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11話
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カイルサイド
オンがpurple社により回収されてから俺とジノくんはパソコンを開くとUSBを挿し、説明書を必死で読んだ。
K「ってかジノくん、アンドロイド買ったの俺より前ですよね?説明書読んでないんですか?」
J「俺だって購入してからまだそんなに経ってないよ!!ってかこんな長い説明書、誰が読むかよ!!」
そこに書いてある事は全て大したことない内容ばかりで、なぜオンが連れて帰られたのか手掛かりになるような事は何一つなかった。
J「あ…アユは…これが作動したんだ…」
ジノくんが見つけたのは小さな文字で書かれていた注意事項だった。
「人間がpurple社の社員に対して暴力的な行動や言動をした場合、社員の安全保護のため安全保護装置が作動し自動で護衛をする。その際、アンドロイドの目が赤に変化し主人の指示に関係なく動くため止める際は強制終了ボタンを押す。」
J「これが作動したんだ………」
K「でも…オンは…作動してなかった……」
J「もしかして…それが原因ってこと?」
K「いや…ジノくん…実はオンの言葉にはすべて感情があったんです。」
J「え?」
K「俺のことを好きって言ったり可愛いって言ったり…無表情でしたが甘えたり不安だとそわそわしたり…桜を見て綺麗だと言ったり…俺はそれも全てプログラムされた事だと思っていた…」
J「それは…お前が教えた訳じゃなくて?」
K「はい…ウチに来た日からでした…本当にオンは人間みたいだった…しかも俺、数日前にオンにそっくりな男性を見ちゃったんです…もしかして…それが原因なんですかね…」
そう話していると自然に涙がこぼれ落ちいていて、たった1週間と数日ほどしか一緒に過ごしていなかったのに、物凄い喪失感に襲われ心にぽっかり穴が空いたような感覚だった。
スーパーで出会ったあの人は俺が勘違いするほどオンと瓜二つだった。
国の法律では実在する人物のアンドロイドを制作してはいけない事となっている。
可能性として考えるとオンがスーパーで出会ったあの人にそっくりに生まれてしまったばかりにきっと回収されたのだろう。
しかし、俺は容姿に関して希望は出さずpurple社がアンドロイドの容姿を決めたはずなのに…何故こんなことが起きるんだろ?俺はそんなことを考えていた。
J「実在する人物がいるから…ってやつ……?」
K「たぶん…でも俺は容姿の希望も出してなくてpurple社が製作したんですよ…なのにこんな事ってあるんですかね……」
そう話す俺にきっと、ジノくんもかける言葉が見つからないんだろう…無言のままジノくんは俺の肩を抱いてくれた。
俺は心の整理がつかずジノくんに1人になりたいと言って帰ってもらった。
久しぶりに訪れた1人の空間。
オンと撮った唯一の写真を手に取り俺は思いに耽る。
オンはもう…廃棄処分されてしまったのだろうか…?
何故こんな事になってしまったのだろうか?
