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8話

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カイルサイド


数日後


ジノくんがアンドロイドのアユと一緒に俺の家へと遊びにやって来た。


J「うわぁ~すんげぇイケメンのアンドロイドだな?名前は?」


ジノくんはウチのオンを間近まで近づき、ジロジロと見つめるので俺がオンからジノくんを遠ざけるとオンは俺の後ろに隠れた。


K「名前はオンにしました。オン、挨拶して?」


俺の後ろに隠れてしまったオンにそう言うと、オンはちょこんと顔を出してジノくんにご挨拶をした。


O「初めましてカイルのアンドロイド、オンです。」

J「よろしくね?ジノだよ。こっちが俺のアンドロイドのアユ。仲良してね?」


ジノくんは自分の横にいるアンドロイドのアユをオンの前に立たせるようにして挨拶をさせた。


A「オン…よろしくね。」

O「よろしくね。」


すると、オンはアユと挨拶をすると立ち上がりキッチンへ飲み物を入れに向かい、それを追いかけるようにアンドロイドのアユも付いて行った。


J「どう?アンドロイドとの生活は?慣れた?」

K「…んまぁ…」

J「その言い方だともう、ヤった?って言ってもオンは男性型だけど。」

K「え…っと…まぁ一回だけヤりました…」

J「ヤったんだ?噂では男性型でも最高にやばいって噂だけど?」

ジノくんはそう言って興味津々な顔で俺に近づいてくる。

K「なんか…アンドロイドなのに…本物の人間みたいで…なんか…俺…複雑で。」

J「アンドロイド相手でそんな複雑に考えなくても。」

K「まぁそうなんですけどね…こんなんだとリアルで恋愛出来そうにないな~って。」


俺はそう言いながら冗談ぽく話をして誤魔化した。


J「俺もだけど?」


しかし、ジノくんはそう言って不思議そうに首を傾げる。


俺はうまく自分の思っていることをジノくんに伝えることが出来ず、少しもどかしく思っているとインターホンが騒がしく何度も鳴った。


その音にオンは少し怯えたように俺を見る。


俺が慌ててオンのそばに向かうとオンはギュッと俺の手を握った。


O「こわい…」

K「大丈夫だよ……」

A「オン…こわいってなに?」


俺は思わずアユのその言葉に耳を疑った。


K「アユは怖いって分からないの?」

A「分からない。」

J「カイルなに言ってんだよ。アンドロイドなんだから感情がなくて当たり前だろ?ほら、早く出ろよ~ずっとインターホンなりっぱなしだぞ?」

K「え……あぁ…はい…」


感情がないのが当たり前?


確かにオンには表情はなかった。


しかし、オンが発する言葉にはいつも感情があった…


嬉しいと言ったり…俺を可愛いと言ったり…


俺が怒ればごめんって涙は出ないけどそう言葉で感情を表現した。


桜を見たときだって「綺麗」そう間違いなく言っていたのに…


それはアンドロイドのプログラミングでそうなっているんじゃなくて…


オンだけがそうだった…ってこと?


俺はそんな事を考えながら不安そうにしてるオンの手を安心させるようにポンポンと叩いた。


今だってオンにはこんなにも不安そうな感情が芽生えてるじゃん。


ふと、アユを見ると無表情のままジノくんのことを見て立っていた。


そして、俺は玄関に向かい扉を開ける。


すると、そこに立っていたのはオンを俺の家に運んできたpurple社の社員だった。


K「なにか…ご用ですか?」

「先日、お届けしたアンドロイドに重大な欠陥が複数見つかりましたので引き取りに参りました。」

K「欠陥……?」

「はい。こちらのミスです。ご要望があれば直ちに新しいアンドロイドをご用意いたします。」

K「いや、ちょっと待ってください!オンに欠陥なんてありませんよ?俺はオンで充分満足してますから!」

「大変申し訳ございませんが…このアンドロイドは国の規定に反するんです。欠陥の内容に関しましては国からの指示によりお伝えできません。なので、回収いたします。」


そう言って数人の男が勝手に部屋の中へ入りオンに触れようとするので、俺は思わずオンとその男たちの間に入りオンを自分の背中の後ろに隠した。


すると、オンは怯えて俺の服をギュッと握る。


K「オン…大丈夫…」

O「カイル…」

「そのアンドロイドをお渡しください。規定違反のアンドロイドを所有した場合…あなたは重罪に処せられますよ…?」

K「そっちが俺の好みに合わせて作ったくせに今更返せはおかしいだろ?そっちが俺の好みに合わせて作ったくせに所有すれば重罪?笑わせんなよ…」

「法律でそう定められているんです。今すぐそのアンドロイドを渡さないと……」

O「カイル…行くよ…」

K「え…?」

O「ボクがいると…カイルが大変なことになっちゃう…だから…行く…元の場所に…カイル…ボクを忘れないで…」

K「ちょ…なに言ってんだよ…このアンドロイドは俺が!!」


そう言いかけた時…


激しい痛みと共に頭の中が激しく揺れ…


俺は床に倒れこんだ。
 

微かに目を開け見上げると目の色が真っ赤に染まり暴れているアユをジノくんが必死に止めていて俺はアユに殴られたんだとすくに理解できた。


O「カイル………」


身体を動かそうとしても痛みのあまり動けなくて、オンの声の方を見るとオンは男たちに腕を掴まれそのまま連れ去られた。


立ちすくんでいたジノくんが俺を起こしらアンドロイドのアユは電源を切られたのか壁に寄りかかるようにしてグッタリとしていた。


K「なんで…アユが…俺を……?」

J「分からねぇ…怖くて咄嗟に電源落としたけど…欠陥ってなんだよ…こんな事あんのか?」

K「俺にも何が起きたのか…分かりません……」


俺がボソッとそう言うとジノくんは悲しそうな目で俺を見つめ抱きしめた。


つづく
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