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20話
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カイルサイド
タピオカを並んでいる間…
もしかしたらこのままテオンくんとうまくいくのかも…
そう思ったら妙に緊張してしまい、日頃あんなに頑張って話しかけていたのにひと言も話を出来ずにいた。
テオンくんも話しかけてくる訳じゃなく時折り、繋いだ方の手で俺の手の甲をあの綺麗な指先でトントンとしてくるから、さらにドキドキとしてただ俺たちはゆっくりと進んでいく列を無言で手を繋いだまま待っている。
いつもみたいにくだらない事を話しているわけでもないのに、不思議とその温もりだけで心は満たさせれてドキドキと高揚していた。
確かあの日…
極端な選択をしようと考えてビルの上に立ったあの日。
俺はテオンくんのこの温もりで心が少し癒され思いとどまったんだった。
そんな事を考えながらもう既に愛しくなりすぎてしまったテオンくんをじっと見つめる。
すると、唐突にテオンくんに問いかけられた。
T「俺ってさ…そんなにあのアンドロイドと似てる?」
K「それはもうめっちゃ………」
テオンくんのことを考えすぎて頭の中はテオンくんのことでいっぱいで、不意に問いかけられたその質問に咄嗟に答えてしまい俺は思わず口を閉ざした。
T「あのアンドロイドのこと本当に好きだったんだね……」
K「今のはそういう事じゃなくて…今度…ゆっくりとその話したい…」
俺がそう言うとテオンくんは首を横に振り、顔を歪めるようにして繋ぎ合わせていた手を離し言った。
T「あの…もしアンドロイドを失って、その寂しさで出来た心の隙間を俺で埋めようと思ってるなら…もう2度と店には来ないで。」
K「え………?」
テオンくんにそう言われ息が止まった気がした。
そんな訳ない!!そうすぐに言い返せなかったのはテオンくんに興味を持ったキッカケは恐らくオンに似ていたからで、オンがいなくなって荒んでいた俺の心はテオンくんと出会ったことで救われたから。
でも、俺のそんな気持ちがテオンくんにとってそこまで負担に感じさせてしまってたなんて、自分のことばかり考えていた俺は思ってもみなかった。
思わず言葉を失った俺を目覚めさせるように店員が声を掛けた。
「ご注文は何にされますか?」
T「タピオカミルクティを2つで。」
テオンくんはそんな俺のことなんて気にすることなく注文をしてタピオカミルクティを受け取るが、俺はテオンくんのその言葉が頭に焼き付いて離れない。
T「…行くよ。」
K「う…うん…」
テオンくんは店から少し離れた所にあるベンチに座り、上目遣いで俺を見つめながら立ったままの俺にタピオカミルクティを差し出した。
T「はい…さっきはありがとう。」
K「うん…」
俺はテオンくんの横に座り、タピオカミルクティーに口を付けると勢いあまってタピオカが喉に詰まりそうになった。
K「ゔぅ…ゴホッゴホ…」
T「もう…大丈夫?」
テオンくんは俺の背中を撫でて顔を覗き込む。
俺はそんなテオンくんの顔を間近で見つめ、騒つく自分の胸を改めて確認すると、俺はテオンくんから少し離れて距離を取った。
K「すいません…大丈夫です…俺やっぱ帰ります。これ…ご馳走さまです。」
俺は自分のこんな気持ちをテオンくんにだけは悟られたくなくて…
テオンくんの返事も聞くことなく、目を逸らしたまま逃げるように家へと帰った。
つづく
タピオカを並んでいる間…
もしかしたらこのままテオンくんとうまくいくのかも…
そう思ったら妙に緊張してしまい、日頃あんなに頑張って話しかけていたのにひと言も話を出来ずにいた。
テオンくんも話しかけてくる訳じゃなく時折り、繋いだ方の手で俺の手の甲をあの綺麗な指先でトントンとしてくるから、さらにドキドキとしてただ俺たちはゆっくりと進んでいく列を無言で手を繋いだまま待っている。
いつもみたいにくだらない事を話しているわけでもないのに、不思議とその温もりだけで心は満たさせれてドキドキと高揚していた。
確かあの日…
極端な選択をしようと考えてビルの上に立ったあの日。
俺はテオンくんのこの温もりで心が少し癒され思いとどまったんだった。
そんな事を考えながらもう既に愛しくなりすぎてしまったテオンくんをじっと見つめる。
すると、唐突にテオンくんに問いかけられた。
T「俺ってさ…そんなにあのアンドロイドと似てる?」
K「それはもうめっちゃ………」
テオンくんのことを考えすぎて頭の中はテオンくんのことでいっぱいで、不意に問いかけられたその質問に咄嗟に答えてしまい俺は思わず口を閉ざした。
T「あのアンドロイドのこと本当に好きだったんだね……」
K「今のはそういう事じゃなくて…今度…ゆっくりとその話したい…」
俺がそう言うとテオンくんは首を横に振り、顔を歪めるようにして繋ぎ合わせていた手を離し言った。
T「あの…もしアンドロイドを失って、その寂しさで出来た心の隙間を俺で埋めようと思ってるなら…もう2度と店には来ないで。」
K「え………?」
テオンくんにそう言われ息が止まった気がした。
そんな訳ない!!そうすぐに言い返せなかったのはテオンくんに興味を持ったキッカケは恐らくオンに似ていたからで、オンがいなくなって荒んでいた俺の心はテオンくんと出会ったことで救われたから。
でも、俺のそんな気持ちがテオンくんにとってそこまで負担に感じさせてしまってたなんて、自分のことばかり考えていた俺は思ってもみなかった。
思わず言葉を失った俺を目覚めさせるように店員が声を掛けた。
「ご注文は何にされますか?」
T「タピオカミルクティを2つで。」
テオンくんはそんな俺のことなんて気にすることなく注文をしてタピオカミルクティを受け取るが、俺はテオンくんのその言葉が頭に焼き付いて離れない。
T「…行くよ。」
K「う…うん…」
テオンくんは店から少し離れた所にあるベンチに座り、上目遣いで俺を見つめながら立ったままの俺にタピオカミルクティを差し出した。
T「はい…さっきはありがとう。」
K「うん…」
俺はテオンくんの横に座り、タピオカミルクティーに口を付けると勢いあまってタピオカが喉に詰まりそうになった。
K「ゔぅ…ゴホッゴホ…」
T「もう…大丈夫?」
テオンくんは俺の背中を撫でて顔を覗き込む。
俺はそんなテオンくんの顔を間近で見つめ、騒つく自分の胸を改めて確認すると、俺はテオンくんから少し離れて距離を取った。
K「すいません…大丈夫です…俺やっぱ帰ります。これ…ご馳走さまです。」
俺は自分のこんな気持ちをテオンくんにだけは悟られたくなくて…
テオンくんの返事も聞くことなく、目を逸らしたまま逃げるように家へと帰った。
つづく
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