そんな事を考えてもなんの意味もなくて俺はそっとその写真をテーブルに置くと、部屋の中でぼーっと過ごすした。
すると、またインターホンが鳴り、玄関に出てみるとそこにいたのはさっき来ていたpurple社の社員の中にいた1人だった。
K「今更なんのご用ですか?」
俺が無愛想にそう言うとその社員は無理矢理俺の玄関の中に入り頭を下げた。
「先ほどは本当に申し訳ございませんでした…」
K「どんなに謝られてもオンはもう帰ってこないんでしょ…?」
「はい…大変申し訳ございません…」
その言葉を聞いた俺の拳には力がグッと入り爪が手のひらに食い込んだ。
K「そうですか…もう2度と俺の前に現れないでください。新しいアンドロイドも結構です…アンドロイドとはもう二度と関わりたくありせんので…」
静かな声でそう言うと目の前にいる男はビクッと震え上がり怯えるような目で俺をみた。
「わ…私はもう…先ほど辞表をだして…あの会社を辞めてきました…な…なので…お客様のアンドロイドがなぜ…突然回収されたかをお話しに参りました。事実を伝えてはいけないと法律で定められているとはいえ…お客様のような方をもう…見てられなくて…」
そう言っている男は何かに怯えているようで、目を血走らせながら恐る恐る話しをしているが、自分のアンドロイドを回収された理由が知りたいと思った俺は苛立ちを覚え、目の前にいるその人に話を急かした。
K「…な…何でなんですか!?教えてください…なんでオンは回収されたんですか!?」
「そ…それは…」
K「それは………」
「それは…あのアンドロイドは……………ゔぅ……ぁ……」
男はそこまで言いかけると突然、首と胸を押さえもがくようにして倒れこんだ。
K「ちょ…ちょっと!!大丈夫ですか!?」
目の前でのたうち回っている男に声を掛けるがおさまる様子はない。
俺は慌ててスマホを手に取り救急車を呼ぶが、デジタル化が進みすぎたのが難点となり電話の向こうにいるのもアンドロイドの為、俺がどんなに焦って緊急性を伝えても受話器の向こうから淡々としたアンドロイドの事務的な声が聞こえるだけ…
俺は住所だけアンドロイドに伝えるとジノくんに電話をかけた。
K「もしもし!ジノくん!?やばい!!どうしよう!!」
J「カイル?なんだよいきなりどうした…?」
K「人が倒れて…今胸を押さえて苦しんでるんだけど!!」
J「え!?分かった。今すぐにそっちに戻る。」
すると、まだすぐ近くにいたのか数分でジノくんは俺の部屋に戻ってきた。
K「ジノくん!」
廊下でジノくんを呼ぶとジノくんは小走りで俺の部屋の中へ入り、胸に耳を当てて呼吸音を聞いている。
J「救急車は呼んだのか?」
K「うん…呼んだ…」
J「で?救急車よりも俺の方が先についた…と?」
K「そう…」
J「救急隊員まで全てアンドロイドにしてこれかよ…でも、こいつはどっちにしても助からない。」
ジノくんは眉間にシワを寄せると倒れた男の首筋の一部が青色に変色していた。
K「え……」
J「恐らく全身に毒が回っている…首のこの部分に毒の入ったチップを埋め込まれているんだろう…それが作動して一気に毒を回すのではなく最も苦むようにジワジワと死に追いやってる。この様子だとあと持って…5分だな…」
俺はジノくんを退かせるようにしてその男のそばに近寄る。
K「なぁ…教えてくれよ…なんでオンは…回収されたんだよ…なぁ!!」
もがき苦しむ男にそう問いかければ呻き声のような声でこう言った。
「あの人を探せ…………真実を…探して見つけろ…じゃないと…あの会社が…乗っ取られ…ゔぅ……ぁ…」
そして、男はそのまま息を引き取った。
それと同時にアンドロイドの救急隊員が来て、その男の遺体を無表情のまま病院へと運んで行き、ジノくんが俺の顔を不思議そうに見た。
J「あの男…purple社のスーツ着てたけど…」
何も知らないジノくんは不思議そうに俺をみた。
