくんが愛しくて…
ありのまま感情をぶつけてくれるテオンくんが大好きで…
思い通りの反応をしてくれないテオンくんがもどかしくて…
俺はテオンくんと出会ってからいつもテオンくんに夢中だった。
ゆっくりと手を伸ばしずっと触れたくて仕方なかったその頬に触れると温かくて、肌の上の産毛を感じ俺は心地よくて何度も撫でる。
驚いた顔をして俺を見つめるテオンくんは今…俺を思ってくれているだろうか?
そんな事を思いながら俺は口を開く
K「会いたかった…やっぱり…無理だった…忘れるなんて…無理だった……」
テオンくんを忘れるなんて初めから無理だって分かっていた。
出会った時から…
知れば知るほど惹かれて愛しくて…
俺の心の中にいたはずのオンよりもテオンという存在で埋め尽くされていた。
なのにテオンくんは俺から顔を背ける。
テオンくんの心の中にはまだ俺はいない?
立ち上がり俺の元から離れて行こうとするテオンくんの細い手首を掴んで引っ張り、その衝撃でテオンくんは俺の身体の上に倒れ込む。
テオンくんの身体はこんなにも温かくて柔らかくて心地いい…
しかし、俺の腕の中にいるテオンくんは俺の胸を叩き暴れて、思い通りにはならず俺から離れようとする。
T「離せよ…離せって…!!」
K「会いたかった…ずっと会いたかった…」
T「離せってば!!」
K「テオンくんにずっと会いたかった…やっぱ俺…テオンくんが忘れられないよ…俺あなたが好きみたい…」
テオンくんは俺の言葉を聞いて固まった。
K「テオンくんが誰かの代わりは嫌だって言ったあの日からずっと…考えてた…。俺はオンの代わりにテオンくんを愛してしまったのか…って…でも違うんだよ…オンとテオンくんは顔は似てるけど違う…今の俺が愛してるのは…俺の言うことをなんでも聞くオンじゃなく…いつも俺の思い通りにはなってくれないテオンくん…あなただよ……」
俺はそう言うとテオンくんの首筋に顔を埋めるようにしてギュッと抱きしめる。
もう、離したくない…離れたくないと心の中で何度も呟きながら。
すると、ぽた…ぽた…っと俺の肩が濡れるのに気付きゆっくりと顔を覗き込むとテオンくんはぽろぽろと涙を流し微かに震えていた。
そんなに俺のことが嫌い?
アンドロイドを手にしてしまった俺にはテオンくんを愛する資格なんてない?
そう無言のまま瞳でテオンくんに問いかけているとテオンくんはゆっくりと両手で俺の頬を包み込みそっと重なるだけのキスをした。
突然のことで驚いた俺はビクッと体が跳ねる…
しかし、このチャンスを逃せば一生後悔すると思った俺はそのままテオンくんの後頭部に手を回し引き寄せ、重なっただけの唇を啄むように重ね返す。
唇を重ねるたびに温かくて心地よくてその唇に夢中になり俺の手がすーっとテオンくんのシャツの下に伸びると…
俺たちの邪魔をする声が聞こえた。
つづく
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