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6話
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カイルサイド
ガチャン!!!!
大きな音と共に響き渡るのは…
O「ビックリしたぁーーーー!!」
俺が可愛いと夢中になりはじめたアンドロイド・オンの大きな叫び声。
オンが我が家に来てからオンはたった数日だと言うのに俺との会話の中で沢山の言葉をインプットしていき、初日より遥かに言葉を覚えスムーズに話を出来るようになった。
が!!
K「また、皿割ったな?」
O「ごめんなさーい」
相変わらず家事は苦手なようだ。
しかしそんな中、オンにもう一つの変化が起きた。
それはオンの言葉の表情がとても豊かになったこと。
こうやってお皿を割って俺に睨まればしょんぼりしたように話すようになった。
O「カイル…ごめんねぇ…」
そして、俺のそばにすり寄り甘えたら許してもらえると言うことも、この数日でオンが勝手に学んだこと。
K「もう…次は知らないからね?ほら、片付けるからあっちに座ってて。」
O「ぼくがやるよ…」
K「いや、カイルの身体を傷付けたら…ほら…アレだから。」
何故か相手は感情をもないはずのアンドロイドだというのに、俺はオンの目の前でクーリングオフという言葉を使うと傷つけてしまうのではないかと躊躇い、わざと"アレ"という表現で誤魔化した。
相手はアンドロイドで傷つく訳なんてないのにそんな事まで気にしている自分に笑いが込み上げた。
オンを我が家に迎え入れて分かったことはオンは料理も下手で家事全般が全て苦手だということ。
そもそもアンドロイドは家事全般の手伝いをさせるために作られたアンドロイドのはずなのにそれが出来ないオンは…
もしかして…不良品…?
いやいやまさか、そんな事ないよな?アンドロイドだというのにあの可愛さで全てをチャラにするんだから。
なんて俺は1人考えながらオンの割ってしまったお皿を片付ける。
K「終わったよ。家事は俺がするからいいって言ったのに…」
O「だってカイルのお手伝いがしたくて…ぼく何もできてないから…何かカイルのためになることがしたいんだ…」
K「オン…?オンは一人暮らしで出不精な俺とこうやって話したり笑いあったりしてくれるだけで十分なんだよ?少しずつ出来るようになればいいじゃん。」
O「カイル…ぼくのこと…クーリングオフ…するの?」
そう言ったオンの声が微かに震えたように俺の耳が錯覚する。
アンドロイドだから涙は出ないと分かっているものの…きっとオンのこの顔は泣いていると思ってしまう俺は相当、アンドロイドに気持ちを入れんでしまったらしい。
K「しないよ。オンがいいんだよ。オンが入ってたトランク開けた瞬間にオンを見てラッキー!!って思った。だからそんな事したりしないから安心しな?ね?」
すると、オンはぎゅっと俺にしがみ付いて離れず、俺はそんなオンが愛おしくてたまらなかった。
O「カイル…好き。」
その感触は本当に人間そのもので…体温はないのに柔らかくて気持ちいい…
たまらなく俺の好きな肌触りだった。
O「カイル…?」
そして俺は何を思ったのか…
気づいた時にはオンを押し倒し組み敷いていた。
K「オンが…人間だったら良かったのにな……なんで人間じゃないの……?」
俺がオンを見つめたままそんな馬鹿げたことを呟くと、オンは俺の目を見つめてそのままスッと俺の顔を引き寄せた。
オンのそういう行動すらもアンドロイドの中にインプットされている機能なのだろうか?
微かに触れ合いすぐに離れてしまった慣れない口付け。
それなのに俺の胸はドキドキとしまた、オンの冷たい唇に俺の唇は吸い寄せられる。
夢中になるように俺はオンの顔の横に肘を床に付き、オンを包み込むようにして何度も軽く唇を重ね合う。
鼻先を当てて俺が微笑むと表情のないオンにまた、顎をあげてキスを繰り返した。
O「カイルは…シたい?」
オンは真っ直ぐな瞳で俺を見つめながらそう言った。
そうだった…オンはアンドロイドで…
このなんとも言えない胸が押しつぶされてしまいそうな気持ちは俺だけが感じていて…
恋に落ちているのは俺だけなんだと思ったらスーと現実に引き戻された。
なのに何故、俺はこんなにもオンに惹かれるのだろう?