K「さっきpurple社を辞めてきたんだって…俺みたいな人間を減らすらために伝えたい事があるって言った途端に…倒れ込んだ…」
J「なんだろ…伝えたいことって…」
K「ジノくん、オンが回収されたのはおそらく、実在する人物がいたからというのでほぼ間違いないと思う…実際、俺もオンにそっくりな男性を見たし…だけどもしかしたらそれ以外にもなにかあるのかもあの会社には……」
J「あの会社って…purple社?まさかお前…そのなにかを調べようとか思ってないよな?」
あの男が何を言いかけたのか?ゲームやプログラミングに詳しい俺でもpurple社が作ったアンドロイドの仕組みだけは分からなかった。
なぜオンが回収されたのか気になる…しかし、オンを失い悲しみのどん底にいる俺にはそんな心の余裕など今はない。
K「…今はオンを失ったショックの方が大きくて無理…そんな気力、今の俺にはないよ…」
J「そうあんまり落ち込むな…お前にはアンドロイドが性に合わなかったってことにしとけ…」
ジノくんはそう言って俺を励ますとアンドロイドのアユと共に帰って行った。
つづく
オンがpurple社により回収されてから俺とジノくんはパソコンを開くとUSBを挿し、説明書を必死で読んだ。
K「ってかジノくん、アンドロイド買ったの俺より前ですよね?説明書読んでないんですか?」
J「俺だって購入してからまだそんなに経ってないよ!!ってかこんな長い説明書、誰が読むかよ!!」
そこに書いてある事は全て大したことない内容ばかりで、なぜオンが連れて帰られたのか手掛かりになるような事は何一つなかった。
J「あ…アユは…これが作動したんだ…」
ジノくんが見つけたのは小さな文字で書かれていた注意事項だった。
「人間がpurple社の社員に対して暴力的な行動や言動をした場合、社員の安全保護のため安全保護装置が作動し自動で護衛をする。その際、アンドロイドの目が赤に変化し主人の指示に関係なく動くため止める際は強制終了ボタンを押す。」
J「これが作動したんだ………」
K「でも…オンは…作動してなかった……」
J「もしかして…それが原因ってこと?」
K「いや…ジノくん…実はオンの言葉にはすべて感情があったんです。」
J「え?」
K「俺のことを好きって言ったり可愛いって言ったり…無表情でしたが甘えたり不安だとそわそわしたり…桜を見て綺麗だと言ったり…俺はそれも全てプログラムされた事だと思っていた…」
J「それは…お前が教えた訳じゃなくて?」
K「はい…ウチに来た日からでした…本当にオンは人間みたいだった…しかも俺、数日前にオンにそっくりな男性を見ちゃったんです…もしかして…それが原因なんですかね…」
そう話していると自然に涙がこぼれ落ちいていて、たった1週間と数日ほどしか一緒に過ごしていなかったのに、物凄い喪失感に襲われ心にぽっかり穴が空いたような感覚だった。
スーパーで出会ったあの人は俺が勘違いするほどオンと瓜二つだった。
国の法律では実在する人物のアンドロイドを制作してはいけない事となっている。
可能性として考えるとオンがスーパーで出会ったあの人にそっくりに生まれてしまったばかりにきっと回収されたのだろう。
しかし、俺は容姿に関して希望は出さずpurple社がアンドロイドの容姿を決めたはずなのに…何故こんなことが起きるんだろ?俺はそんなことを考えていた。
J「実在する人物がいるから…ってやつ……?」
K「たぶん…でも俺は容姿の希望も出してなくてpurple社が製作したんですよ…なのにこんな事ってあるんですかね……」
そう話す俺にきっと、ジノくんもかける言葉が見つからないんだろう…無言のままジノくんは俺の肩を抱いてくれた。
俺は心の整理がつかずジノくんに1人になりたいと言って帰ってもらった。
久しぶりに訪れた1人の空間。
オンと撮った唯一の写真を手に取り俺は思いに耽る。
オンはもう…廃棄処分されてしまったのだろうか…?
何故こんな事になってしまったのだろうか?
