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10話

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テオンサイド

この義父との出会いは俺が10歳の頃。


俺が生まれてすぐ実の父親が病気でなくなり、母は俺を自分の父親である祖父と共に育ててくれた。 


そんな祖父がIT企業をしていて裕福だった事もあり俺は何不自由なく育てられた。


俺が10歳になり、祖父の会社に長年勤め、アンドロイドの開発者の1人としてアンドロイド業務を任せられていた今の社長と母が再婚した。


再婚当時の義父さんは優しくて母のこともとても愛していて、何より俺のことを母にそっくりだと言って可愛がり当時の俺は幸せだった。


しかし…俺が15歳の頃…


母が事故で亡くなってから風向きは変わった。


俺の母が事故で亡くなったショックから社長として会社をまとめていた祖父は体調を崩して入院し、義父さんが会社を引き継ぐ形として社長に就任した。


突然、一人で会社を任せられたストレスと愛していた母を亡くしたショックからか義父さんは毎日酒を飲むようになり…次第に俺を見る目つきが変わっていった。


まだ、幼かった俺はその視線の意味を理解する事が出来ず、義父さんの視線を不審に思っていたとき…


それは起きた。


眠っている俺は息苦しさを覚え目を開けると、目の前には義父さんがいて今でもその事を思い出したら身体が震える。


恐怖から泣き叫ぶ俺の口を塞ぎ、義父さんは母の名前を何度も何度も呼びながら力強くで俺を犯した。


その日から義父さんは当たり前のように俺を母の代わりとして犯すようになり……


誰かにこんな事を言える事も助けを求めることも出来ずにいた俺は毎日泣く事しか出来なかった。


ストレスからまともに食事も出来ず、痩せていく俺の身体を見ては抱き心地が悪いと無理矢理、俺の口におにぎりを詰め込み、俺は喉が詰まりそうになり涙を流しながらおにぎりを食べた。


ひと言で言えば地獄。


学校に行けば誰かに義父さんに犯されている事がバレるのではないかとヒヤヒヤしながら過ごし…


家に帰れば母の名前を呼ばれながらあの激痛を味わいながら犯される日々。


もう…嫌だ…


そう思った時…


俺を救ってくれたのは俺が生まれてすぐ亡くなった実の父の甥っ子であり、俺の従兄弟であるソウスケくんだった。


母さんの一周忌にソウスケくんが線香をあげに来てくれた時、偶然その日は義父さんにとってアンドロイドのこれからが決まる大切な会議が入っていた為、家には俺とソウスケくんの2人っきりだった。


8歳上のソウスケくんとはそれまで特に仲が良かった訳でも親しかった訳でもないが、年に一度、父さんの命日に線香を上げに来てくれて顔を合わせる…それくらいの距離感だった。


ソウスケくんが母さんに向かって手を合わせ終えるとゆっくりと俺の方を見た。


S「テオン…」


友人以外の人から久しぶりに優しく自分の名前を呼ばれた時…俺の目から涙が溢れ出した。


バレてはいけない…この現実をバレてはいけない。


この涙は母さんを失った悲しみで流れている……


決してあんな男に犯されて泣いてる訳じゃない…


そう必死で自分の中で唱えているとソウスケくんはギュッと俺を抱きしめてくれた。


S「義父と暮らすのが辛いなら…俺んとこ来るか?俺がお前を引き取ってもいいんだぞ…」


大きな胸の中でそう言ってくれたソウスケくんは俺にとったらヒーローで、もうこの生活から助かるにはここに頼るしかない…そう思った俺は震える声で言った。


T「ソウスケくん…た…助けて…」


泣きながらそう訴えた俺にソウスケくんは何があったかも聞かず、そのままソウスケくんは俺を自分の家に連れて帰った。


ソウスケくんは一年前に父方の祖父がやっていたチキン屋の跡を継いでいた。


S「何も心配いらないからな。」


そう言ってくれたソウスケくんは俺が家を出たことに気づき、押しかけて連れて帰ろうとする義父さんと必死で戦ってくれた。


S「本人がここに居たいって言ってるんです。」

「これは誘拐だぞ!?」

S「そう思うなら警察に通報してください。あなたがそれでもいいなら。僕は構いません。」


俺はソウスケくんにも義父さんに犯されている事を話せなかったのに、ソウスケくんは薄々気づいていたのか、そう義父さんに言うと義父さんは諦めて俺を無理矢理連れて帰ろうとするのをやめた。


やっとあの地獄の日々から解放された。


俺はそう思っていたのに…


半年後、義父さんは人間型アンドロイドの開発を成功させたとして大々的に会見を開き、瞬く間にアンドロイドは広まりどこを見ても当たり前のようにアンドロイドが人間の横にいて俺はそれを見る度に嫌気がさした。


月日が流れ俺が成人を迎えた日


ずっと体を壊し入院している祖父の元を久しぶりに訪れた。


定期的に祖父の元にはお見舞いで訪れていたが、祖父は俺の顔を見るたびにあの会社はあの男の物ではない。お前の会社だ。取り返せ…アンドロイドはあんな使い方をするために開発したんじゃない。


そう涙ぐみながら俺の手を握って祖父に話され、何もできずにいる自分が情けなくて祖父の元からも足が遠のいていた。


俺なんかがあの会社を1人であの男から取り返すなんて無理だと分かっていながらも、祖父が命をかけて守ってきた会社をあの男の物にされるのは嫌だとどこかで感じ、俺はずっと密かにアンドロイドや会社経営の勉強だけはしていた。


そんな俺も26歳になりそれなりの知識を身につけた時、母の命日にソウスケくんと一緒に墓参りに行くと、そこには見覚えのある後ろ姿があり俺の足が止まった。


そこにいたのは間違いなく義父さんで…


手を合わせ終えた義父さんが乗り込んだ車の中を見て俺は吐き気を覚えた。


そこには俺と全く同じ顔をしたアンドロイドが座って居たから。


つづく
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