オンの顔を見るだけでドキドキと胸が弾み、懐かしい気持ちになってオンに感情や心がある人間だったらいいのにとまで願ってしまう。
K「やり方…オンは知ってる?」
O「知ってるよ。インプットされてるから。」
K「そっか…」
その言葉に苦笑いをし俺はオンの首筋に顔を埋める。
オンがアンドロイドだなんて未だに信じられないが、体温のない冷たさでアンドロイドだということを思い知らされる。
俺は本当にアンドロイドに恋をしてしまったのだろうか?
甘い蜜のように中毒性のあるアンドロイドに?
俺がオンを見るたびに感じるこのなんとも言えない懐かしさはなんなのだろう?
思い出せそうで思い出せないこのもどかしい感覚。
そのどうしようもないもどかしさをかき消すかのように俺はその行為で感じることのないアンドロイドの首筋に唇を這わす。
俺の唇は止まることはなくアンドロイド・オンの服を脱がせて身体中に唇を這わす。
すると、初めて見たオンの胸元にpurple社のマークがタトゥーのように入っていた。
そこにチュっとキスをすると、俺は今まで軽蔑してきた人間と同じようにアンドロイドを自身の欲求の捌け口として使ってしまった。
正直…何かに取り憑かれたかのようにアンドロイド相手に夢中だった俺は何も覚えていない。
気づけば俺は自身の欲求の塊をアンドロイドの上に吐き出していて、充電の切れたアンドロイドを見て、ぽっかりと心に穴が空いたような気がして涙が出そうになった。
俺はこんなことがしたかったのだろうか?
俺は本当にアンドロイドを愛してしまったのか?
温もりや感情のある人間ではなく、無機質なアンドロイドを?
それとも…?
胸の奥に覚えた僅かな違和感を抱えながら俺はオンを充電器に乗せ、一人寂しく冷たいベッドに潜り込んだ。
つづく
ガチャン!!!!
大きな音と共に響き渡るのは…
O「ビックリしたぁーーーー!!」
俺が可愛いと夢中になりはじめたアンドロイド・オンの大きな叫び声。
オンが我が家に来てからオンはたった数日だと言うのに俺との会話の中で沢山の言葉をインプットしていき、初日より遥かに言葉を覚えスムーズに話を出来るようになった。
が!!
K「また、皿割ったな?」
O「ごめんなさーい」
相変わらず家事は苦手なようだ。
しかしそんな中、オンにもう一つの変化が起きた。
それはオンの言葉の表情がとても豊かになったこと。
こうやってお皿を割って俺に睨まればしょんぼりしたように話すようになった。
O「カイル…ごめんねぇ…」
そして、俺のそばにすり寄り甘えたら許してもらえると言うことも、この数日でオンが勝手に学んだこと。
K「もう…次は知らないからね?ほら、片付けるからあっちに座ってて。」
O「ぼくがやるよ…」
K「いや、カイルの身体を傷付けたら…ほら…アレだから。」
何故か相手は感情をもないはずのアンドロイドだというのに、俺はオンの目の前でクーリングオフという言葉を使うと傷つけてしまうのではないかと躊躇い、わざと"アレ"という表現で誤魔化した。
相手はアンドロイドで傷つく訳なんてないのにそんな事まで気にしている自分に笑いが込み上げた。
オンを我が家に迎え入れて分かったことはオンは料理も下手で家事全般が全て苦手だということ。
そもそもアンドロイドは家事全般の手伝いをさせるために作られたアンドロイドのはずなのにそれが出来ないオンは…
もしかして…不良品…?