そんな事を考えてもなんの意味もなくて俺はそっとその写真をテーブルに置くと、部屋の中でぼーっと過ごすした。
すると、またインターホンが鳴り、玄関に出てみるとそこにいたのはさっき来ていたpurple社の社員の中にいた1人だった。
K「今更なんのご用ですか?」
俺が無愛想にそう言うとその社員は無理矢理俺の玄関の中に入り頭を下げた。
「先ほどは本当に申し訳ございませんでした…」
K「どんなに謝られてもオンはもう帰ってこないんでしょ…?」
「はい…大変申し訳ございません…」
その言葉を聞いた俺の拳には力がグッと入り爪が手のひらに食い込んだ。
K「そうですか…もう2度と俺の前に現れないでください。新しいアンドロイドも結構です…アンドロイドとはもう二度と関わりたくありせんので…」
静かな声でそう言うと目の前にいる男はビクッと震え上がり怯えるような目で俺をみた。
「わ…私はもう…先ほど辞表をだして…あの会社を辞めてきました…な…なので…お客様のアンドロイドがなぜ…突然回収されたかをお話しに参りました。事実を伝えてはいけないと法律で定められているとはいえ…お客様のような方をもう…見てられなくて…」
そう言っている男は何かに怯えているようで、目を血走らせながら恐る恐る話しをしているが、自分のアンドロイドを回収された理由が知りたいと思った俺は苛立ちを覚え、目の前にいるその人に話を急かした。
K「…な…何でなんですか!?教えてください…なんでオンは回収されたんですか!?」
「そ…それは…」
K「それは………」
「それは…あのアンドロイドは……………ゔぅ……ぁ……」
男はそこまで言いかけると突然、首と胸を押さえもがくようにして倒れこんだ。
K「ちょ…ちょっと!!大丈夫ですか!?」
目の前でのたうち回っている男に声を掛けるがおさまる様子はない。
俺は慌ててスマホを手に取り救急車を呼ぶが、デジタル化が進みすぎたのが難点となり電話の向こうにいるのもアンドロイドの為、俺がどんなに焦って緊急性を伝えても受話器の向こうから淡々としたアンドロイドの事務的な声が聞こえるだけ…
俺は住所だけアンドロイドに伝えるとジノくんに電話をかけた。
K「もしもし!ジノくん!?やばい!!どうしよう!!」
J「カイル?なんだよいきなりどうした…?」
K「人が倒れて…今胸を押さえて苦しんでるんだけど!!」
J「え!?分かった。今すぐにそっちに戻る。」
すると、まだすぐ近くにいたのか数分でジノくんは俺の部屋に戻ってきた。
K「ジノくん!」
廊下でジノくんを呼ぶとジノくんは小走りで俺の部屋の中へ入り、胸に耳を当てて呼吸音を聞いている。
J「救急車は呼んだのか?」
K「うん…呼んだ…」
J「で?救急車よりも俺の方が先についた…と?」
K「そう…」
J「救急隊員まで全てアンドロイドにしてこれかよ…でも、こいつはどっちにしても助からない。」
ジノくんは眉間にシワを寄せると倒れた男の首筋の一部が青色に変色していた。
K「え……」
J「恐らく全身に毒が回っている…首のこの部分に毒の入ったチップを埋め込まれているんだろう…それが作動して一気に毒を回すのではなく最も苦むようにジワジワと死に追いやってる。この様子だとあと持って…5分だな…」
俺はジノくんを退かせるようにしてその男のそばに近寄る。
K「なぁ…教えてくれよ…なんでオンは…回収されたんだよ…なぁ!!」
もがき苦しむ男にそう問いかければ呻き声のような声でこう言った。
「あの人を探せ…………真実を…探して見つけろ…じゃないと…あの会社が…乗っ取られ…ゔぅ……ぁ…」
そして、男はそのまま息を引き取った。
それと同時にアンドロイドの救急隊員が来て、その男の遺体を無表情のまま病院へと運んで行き、ジノくんが俺の顔を不思議そうに見た。
J「あの男…purple社のスーツ着てたけど…」
何も知らないジノくんは不思議そうに俺をみた。
K「さっきpurple社を辞めてきたんだって…俺みたいな人間を減らすらために伝えたい事があるって言った途端に…倒れ込んだ…」
J「なんだろ…伝えたいことって…」
K「ジノくん、オンが回収されたのはおそらく、実在する人物がいたからというのでほぼ間違いないと思う…実際、俺もオンにそっくりな男性を見たし…だけどもしかしたらそれ以外にもなにかあるのかもあの会社には……」
J「あの会社って…purple社?まさかお前…そのなにかを調べようとか思ってないよな?」
あの男が何を言いかけたのか?ゲームやプログラミングに詳しい俺でもpurple社が作ったアンドロイドの仕組みだけは分からなかった。
なぜオンが回収されたのか気になる…しかし、オンを失い悲しみのどん底にいる俺にはそんな心の余裕など今はない。
K「…今はオンを失ったショックの方が大きくて無理…そんな気力、今の俺にはないよ…」
J「そうあんまり落ち込むな…お前にはアンドロイドが性に合わなかったってことにしとけ…」
ジノくんはそう言って俺を励ますとアンドロイドのアユと共に帰って行った。
つづく
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