いやいやまさか、そんな事ないよな?アンドロイドだというのにあの可愛さで全てをチャラにするんだから。
なんて俺は1人考えながらオンの割ってしまったお皿を片付ける。
K「終わったよ。家事は俺がするからいいって言ったのに…」
O「だってカイルのお手伝いがしたくて…ぼく何もできてないから…何かカイルのためになることがしたいんだ…」
K「オン…?オンは一人暮らしで出不精な俺とこうやって話したり笑いあったりしてくれるだけで十分なんだよ?少しずつ出来るようになればいいじゃん。」
O「カイル…ぼくのこと…クーリングオフ…するの?」
そう言ったオンの声が微かに震えたように俺の耳が錯覚する。
アンドロイドだから涙は出ないと分かっているものの…きっとオンのこの顔は泣いていると思ってしまう俺は相当、アンドロイドに気持ちを入れんでしまったらしい。
K「しないよ。オンがいいんだよ。オンが入ってたトランク開けた瞬間にオンを見てラッキー!!って思った。だからそんな事したりしないから安心しな?ね?」
すると、オンはぎゅっと俺にしがみ付いて離れず、俺はそんなオンが愛おしくてたまらなかった。
O「カイル…好き。」
その感触は本当に人間そのもので…体温はないのに柔らかくて気持ちいい…
たまらなく俺の好きな肌触りだった。
O「カイル…?」
そして俺は何を思ったのか…
気づいた時にはオンを押し倒し組み敷いていた。
K「オンが…人間だったら良かったのにな……なんで人間じゃないの……?」
俺がオンを見つめたままそんな馬鹿げたことを呟くと、オンは俺の目を見つめてそのままスッと俺の顔を引き寄せた。
オンのそういう行動すらもアンドロイドの中にインプットされている機能なのだろうか?
微かに触れ合いすぐに離れてしまった慣れない口付け。
それなのに俺の胸はドキドキとしまた、オンの冷たい唇に俺の唇は吸い寄せられる。
夢中になるように俺はオンの顔の横に肘を床に付き、オンを包み込むようにして何度も軽く唇を重ね合う。
鼻先を当てて俺が微笑むと表情のないオンにまた、顎をあげてキスを繰り返した。
O「カイルは…シたい?」
オンは真っ直ぐな瞳で俺を見つめながらそう言った。
そうだった…オンはアンドロイドで…
このなんとも言えない胸が押しつぶされてしまいそうな気持ちは俺だけが感じていて…
恋に落ちているのは俺だけなんだと思ったらスーと現実に引き戻された。
なのに何故、俺はこんなにもオンに惹かれるのだろう?
オンの顔を見るだけでドキドキと胸が弾み、懐かしい気持ちになってオンに感情や心がある人間だったらいいのにとまで願ってしまう。
K「やり方…オンは知ってる?」
O「知ってるよ。インプットされてるから。」
K「そっか…」
その言葉に苦笑いをし俺はオンの首筋に顔を埋める。
オンがアンドロイドだなんて未だに信じられないが、体温のない冷たさでアンドロイドだということを思い知らされる。
俺は本当にアンドロイドに恋をしてしまったのだろうか?
甘い蜜のように中毒性のあるアンドロイドに?
俺がオンを見るたびに感じるこのなんとも言えない懐かしさはなんなのだろう?
思い出せそうで思い出せないこのもどかしい感覚。
そのどうしようもないもどかしさをかき消すかのように俺はその行為で感じることのないアンドロイドの首筋に唇を這わす。
俺の唇は止まることはなくアンドロイド・オンの服を脱がせて身体中に唇を這わす。
すると、初めて見たオンの胸元にpurple社のマークがタトゥーのように入っていた。
そこにチュっとキスをすると、俺は今まで軽蔑してきた人間と同じようにアンドロイドを自身の欲求の捌け口として使ってしまった。
正直…何かに取り憑かれたかのようにアンドロイド相手に夢中だった俺は何も覚えていない。
気づけば俺は自身の欲求の塊をアンドロイドの上に吐き出していて、充電の切れたアンドロイドを見て、ぽっかりと心に穴が空いたような気がして涙が出そうになった。
俺はこんなことがしたかったのだろうか?
俺は本当にアンドロイドを愛してしまったのか?
温もりや感情のある人間ではなく、無機質なアンドロイドを?
それとも…?
胸の奥に覚えた僅かな違和感を抱えながら俺はオンを充電器に乗せ、一人寂しく冷たいベッドに潜り込んだ。
つづく
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